死の支配者にレクイエムを

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第七話 心的外傷

心的外傷

腹も満たされたので、僕は、この家から立ち去ろうとした。
「ま、待って、どこいくの!」
「さあ、どこにいくかは決めて無いな。まあ、適当に旅でもするかな。」
「ひ、一人でですか?!」
「そうだけど。」
「ダメです!そんなにちっちゃいのに、危ないです。」
何を言ってと言いかけたが、現在の自分の姿を思い出す。
「別に構わない。世話になった。じゃあ行くよ。」
「どうしても行くと言うんだったら、私も一緒に行きます。」
僕はその言葉に反射的に、
「僕に近寄るな!」
と怒鳴るように返してしまい、ハッとして、
「ご、ごめん、でも、頼むから、僕に関わらないでくれ。」
僕はそう言った。僕の周りの人が全員死ぬと言うトラウマが思い出され、僕の目から、雫がこぼれ落ちた。そんな僕を、彼女は抱きしめた。振り払おうとしたが、さらに強く抱きしめられた。僕は、彼女に抱きしめられたまま、目より落ちる液体を掛け流していた。結奈が死んだ日以来、こんなに感情を表に出したことは無かったかもしれない。こんな風に甘え、いや、依存するのが心地良く感じ、しかし、それを失うことに恐怖を覚え、体が震えだした。そんな僕を彼女は、ただただ抱きしめ続けていた。

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