地獄屋物語
プロローグ
 『お母さん、お父さんはどこ?』
 『お父さんはね 天国 にいるのよ』
 『天国って楽しいところ?』
 『お母さんは行ったことないけど…  
     きっと素敵なところよ』
 『ほんと?』
 『ええ、でもお母さんは今こうして
     一緒にいられる方がずっと素敵!』
 『うん!えへへ』
 『だからね、長生きしなきゃダメよ』
  ー  母は病室のベットの上で
        言葉を覚えたばかりの私に笑いかけた
 『お母さんはもうすぐ
    天国へ行っちゃうかもしれない』
 『そうなの?』
 『お医者さんがね そう言ってたの…』
 『天国に行くの?』
 『いい?良いことをたくさんすれば
    天国に行けるけど…
    悪いことをたくさんしたら
      地獄  に落ちちゃうのよ』
  ー  地獄
 『地獄?』
 『怖いところよ
    だから人には親切に、物は大切にしなきゃダメよ?』
 『…うん…』
  ー  この後の母の言葉はあまり覚えてない
        幼い私の脳内で何度も繰り返される
        地獄  という言葉
        地獄…
 『だからいい子でいてね
    大好きよ、ー』
  ー  母は私の名前を呼んだ
        それ以来、母の声を聞く事は無かった
人気のない路地の突き当たり、薄暗い空き地
その空き地にゴミのように倒れこむ
十数人の柄の悪い男達
「ま、待ってくれ…」
後ずさりする大男
「地獄…一丁毎度あり…」
赤い瞳がギラッと光る
月明かりが不気味に差し込む街中を響き渡る悲鳴
「悪いことしたら地獄に落ちちゃうんだよ?笑」
「地獄屋物語」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
もののけ庵〜魍魎の廓〜
-
18
-
-
沈黙の籠城犯
-
6
-
-
殺しの美学
-
10
-
-
僕は間違っている
-
5
-
-
悪意のTA
-
12
-
-
日本守護神戦記
-
15
-
-
「気分は下剋上」 森技官の優雅な受難
-
8
-
-
心霊鑑定士 加賀美零美のよろずお悩み解決所 1
-
17
-
-
香川外科の愉快な仲間たち
-
10
-
-
落ちこぼれの復讐者
-
30
-
-
元料理人の異世界転生料理旅~冒険の香りを添えて~
-
22
-
-
春夏秋冬〈シーズン〉〜異世界を翻弄する最強4人兄弟〜
-
34
-
-
僕はみんなの死期がわかる。
-
5
-
-
御曹司の召使はかく語りき
-
19
-
-
破滅の未来を知ってしまった悪役令嬢は必死に回避しようと奮闘するが、なんか破滅が先制攻撃してくる……
-
33
-
-
俺と魔王の優雅な日常
-
6
-
-
気分は下剋上 chocolate&cigarette
-
25
-
-
十の学院と略奪者
-
8
-
-
終末屍物語
-
16
-
-
《異世界の主人公共へ》
-
18
-
コメント