今、君想う
七夕の今日
  蝉が鳴き始めて夏を感じ始めた今日。
7月7日は、七夕。 
「恋ってなんだろう? 」 
「好きってどんな感情なのかな? 」 
「好きな人といい人との違いは何なの? 」 
「踏み込むのは怖くないのかな? 」 
夕日に包み込まれるように愛された今までの記憶は淡い思い出となり、胸に焼き付いている。しかし、自分から、人を好きになって愛せる時が来るのだろうかと、今までずっと、疑問を抱き続けてきたのだ。 
6月29日、20時10分、月明かりが木々を照らし、星が一面に広がる明るい夜だった。 
    私は大学一年生。9年目に入る陸上のサークルで新しくマラソンを始めた。そのサークルの一回目の集まりで初めて会って、偶然隣の席になったことがきっかけで、無意識に空気感に惹かれ始めていた。それが、「あなた」。
 ………サークルが終わり、ギリギリ補助席に乗ることができた満員のバス。あなたは、静かに私の前に座り、こくりこくり、と小さく揺れていた。 
たくさん走ったから疲れたのかな、なんて考えていた。その時、胸が高鳴り始めたのだ。そして、静かなバスの中で隣の人に聞こえてしまうのではないか、と思うほどに速く大きく胸を打った。
離れた田舎からひとり京都に来たあなたは、全く染まっていない黒髪の短髪に服装、すらりとしているけれど、走りこんでいるのが分かる細くきゅっと締まった足、そして、飾りっ気がない、穏やかで、和やかな笑顔の持ち主なのだ。 
私は、純粋に"好き"だと思った。 
これから、どうなるのかなんて、風も海も空も誰も知らない。ただただ、"好き"という感情に気づかせてくれたことに、感謝でいっぱいなのだ。私は、たくさん走るあなたの後ろ姿を追いかけられるだけで嬉しい。でも、できるなら、追いつきたい。そして、横で一緒に走れたらもっと幸せだろうと思う。 
いつか、広大な星の下で一緒に風を感じられますように……。 
短冊に願いを込めて。 
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