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これでも一応生け贄です

高槻鳴海

6.お出かけ準備


「俺も今日から、この家に住もうと思う!」

唐突に発せられたアベルの一言に、私もストラスも少しの間固まってしまった。

「何言ってんの、お前」

「いやだって、お前ばっかずるいじゃん!俺もリディアちゃんの近くにいたい!」

何だろうこの感じ。前科あるからかな、ものすごく犯罪くさい。

「何で俺がお前の分まで面倒見なきゃなんないんだよ」

「一人も二人も変わんないだろ?それにほら、護衛は2人の方がいいじゃん」

ストラスのことを信用してないとまでは言わないけど、確かに2人いた方が私も安心だ。

「…………わかった。けど、自分のことは自分でやれ」

「ひどくない!?リディアちゃんの面倒は見てあげてるのに!」

「それとこれは別だ。コイツはいろいろ危なっかしいから」

あれ?もしかして私って子供扱いされてるの?だからこんな世話焼かれてたの?

「全く、ストラスはケチだなー。そんなにリディアちゃんと2人きりがいいのかよ!」

「これ以上無駄口たたくなら、今すぐ帰ってくれてもいいんだぞ?」

「………う、ぐっ。……すみませんでした」

ストラスの方が一枚上手だったな。アベルの完全敗北。

「2人は楽しそうでいいなー」

「それバカにしてんのか?」

「違うよ。私もいい加減家に引きこもるのは飽きた」

自分の体質上、文句を言うつもりはないけど、さすがにそろそろつまらなくなって来た。

そんな私を見て、2人は顔を見合わせた。そしてなぜかアベルがドヤ顔しだした。

「そんなリディアちゃんに朗報だ!何と今日は、魔界でお祭りがある!!」

「え?」

魔界にもお祭りとかあったんだ。それはちょっと興味があるぞ。

「ちょ、おい!まさかお前、連れてくつもりじゃ……」

「いいだろ?ちょっとくらい。あの祭りに来るのなんて低俗な悪魔だし。俺らがいれば問題ないって」

アベルの言葉にストラスは少し黙り込むと、チラリと私の方を見た。

「…………本当に少しだけだからな」

「いいの!?」

思わずキラキラした目でストラスを見ると、ストラスはあからさまに目をそらした。え、何それ。ひどくない?

「と、とりあえず、出かけるんなら準備するぞ」

「準備って?」

ストラスは近くの戸棚を探り出すと、何かを見つけたのか戻ってきた。すると、私の首にそれをかけた。

「………これ。……石?」

紐に通された小さな石。残念ながら私には石以外の何物にも見えない。

「魔除けの石だ。外すなよ」

魔除けの石。なんかすごいそれっぽいけど、悪魔がそれ持ってても意味ないよね。

「第一の問題は匂いなんだけどな」

「あー。俺らの匂いで誤魔化そうにも、リディアちゃんの匂いって強いからなー」

「え?私そんな匂う?」

思わず自分の匂いを嗅ぐけど、全然分からない。これって本当に匂ってる?

「あ、もちろんいい意味でだよ?甘くて美味しそうな匂い」

「………うーん。分からん」

「まぁ、悪魔にとって、だからね」

「リディア。とりあえずこれを着てけ」

「わっぷ」

いきなり何かを投げつけられて見てみると、ストラスのものらしき上着。

「俺も長く使ってるし、少しは誤魔化せるはずだ」

さっそく着てみると、やっぱり結構な感じでブカブカだった。

「おおー。おっきい」

あまりのブカブカ具合に袖から手が出ない。と思っていると、ストラスが袖をめくってくれた。

「それじゃあ、俺のも」

後ろから、今度はアベルの上着をかけられた。

「えぇ。さすがに暑いよ」

「我慢しろ。これでもまだ少し気になるくらいなんだから」

「分かってるよー」

「よし。じゃあ、さっそく行こうか」

アベルのその言葉により、私たちは悪魔の集うお祭りへと足を向けた。

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