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炎獄のナイトクラッシュ

伊那国濤

『世界とは』 page-1

ーーーー遡ること2600年弱。それは『世界』が始まりそして終わる、その一部始終の話となる。

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 「おーい!」

 「ちょっと待ってくれよ!」

 「遅いなおせぇな!」

 「何でそんなに速いんだよ……」

 どこまでも果てしなく続く野原を駆け巡る少年たちは、一方は頭に耳が生えた賢そうな眼鏡の少年、つまり僕だ。もう一方は限りなく人間に近い、否、人間族、腕白で活発の元気よい少年。因みに僕は亜人族に属する。

 この野原は、人間族とも、亜人族ともに近い、その中間地辺りに位置する。

 「コルーグ。ちょっと待ってくれよ。」

 「何を言ってんだよ、サク!こんなにも素晴らしい天気の日に、子供が遊ばないなんて。勿体ないだろ!
 ヒャッハー!!」

 「あなた達!私を忘れてるんじゃない!」

 そこで、丘の上から颯爽と登場したのは…

 「んなわけねーだろ!
 よ!フラメル!」

 淡い栗のような茶色のロングヘアーを靡かせやって来た。彼女の頭には尖ったツンとした耳があり、周りも、そこはチャームポイントだと言われ、彼女自身もそれを誇っている。
 
 彼女は今の一言で一瞬にして落胆を見せた。

 その理由を悟ったサクはコルーグに小声で耳元に囁いた。

 「おい、コルーグ。フラメルじゃなくてフラップ。フラメルってのは前の名前。お気の毒にも、ご当主のフラメル=クロースさんの戦死からフラメル家の壊滅に陥ってしまった。不幸な事故だった。そこで生存者の彼女は当時交流が深かったフラップ家に入れられた。
 だから、間違っても、その名では呼ぶなよ。」

 詳細を説明し最後に念を押して話を終えると、コルーグは少しだけ哀しみを見せた。しかし自分がこんなものではいけないと感じたのか、作り笑いを浮かべた。
 その笑みが作り笑いだと判ったフラップは敢えて笑みを浮かべた。

 その違和感が溢れる空間を断ったのはフラップからだった。

 「ねぇ!こんなだと楽しめないよね。みんなで遊ぼうよ!今日は…森に探検にでも行こう!ね!」

 「そう…だね!行こう行こう!」

 「じゃ、準備しなきゃだよな。次の鐘が鳴る頃にもう一度ここに集合でどうだ?」

 「了解!!」

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 一旦自宅へ帰宅していた途中。

 コルーグは自身の無責任な発言に嫌気がさしていた。

 「はあ……
作り笑いだって、あからさまだったし、何やってんだろ…」

 いつものまだ遊び足りないくらいの晴れ晴れとした気分なら、野原から5分とかからないのに、そのままの状態で帰宅すると15分を超えてしまった。

 家は二階建てのそこそこ大きめな家で、レンガ造りが特徴的。赤屋根が一番それに該当する。

 玄関のドアを開ける前、自暴自棄にならない程度に軽めにノブを右手の拳で殴った。

 「おかえり〜」

 そうは言われるものの、いつものように弾んだ声で、「ただいま〜!」とは返せない自分に苛立ちを覚えた。

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 一旦自宅へ帰宅していた途中。

 フラップは特にこれといって何も感じてはいなかった。

 「………」

 彼女にとって先の場の雰囲気の悪さはその理由を考えることのみに集中していた為、少し感情が剥き出しになってしまっていた。それについては素直に認め、謝罪だろうとも感じた。後の祭りとは、まだいかない。

 しかし、疑問はそこではなかった。

 否、疑問とは言い難いものがあるか…

 「痛っ!」

 三度目の正直。さっきからずっと樹に打つかり続けている。
今度のは打ち所が悪かったらしく、強烈な頭痛が身体を襲う。

 今考えるべきは、先の場の雰囲気ではなく、自身の方向感覚のなさについて。だろうと確信しつつ、又も一歩一歩闊歩して進んでいった。無論、衝突の回避は免れなかったことも確かだが…

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 サクはというと……

 特に何も無く…単純に家へと帰るのみ。以上。

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 『1日に24回の鐘が鳴る。30分おきにだ。これは全ての国で統一されている。因みにこの鐘の音源は、全ての国に統一され設置された、各国中心の街の大時計からによるものだ。
しかし近年、その大時計にも各国で、色々と問題点が浮上してきた。例えば、その殆どがゴーレムで国が形成される微妙に鉱魔系統stone ivelの国では、岩の時計が風化なのか、争いなのか多種族なのでよく解らないが、崩落危機にあるとかなんとか…なんて抽象的な、煮え切らない答だが、言った通り仕方ないものだ。
この例で一体何を理解して頂きたいかと言うのは……
 
 今現在、この場では。世界では、多種族間の戦争が勃発している。という事にある。』

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 歩くと今にもう、再集合の場へと戻って来た。

 コルーグは北の方角から。フラップは南の方角から来る筈だ。僕の記憶が正しければ、だが。

 そうこうしているうちに、まずフラップがやって来た。
時間は彼女と潰…過ごすことになる。

 彼女とはこんな会話を交わした。

 「ねぇ、サク。
 私たちって…というか、私たちの世界って最近は本当に、狭くなっちゃったよね。」

 彼女は木陰の芝に全身を任せ仰向けに寝転がって言った。青空の下で…

 「僕はそもそもをあまり知らないから、ちょっと分かんないかなぁ」

 「そっか。まぁ、そうだよね。私たちなんて、この世界に生きて14、5年。
ごめんね、変なこと言っちゃって」

 意外にも素っ気ない答えが返ってきたが、応対には然程困りもしなかった。

 「あ、うん。
 僕たちって、本当に、不思議な感じだね。」

 「そうかもしれないね。
私たちは一見普通の二つの種族。種族・・。そう…
 でも実際には、敵対し、憎しみ、睨み合い、牙を剥き、争い合ってる。いや、そんなソフトな表現は本来ならば似合わないよね、
そう。殺しあってる。
 これが現状ーー」

 「やめろ。」

 「今もこのーー」「やめろ。」

 「状況はーー」「やめろ。」

 「変わりはしない。」「やめろって言ってるだろ!」

 「サク、貴方は、現実逃避してる。ただ、逃げてるだけ。現実が嫌で夢に逃げてるだけ。でもね、それじゃあさぁ……」

 そこで話は途端に途切れた。

 僕も正直なところ言われた通りなのだと痛感していた。夢に逃げることは厭わない。それだけ…

 クソっ。全く返す言葉が見つからない。
しかしそれを探すのは困難を極めることだということは、判っていた。答は知っていたから。
その通り。そのままだから。

 僕は腰の方から重みを感じた。決してそれは腰に提げた短剣の重みでもなく、身体を護る堅い防具の重みでもないことは、僕は判る。じゃあ何だと言うと……
それも解っていた。
 それでも、足掻くんだ。

 「あーあ。なんか疲れちゃったね。サクもこうやってみたら?気持ちいいよ。こうやって、大の字になって空を見上げる。あー…綺麗…」

 僕も言われるままにやってみた。

 すると、声が聞こえてきた。

 「おーい!ごめーん!遅れた!」

 声だけでも分かるが、芝を走る音、その息遣いで来た人を確信した。長い付き合いだからこそできること。
 コルーグだ。

 タイミングがよかったのか、否か。

 それについては、僕にも判らない。

 そして、ひと段落がつき、僕たちは漸く西の森の方へと歩いていった。

 その時、間違いなく、僕たちを観る空は、澄み切っていた・・・・・・・

 

 


 

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