死の支配者にレクイエムを

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第二十話 氷心融解

氷心融解

そうして、眺めていると、お姉ちゃんが後ろから抱きしめてきました。
「お姉、ちゃん?」
僕はそう声を漏らしたが、お姉ちゃんは何も言わないでただ抱きしめ続けました。その温もりで、僕の中の冷たいものが融けていきました。そして、氷が融ければ水になります。その水は、雫となって目から零れ落ちました。
「あ、あれ?なんで?」
僕はどんな感情からそれが零れたのかわからず、戸惑いました。そんな僕に、お姉ちゃんは、
「もう大丈夫だよ。助けてくれてありがとう。」
その言葉に僕は、ダムが決壊したようにぼろぼろと涙をこぼして立ちすくんでいました。
「泣き止むまでこうしてあげるから」
お姉ちゃんは僕が泣き止むまで、抱きしめていてくれました。僕が泣き止んだ頃、兵士が通りかかった。兵士さんはあいつらの死体を見て、
「こ、これは!・・君たち何があったか教えてくれるかな?」
と、一瞬驚いたような様子を見せつつも、すぐに落ち着いて、決してきつくない口調で僕たちに状況の説明を求めた。
「お姉ちゃんがこいつらに襲われそうになって、剣まで使ってきたので、魔法を使って・・・」
「・・・そうか、すまないが真偽を確かめなくてはならないのでな。一緒に来てくれるか?」
「ええ、わかりました。」
お姉ちゃんがそう返事したので、兵士さんの詰所に向かうことになった。

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