8番目の神さま
プロローグ
潮風が心地よく吹いている。澄み渡るクリアブルーの空のパノラマが、遠く海の境界線まで続いている。どこからか、ウミネコの鳴き声もきこえる。
 北東北のこの港町にもやっと春がきたみたいだ。
(いい天気だ)と何度も心の中でつぶやく。天頂に差し掛かった太陽が久し振りに外に出たボクの頭にふりかかって頭皮が熱い。
時々車が通り過ぎていく。トラックが荷物を運んでせせこましくタイヤの音を鳴らして行く。遠くに製紙工場の二本の巨大な煙突から白い煙が風になびき、盛り上がった海上に貨物船が、ポツンと空と港湾地区の間に浮かんでいるように見える。造船所の巨大なクレーンがようにゆっくりと動いている、まるで草食恐竜のように。
 
 全てが別の世界のようにボクには遠くに感じられる…。
(そうだ…やっぱり…)
 ボクは港湾地区を結ぶ、この町でいちばん大きな河川橋の、落下防止用の柵の上に腰掛け、ぼんやりその風景をながめている。
 
 多分、ここから落ちたら死ぬはずだ。それだけの十分な高さはある。下は水面だが、どんなに上手く落ちても、コンクリートに飛び込むのとそうは変わらないレベルなのだ。時々風が強く吹き、体のバランスを崩される。でもなんだかそんなに恐怖心はない。
 そんなことより、天気がとても良いことがとても嬉しい。
ーー死ぬには今日はとってもいい日だーー
 
 ホントにそう思う。
(さあて)
 そしてボクは決意を固めると、ブランコを揺らすように両足を数回スウィングして、柵にかけていた手を離し青空を見上げた。
「せーの!」
振り子のように大きく前足が飛び出したと同時に体がフワッと空中へ飛び出した。
 ーーあーした、天気になーあーれ!
 北東北のこの港町にもやっと春がきたみたいだ。
(いい天気だ)と何度も心の中でつぶやく。天頂に差し掛かった太陽が久し振りに外に出たボクの頭にふりかかって頭皮が熱い。
時々車が通り過ぎていく。トラックが荷物を運んでせせこましくタイヤの音を鳴らして行く。遠くに製紙工場の二本の巨大な煙突から白い煙が風になびき、盛り上がった海上に貨物船が、ポツンと空と港湾地区の間に浮かんでいるように見える。造船所の巨大なクレーンがようにゆっくりと動いている、まるで草食恐竜のように。
 
 全てが別の世界のようにボクには遠くに感じられる…。
(そうだ…やっぱり…)
 ボクは港湾地区を結ぶ、この町でいちばん大きな河川橋の、落下防止用の柵の上に腰掛け、ぼんやりその風景をながめている。
 
 多分、ここから落ちたら死ぬはずだ。それだけの十分な高さはある。下は水面だが、どんなに上手く落ちても、コンクリートに飛び込むのとそうは変わらないレベルなのだ。時々風が強く吹き、体のバランスを崩される。でもなんだかそんなに恐怖心はない。
 そんなことより、天気がとても良いことがとても嬉しい。
ーー死ぬには今日はとってもいい日だーー
 
 ホントにそう思う。
(さあて)
 そしてボクは決意を固めると、ブランコを揺らすように両足を数回スウィングして、柵にかけていた手を離し青空を見上げた。
「せーの!」
振り子のように大きく前足が飛び出したと同時に体がフワッと空中へ飛び出した。
 ーーあーした、天気になーあーれ!
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