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炎獄のナイトクラッシュ

伊那国濤

アイスユートピア

 「本日二度目の失神により、クエストに暫しの遅れを来してしまったこと、厨二病以外の多大なる皆様にご迷惑お掛けしてしまい、誠に申し訳ありませんでした。」

 「こちらも良かったですよ。こんな場所で死なれてしまっては禍々しき憂虞する場所なんて言って人が近づかなくなるかもしれませんからね。若しくはそれ以前にギルドという組織の解体だったかもしれません。いやー、良かった良かった。」

 「我は貴様がこのような場所で逝くことになろうが何の関係性も支障もない。いっそのこと貴様が死ねば、このメンバーの次期リーダーを引き継ぐことになったやもしれない。そうだ!何故死ななかった!否、回りくどいか…死ね!どうせなら『冥府からの暗殺者』と呼ばれしこの我が直々に殺してやっても良いのだぞ!」

 「好き勝手に言わせていれば最終的に死ねかよ!否、殺害予告か!どっちにせよ死なねぇよ!ふざけんな!それから『冥府からの暗殺者』とか適当だろ!全く……」

 「東藤さん。『適当』とは。
一つ。ある条件・目的・要求などに上手く合っている事。相応しい事。かなっていること。また、その様。「ーな配分」「ーする人材」
二つ。程度などが程よいこと。また、その様。「ーな量」「に加える」
三つ。いい加減な事。また、その様。悪い意味として用いられる。「ーに返事する」「ーにはぐらかす」 
 ことです。因みに今のは3番ですね。」

 「この状況で言葉の意味の説明か!しかしやけに辞書に書いてある言葉の様に完璧な解説だな!
それで諭したとでも思ったか!」

 「東藤君…周り、見て。」

 顔を上げると……
それはそれは冷酷な眼差しであった。

 「さ、さぁ!皆さん!気を取り直して、クエストスタートしましょう!現在時刻は14時30分。クエスト終了は7時間後、21時30分です。運が良ければ、オーロラも拝めるかもしれませんよ。その時、再度ここに戻ってきて下さいね。各グループに携帯端末を配布しますので、ご活用くださいね。また、それに詳細も載っていますので拝見下さい。何かございましたら、お伝え下さい。それでは、いってらっしゃいませ〜。」

 解散後、俺は素早く、配布された携帯端末を確認した。詳細について重要事項は特に何も無く、あるとするならば指定物くらい。でもそれも持ち帰って受付で渡せば別報酬があるというボーナス的なものらしい。
 因みにそれとは、『雪の一角獣』と呼ばれる超激レアスペシャルモンスター、フリーズホーンの角。どうやらそのモンスターの発生には天候、時間帯、その場の状況、雰囲気なんかも関係していて、たとえ現れても真っ先に逃走し、クライクル市ギルド設立から、冒険者で倒した者はいない。
そう、冒険者では。

 今は日がほぼ真上の頭上に浮かんでいる。クライクル市では死を予感する時間ではあるが、ここは何と楽園。
正直俺はここに寝床でも作って、3時間寝ていてもいい。
 勿論、許可は貰えなかったけれども。

 早速動き始めた俺たちは足下に注意しながら、前へと進んでいった。

 「歩いていると、いい感じの涼しさだ!天国かよ!」

 「本当に同意見だねー。」

 それから歩くこと10分程。アイススライムが現れる。言うまでもなく属性は氷。
 さようなら。剣を一振り。

 また今回も現れた。今回はアイスゴブリンの群れである。そしてさようなら。

 弱いなぁ。
チュートリアルの火竜とは比べ物になんないし!

 鼻唄を口遊みながら歩くと、今度は巨大な雪山が前方に見えてきた。しかし雪山ながら、緑が見えるのはなかなか珍しい。

 「なぁ、あの雪山に登ろうぜ!ちょっと楽しそうじゃね!」
 
 「私は賛成〜。地上のモンスターはどうも、レベルが低めだしね。」
 「任せます。」

 「我は、構わんが、このーーー」

 気にせず、進むことにした。

 山は思った程楽ではなく、意外に過酷な道中となった。

 「坂、意外にきついですね。かなり傾斜もありますし。」

 「ちょっと待って〜。この辺りで、休ませて〜〜。」

 かなり後ろの方で聞こえる。
いけない。進みすぎた。

 三波の遅れを戻すように進みむ。すると少し開けた場所に出た。森の木々を縫うように開けた広場。

 「この辺りで一旦休憩にしようか。」

 鞄を開け取り出したのはおやつ。チョコレート。甘い香りが辺りに立ち込め、鼻腔をくすぐる。
それらを一つずつ手渡していく。

 「いただきまーーーー」

 その時、奇妙な声が響いた。また、辺りに地響きが伝えられていく。

 ドドドドドド

 そうして全速力で走りこんできたのはスノーラビットの群れだった。
因みにそれらはかなり経験値が高いことで有名だ。だがそれ故に発見される時は大抵の場合走っていて、倒しづらいというのが難点。と本に書いてあった。

 「スノーラビット達は何かいい香りを感じると、直ぐさまそれに向かい群れで奪う習性があります!急いで隠して!」

と言い終わると同時に目の前にはスノーラビット達がいた。
チョコが……

 慮外な出来事だった。群れは俺たち、チョコを素通りして瞬時に走り去り消えていった。
 
だが、それでも異質な気配はその場を未だ離れはしない。木々は騒めき、生暖かい風が俺たちを包む。また、今度は異様な気配を決定づけるが如く、巨大な地響きが辺りを流れていく。

 ドンドンドンドン

 グゥラガーーーーーーーーー!!!!

 巨大な叫喚と共に姿を現したのは、何と……!!!!

 「フリーズホーン!!!!」

 「何故こんなところに!!!!」

 「おい、どうするんだ!とっとと指示を出さんか!」

 「そうだな!
 勿論、狩ってやるさ!
 全体!戦闘準備!!配置に付け!!」

 「了解です。しかし東藤さん!これは我々の戦力を遥かに上回る戦力を持っています!気を引き締めて参りましょう!!」

 確かに。奴のレベルもHPゲージも今までとは段違いの強さ。

 するとあの巨体には到底似合わない速さで瞬時に間合いを詰めてきた。その相手は笠原。
 だが笠原も負けじとつい先程から展開しておいた自己加速術式により極限まで素早さが上がっていて、何とか横ステップの回避をした。

 「貴様!我の前に平然として立つとは…その物怖じしない放胆なところだけは瞻仰すべきか。然れども、貴様を褒誉する点はその事項のみ。解したならば去れ!」

 グゥラガーーーーーーー!!!

 「そうか。いいだろう。それが貴様の応えか。
そんな貴様には我が身の力の全てを持って、せめてもの報いを与えるべきだろう。」

「出でよ!我が最強の神器よ!レーヴァテイン!」

 そう言って柄を持ち、鞘から取り出したのは、最初に貰った普通の剣。無論、神器でも何ものでもないのは確かだ。

「光輝なる火輪を纏いし業火の劔よ!地獄の如き燃え盛る湮滅の魂の志に!今ここに復活せしラグナロクの焼尽を!」

 すると、視界が少し黒っぽく染まり、小紫を主とする赤と紫のベールが笠原を包む。また、焼尽を、燃え盛る魂を劔の鋼の奥の奥から髣髴とさせるが如く刃が語っている。
まさか…本物、なのか…

 「Ragnarok of destruction !」

直訳で「滅びのラグナロク」だ。

 劔がとうとう、全ての力の封印を今解いた。

 俺はそのまま流すようにフリーズホーンを眺めた。ん……何かが……
 ちょっと待て!もしかすると……!

 「笠原!ちょっと待ってくれ!
 それから、誰か!チョコ、一欠片投げてみてくれないか」

 「了解〜!そ〜れ!」

 グゥアーーーー!!!!

それは巨大で恐ろしい姿とは裏腹に、口を大きく開け、はしゃぐ子供のように待つ姿があった。

 「もしかして、フリーズホーンってチョコが好きなのかな?というか、この子、子供かな〜?」
 
 「え……」
それはもう、一同唖然である。あの、フリーズホーンがチョコが好きだなんて…       
 
 クゥ〜〜〜〜!

 先と同じモンスターとはどう見ても考えられないそれは懐いたのというくらいに可愛らしい声で近づき、頰に擦り寄る。すかさず三波は、抱き着いた。

 「うわぁ〜!もふもふしてる〜。気持ちいい〜。」

 「あ、本当ですね〜。あー、癒される〜。」

 「クッ!我が、このレーヴァテインが貴様を破滅の焔で焙ってやるつもりだったのだが……」

 そして、このフリーズホーンは付いて来いと言わんばかりに鳴き、山の方へ歩き出した。

それに俺たちは付いて行き、大体15分程歩くと洞窟がありその暗い穴を通り抜けるとそこは……

 

 

 

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