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これでも一応生け贄です

高槻鳴海

11.人間か悪魔か


………どう、しよう。

あっちに戻ったところで、待ってるのは地獄の生活。

周りの人間には忌み嫌われ、たった子供2人で生活できるはずがない。そもそも、セシルまで巻き込む意味なんてないんだし。
私が返答に迷っていると、いきなり後ろから思いきり腕を引かれた。

「ぅわ!?」

後ろに傾く体に思わずギュッと目を瞑る。けど、来るであろう衝撃はなかった。背中に感じる温かさに目を開けると、そこには息を切らしたストラスが私を抱き寄せていた。その後ろには、同じく息を切らしたアベルも。

「………おい、ガキ。人のモノを奪うなんて、いい趣味してんじゃねぇか」

あの日以来久しぶりに聞いたストラスの低い声に、背筋に少し冷や汗が流れた。

「………あんたの方こそ、リディアに何か酷いことしてないだろうな」

負けじと反発するセシルに、もう場の空気は最悪。間に挟まれた私はただ恐怖しかない。
耐えきれず、アベルとヴィンスに目で助けを訴える。

「まぁまぁ、2人とも落ち着こう。リディアちゃんが困ってるよ」

悪魔らしからぬ天使のような助けに、ヴィンスを拝みたくなる。

ヴィンスの効果がそれほど大きいのか、2人とも落ち着きを取り戻し、ストラスも私から離れてくれた。


「………リディア、帰るぞ」

「帰らない!」

「はぁ?」

「あ、リディアちゃん。もしかしてまだあの事気にしてるの?」

ヴィンスの言うあの事とは私とストラスの喧嘩のことだろう。実際その通りな訳だし。

「今それは関係ないだろ。ここは危険だから、とりあえず帰ってから話をつけるぞ」

「いーやーだー」

「わがまま言うな。お前、自分がどんな立場かちゃんと分かってんのか」

「それとこれとは別!」

私がそう言うと、ストラスは頭を抱えた。今にも盛大なため息をつきそうだ。


「ならリディア、なおさら俺について来いよ」

「………それは……」

私が行ったところで、間違いなくセシルには迷惑しかかけない。今までだって散々世話になったんだし、これ以上余計な迷惑までかけたくない。

「残念だけど、それは無理な話だな」

アベルの言葉にセシルは不機嫌顔で私から顔を逸らした。

「ああ。祭りの件でリディアの噂は広がってるはずだからな。今さら人間界に戻ったところで、危険度が増すだけだ。俺たちの近くにいた方がよっぽど安全だ」

「安全?悪魔のあんたが何言ってんの」

とことん喧嘩腰のセシルに、ストラスは面倒そうに首の後ろを触った。こういう時のストラスは大抵呆れている。

「分かった。話なら俺の家でつけよう。だからさっさと戻るぞ」

ストラスがそう言った瞬間、私たちの周りを囲むように低俗の悪魔が集まってきた。

「チッ。遅かったか。アベル、ヴィンス!逃げるぞ!!」

ストラスはそう言いながら私を抱きかかえた。後ろを見ると、セシルはヴィンスに抱えられている。

アベルが襲いかかってくる悪魔たちを蹴散らして道を開けてくれたので、ストラスたちはすぐに走り出した。


3人の走るスピードが速いのか、あの悪魔たちが遅いのか、あっという間に撒くことができた。
そして、顔を上げればそこはもうウチの庭だった。………結果帰ってきてしまった。

「何でいきなりあんな数の悪魔が出てくるんだ……」

意味が分からないというように顔を歪めるセシル。ごめんなさい、それ全部私のせいです。

「まぁ、アレだ。立ち話もなんだし、中入ろうぜー」

「お前の家ではないけどな」


どこかギクシャクとした空気の中、私たちは家のリビングへと向かった。全員が座ったのを確認すると、アベルが困ったように口を開いた。

「……あー。そうピリピリしないで欲しいんだけどなぁ。……よし、ここは現実的に話し合いをしよう」

こういう時はアベルのこの軽い性格が助かる。多分このままじゃ一生話も進まないし。


「えーっと、セシルくんだっけ?まずはこっちの話も聞いて欲しいんだよねー。いいよね?」

セシルも少しは落ち着いたのか、すぐにアベルに突っかかりはしなかった。

「………聞くだけなら。言っとくが、悪魔の言い分を信じるかどうかは別だからな」

「よし来た。ならここはすべての事情を熟知しているこの俺から話してやろう」

アベルがテンション高めに言うと、私がここに来る前から今までのことを全て話し出した。

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