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炎獄のナイトクラッシュ

伊那国濤

クエストに行こう

そこはクライクル市、ギルド本部。それは街の中心部に位置する。普段通り、商店街が立ち並び、屋台では、沢山のお店の人が売り込みを続ける。そんな毎度毎度のこの、活況を呈している光景を俺は、ギルドの窓から暫時眺めた後、皆のいるギルド受付へと足を運んだ。

 「こんにちは!冒険者の皆さん!あれ、見ない顔ですね?初めてとか、ギルド加入とかの方ですか?」

 「ああ、俺たちは今日、こっちの世界に来たばっかりで、あんまりわかんなくて…」

 「なるほど〜。分かりました。それではご説明させて頂きますね。」

 いや、待てよ。まだ、俺はギルド加入するなんて、一言も言ってないんですけど…

 とかの声はあの後ろの厨二病しか届きません。
なので、話は続行する。

 「まずはこんにちは!このクライクル市ギルド本部の受付、28歳独身!ルワナ=ミカ=ノーテージと申します。」

 現実世界にもいかにもこんな感じの変態さんを見た記憶があるのですが…

 「ギルドというのは、市が管理する大きな、冒険者組合のようなものです。ギルドに入ると、商店の割引が付いたり、その他、様々なことが利用できたりもします。お得ですね。」

 通販か!

 「しかし、ギルドには先程も説明しました通り、冒険者組合なので、少しばかり、厄介事に首を突っ込む、いや、強制的に突っ込んで頂きます。例えば、実際にあった、このクライクル市を囲む防壁を、何らかの理由で、モンスターに超えられてしまった事があり、その時にはギルド本部から各チームへと連絡し、終始敵を倒し続けて、18匹の各種大型竜を撃破し国を防衛する。などの国の防衛機関も担うのが、この、ギルドなのです。お分かりいただけましたでしょうか?」

 「そんな凄いんですか!」

 「いえ、正直言ってその話は何百年も前の話でして、今の時代、18匹の大型竜が攻めてくるなんて、ほぼありはしないのです。」

 「まぁ、詳しくは加入なさって下さい。その都度、お話させて頂きます。」

 「はい、じゃあ、加入しますね。」
俺は、唯々諾々とまではいかなくとも、他人の思うがままになって、ギルド加入を決意した。

 「それでは手続きが必要ですので、こちらにお一人ずつサインをお願いします。」

 「それで、いいかな、みんな?」

 「ああ、いいだろう。だが、しかしこうーー」
 「はい、私はそれで、お願いします。」

 「三波は?」

 「え、あ、はい、構いません。すいません、つい呆けてしまいました。すいません。何か、異世界に来てしまった、という感覚があまり湧かなくて…迷惑かけてしまって本当にすいません…」

 あー、いいえ、大丈夫ですよ!そんな顔しないで!せっかくの美貌がっ!   

 「貴方、キモいわよ。」

 ドン引きかよ!
 てか、超能力として、人の心の声を読み取る方が余程キモいだろ!

 「いや、大丈夫。気にしないで。それじゃあ、みんなも書いてくれ。」 

 しばらくして、全員が書き終え、この異常に自分の知っている人に似ている目の前の人間との話に倦怠感を感じた俺は踵を返そうとするのだが…

 「加入ありがとうございます!そして改めて、これからよろしくお願いします!」

 何だよ!まだ話す事があるのか?もう、話すのは億劫だ…

 数十分後。

 「……と、いう感じですが……」

 長いんだよ。
 
 話が延々と続く。

 更に数十分後。

 「……なので、ーーなのです。お分かりいただけましたでしょうか?分かりづらいところがあれば、再度説明致しますが…」

 「結構です。」
もう、勘弁してくれ。是非とも、これ以上、こんな他愛もないどうだっていい話を延々と聞かされるこちらの身にもなって頂きたいものだな。

 「それではチュートリアルへと進みますので付いてきて下さい。」

 はあ!?
 
 そろそろ、憤りを覚えた俺は、とうとう、癇癪を起こしそうになった。

 「大丈夫ですよ。敵はチュートリアル用に改造してありますし、安全は保証しますので。」

 いや、そういうことじゃなくてだな。

 「装備を揃えますので、こちらに来て下さい。男性用更衣室はそちらです、東藤さん。くれぐれも、覗かないように。」

 「貴様、覗きなどという趣味を持つのか、東藤。」

 「んな訳あるか!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 「ここは、魔物の森へと続く道です。と、言っても、ここらはチュートリアル専用で、魔法結界が張られているので普通の魔物は出ませんが。」

 「まず、そのスライムを倒しましょう。東藤さん、剣を振って当ててみて下さい。」

 指示に従順に従う俺は、言われた通り、剣を当ててみた。

 その瞬間、スライムは消えていった。一体何処へ行くのやら。まぁ、そんな事を考えている暇はないのだろうが。

 「おめでとうございます。皆さん、自分のゲージを確認してください。どうですか。段々と、ゲージのラインが上がっているのではないですか?」

エリーヌはもともと知っているからだろうか。動く素振りを見せないが、それ以外の2人は、驚きの表情を見せている。

 「確かにそうです。」
 「ああ、そのようだな。何なのだ、これは?おい、貴様、答えろ。」
 
 「はい、お答えします。これは、経験値ゲージです。お、丁度溜まりましたね。はい、これで皆さんのレベルはレベル2にレベルアップしました。おめでとうございます。」

 「本当だ、ステータスが多少上がっているようです。」

 少し興奮する三波に対して、隣の厨二と言う病に侵されている、こやつは…

 「まぁ、こんな感じで、進んで行くと。いう感じです。理解して頂いたと思いますのでボス戦に参りましょう。少し通常とは違いますので。」

 そう言って携帯端末のようなものを取り出し、
素早い動きで操作していく。するとその瞬間、見ている光景が変わり、広大な土地へ出てきた。
地面の草はそれまでの手付かずの自由に伸び放題の原っぱとは打って変わって、綺麗に刈り込まれ戦い目当てで整備されているようだ。
また、その周りにはその場を取り囲むようにして大きな岩が佇んでいる。

 と、そこで、地響きのような大きな音がが自らの足元に響く。

 「グガッッッォォォ」

 突如として姿を現したボスはどうやら見たところ…火竜のようだな、前に現実世界のアニメで見た。

 「な、何故だっ!何故いきなり我らの前にこんな大型火竜が出現するのだ!?」

 「東藤君、これ一体どういう事!?」

 うーん!動揺して慌てる三波は数ある可愛い言動の中で、最上級の可愛さだ!

 「俺も全然、何が何なのか…逆に聞かせてくれよ。」

 嘘でーす。ついさっき地響きが鳴った時、またいきなり火竜が目の前に出現した2つの件。その時、ミカさんが携帯端末で操作していた。という事を彼女たちはまだ知らない。

 などと話していると火竜の存在に全く忘れていた。気付いた時には、時既に遅し。
 
 容赦なく降り注ぐ火竜の爪は鋭く、まさに鉄でも裂けるであろう危険な刃物は俺たちを見ていた。

 もう終わりなのだろうか…ついさっき潜って来たと思ったのに…

 早くね……

 「せぇぁぁ!」

 そこで1人立ち向かって行ったのは、エリーヌであった。

 「ありがとう!」
思わず異口同音に同じ言葉を俺たちは飛ばす。

 しかしまだ、戦いは継続していた。

 刹那、爪と剣が相殺し、豪快な金属音が辺りに響いた。そして、若干エリーヌの剣が火竜の爪の威力を上回り、爪が砕け散る、所謂部位破壊だ。そして俊敏な動きを見せつつ、大きく飛び上がり、そのまま体にその剣を刺していた。

 「グガッッッ」

 意味は分からないが確実にダメージは与えているらしい。
あれ?そういえばボス戦の時だけ、以前の通常雑魚戦とは違い、HPゲージがあるのか。

 「そうです。よく気がつきましたね。その通りです。ボス戦時のみ、HPゲージがあるのです。無駄に体力多いですからね。」

 こいつも超能力が使えるのか…

 「皆さん、支援をお願いします!」

 確かに…何つったんてんだ、俺…さっさと動け!
ダメだ…動かない…

 ビュン。俺の体、左右両方に風が吹く。

 飛び出して行ったのは、三波と笠原だ。

 2人も戦いに参加し、3対1となった今、かなり優勢である事が分かった。
 
 だが。そこで、火竜と言うのだから、なんとなく感付いてはいたが、口から炎が噴出される。

 ヤバい。このままいくと、必ず近接戦闘のあいつらに当たってしまう…と思うや否や、俺は脚を漸く動かした。しかし、もう間も無く、炎は噴出されてしまう…このままでは追いつかない。どうする。どうする、俺。

 しかし、今、俺はとても不思議な状況だという事を理解した、否、理解は出来ていないか…

 時が止まっている……

どうして?頭の中には疑問しか無い。
おかしい。普通こんな事には…

 まぁ、でも、折角だし、一応叩くくらいやってみるか。

 硬い殻を貫通する程、力一杯振り上げた。
 剣で一刺し。

 そこで、時は元に戻った。

 また、前を見ると火竜をいつの間にか倒している。

 「ありがとうございます、東藤さん。」
 「ありがとう、東藤君!」
 「今回ばかりは、礼を言おう。」

 3人に感謝してもらっているのか、今は?

 「おめでとうございます。皆さん。チュートリアルクリアです。さあ、帰還しましょう。」

 未だに状況が把握出来ない。なんだったんだ、今の。まぁ、いいか。終わり良ければ全て良し。

 というか、チュートリアル、ボス、強すぎじゃね。



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