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これでも一応生け贄です

高槻鳴海

3.悪魔の家へ


お風呂から出た私がさっきの場所へ戻ると、どこからかいい匂いがしてきた。
その匂いを辿っていくと、悪魔が料理を作っていた。

「…………ご飯」

「ああ、出たのか。腹減ってると思って」

そういえばそうだと自覚すると同時に、お腹がぐぅと鳴った。

「………お腹減った」

「ちょっと待ってろ」

お皿に盛り付けられた料理は、オムライスだった。悪魔ってオムライス食べるんだ。てっきりもっと禍々しいもの食べてるのかと。

「いただきま……」

「ちょっと待て」

なぜか止められて不満そうに顔を上げると、悪魔が私の背後に回ってきた。

「髪乾かさなきゃ風邪引くだろ」

タオルでしっかりと髪を拭いてくれる悪魔。もはやお母さんだな。いろいろと世話焼きレベルがカンストしてるぞ、この悪魔。


「………よし」

悪魔の手が止まってタオルが離れると、悪魔が私の髪を整えてくれる。

「ほら、食べていいぞ」

「うん。いただきます」

オムライスを口に運ぶと、それはかなりの美味しさだった。これなら、セシルと張り合うレベルだ。

「ねぇ、悪魔さん」

「ストラスだ」

「ストラス。……ありがとう、私を助けてくれて」

思わず零れた笑顔に、ストラスはまた顔を赤くさせた。

「っ、………いっ、いいからさっさと食え!」

「はーい」

笑いながらそう返すと、ストラスは悔しそうに舌打ちした。


「………そういえば」

ちょうどご飯を食べ終わった後、思い出したようにストラスが口を開いた。

「あの男、誰?」

「………あの男……って、セシルのこと?」

「ああ。随分と仲が良さそうだったけど?」

「まぁ、あの村で唯一仲が良かった人だからね。いろいろと助けてもらってたし」

わざわざ教会まで来てくれて、気を使ってあれこれとやってくれてたんだよね。

「………へぇ」

「何ですか、ストラスさん。もしかしてセシルと合わない感じですか?」

「合うわけないだろ。………お互いに」

「………そうなの?悪魔も苦手なものがあるんだね」

「苦手ってわけじゃねぇよ。ただ嫌いなだけだ」

嫌いなだけ、ねぇ。ストラスもなんだかんだ言って負けず嫌いってことか。


「で?お前生活力皆無なわけだけど、もしかして今までソイツに世話してもらってたのか?髪も乾かさないくらいだしな」

「………まぁ、そうともいいます」

ご飯作ってくれたり掃除してくれたり、何かと世話を焼いてくれたんだよね。おかげでのたれ死なずにすんだし。

「………ふーん。どうりで今まで生活できてたわけだ」

分かるよ、分かる。これ絶対にバカにされてる。
確かに大抵のことに私興味ないけど、それでもこれくらいは分かる。

「まぁ、この際それは置いとこう」

ここに連れてこられてからずっと気になっていることがあった。それを聞かなきゃ何も始まらない。

「………ストラス。何で私を魔界に連れて来たの?こんな世話を焼いてくれるって事は、何か理由があるんでしょ?」

本来なら殺されてもおかしくない。言いようにこき使われたり、売られたり。なのに殺されるどころかご飯まで食べさせてくれるし。

「………生け贄がそれを聞いてどうすんの」

今までで一番冷たい視線を向けてくるストラス。けど、それくらいでビビる私ではない。

「そりゃあ、それ言われたら終わりだけど、気になるじゃん」

「…………特に理由はねぇよ。けど、悪いようにはしない。絶対に」

その言葉と瞳に、嘘偽りはなさそうだ。悪魔を信じるのかと言われたら返す言葉もない。けど、彼は私に危害を加えないと思う。
私はしばらくストラスを見た後、クスリと笑った。

「それじゃあ、これからしばらくよろしくって事だね」

「………フッ。そうだな」


そういえば、セシルがいつか絶対助けてくれるって言ってたけど、元気にしてるといいなぁ。

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