オタとツン属性を併せ持つ妹に、なぜか連夜催眠術を施されることに
最終話
「ニィーニ、……起きてますよね? 」
私の心の奥底を突き刺し抉り出すその言葉に、全身の毛という毛が逆立つ。
そして返事の代わりに、乾いた息だけが漏れてしまう。
「ニィーニは催眠術にかかっている時、瞳は半開きで焦点があっていません。
反対に催眠術にかかったフリをしてる時は、しっかり目を閉じてます。
そして今のニィーニは——」
今の私は、しっかり目を閉ざしている。
つまり、私の嘘は見破られていた。
流れる静寂、その衣摺れの音さえ拾われてしまう中で、私はゆっくりと瞳を開いた。
莉里那は泣きそうな、でも真剣な表情で私を見据え、その状態で何も発さない。
そんな莉里那から目が離せないでただただ狼狽えていると、莉里那は目尻に溜まる泪を拭い再度私を見据えた。
「ニィーニはリリィの愛の囁きを受けて、唇を奪われました。でも抵抗をするどころか、リリィを受け入れそして、……求めてくれました」
莉里那が私に抱きついてくる。
「ニィーニ、大好き」
私は、私も莉里那が好きだ。
でもこの感情は咎められる、抱いてはならない感情なのでは?
今なら容易に引き返せる。
それに私と莉里那が不埒な関係になるのを、周囲の人たちはどう思う?
きっと親父や涼子さんも悲しむ。
そこで私の胸に顔を埋めていた莉里那が、手の力を緩め私の顔を見上げる。
「リリィはずっとニィーニと居たい。このまま離れたくない。
本当は、ずっとずっとこうしたかった。でもニィーニに嫌われてたと勘違いして、とてもとても傷ついて怖かった。でもニィーニの本心を知れて、もう抑えが効かないのです」
莉里那の熱に即席で導き出した決心が、それに私の頭と心がグラグラと揺れてしまう。
「リリィは偽りのまま、生きたくないです! 」
……偽りのまま。
そうだ、私は——
忘れていたが私は、莉里那を異性としてみてしまっていた。
当時の私は、その抱いてしまった気持ちを強引に抑え込むと、無意識の内に莉里那を遠ざけた。
それは近付き過ぎると、また異性としてみてしまうから。
そう、今もこうして偽っているのは、誰でもないこの私だ。
私は全てにおいて人の目を気にして、自分で自身を偽り続けている。
「私は——」
莉里那を愛すると、恐らく両親の反対にあって、私は家を追い出されるかもしれない。そんな結果になるということは、決して正しい判断とも言えない。
だが、だがそんな生き方もあって良いはず。
なら覚悟を決めろ!
私が勇気を出せば、これから莉里那と一緒に人生を歩んでいける!
私は立ち上がると莉里那の瞳を真っ直ぐに見つめ、そのか細い肩に手を置く。
「私も莉里那を、愛している。
キミをこれから、これから一生大切にする。
だから一緒に生きていこう、これからずっとずっと、たとえ離れ離れになったとしても、私は必ず会いに行く。
だからその時は待っててくれないかい?
私が莉里那を迎えに行くまで」
そこで互いの唇が、相手の吐息を感じる所まで接近する。
「莉里那、愛してるよ」
「……お兄ちゃん」
私は莉里那にくちづけをした。
ベットに押し倒してからは、身体中にもキスをした。
途中からベッドの軋む音を嫌って、床に広げた布団の上に移動すると、私と莉里那は何度も身体を絡み合わせた。
そうして今までの人生で一番濃い夜は、莉里那と共に過ごし更けていくのであった。
◆
『チュッ、チュッ』
ん、私は——。
「あっ、起こしちゃいましたね。ごめんなさいです」
見れば暗闇で寝そべる私に、莉里那は下着姿で四つん這いの形で上から乗っかっていた。
そうか、私と莉里那は——。
「ニィーニッ」
甘い声でそう囁きながら顔を寄せ、キスをせがんでくる莉里那。
そこで私は両腕で莉里那の身体を抱き寄せると、軽いくちづけを何度かした。
しかし莉里那はそれだけでは物足りなかったらしく、私の唇をハムハムしてきたため、私もそれに応えて濃厚なキスを時間をかけて行なった。
何度目かの息継ぎで唇が離れた時、壁時計が目に入る。
朝の五時か。
「莉里那、そろそろ部屋に戻らないと、バレてしまうかもしれない」
肩に手を掛け互いの距離を離してから言うと、莉里那が頬っぺたを膨らませる。
「うぅ〜、離れたくないのです。けど、仕方ないのです。でも……最後にもう一度だけ! 」
「っ、あたたっ」
暗闇の中、莉里那が勢いよく顔を寄せてきたため、私と莉里那は衝突をした。
口内に鉄分の味が広がっているため、私は口の中を切ってしまったようだ。
「ご、ごめんなさい」
「これぐらい大丈夫だよ」
申し訳なさそうに謝る莉里那の頭を撫で撫で。
暫くそうしていると、莉里那がこちらに頭を預けてきたため、やり直しのお別れのキスをこちらからする。
そして、奇跡は起こってしまった。
私と莉里那がキスをしていると、なぜか私たちの身体が発光。
その光は私たちをスッポリ包み込む光球となり、見たこともない多くの文字らしき物がその光球内にいる私たちを通り抜けながらも駆け巡っていく。
「なんだこれは!? とっ、とにかく!」
咄嗟に私は目を見開き固まってしまっている莉里那の手を取ると、この光球から出ようと試みる。
しかし私たちを中心に発光しているようで、光球が移動しただけで外には出れない。
ならと思い莉里那の手を離して部屋の隅に移動して離れ離れになる。すると私は光球から出られたが、莉里那は依然光球内である。
この光、莉里那から発されているのでは!?
しかし何故なぜこうなった?
「……ニィーニ、もしかしたらニィーニの血が、ニィーニの発条《ゼンマイ》がリリーの時計を動かしてしまったのかもしれないです! 」
「そんな馬鹿な!? だって莉里那のその設定は作り話じゃないか!? 」
「ステータスが見えるのは、本当のことです!
異世界についてとかは、願望が100パーセントを占めてますけど」
なんだと!?
とにかく莉里那を包む光が強まっている!
私は球体内の文字が加速、高速で動き回る中莉里那の元へ戻ると、彼女を守るようにして抱き寄せる。
そして私と莉里那は光に包まれ、一際強めた光が収まった頃には——
「……ここは、どこなんだ? 」
私と莉里那は、薄暗い見知らぬ森の中にいた。
私の心の奥底を突き刺し抉り出すその言葉に、全身の毛という毛が逆立つ。
そして返事の代わりに、乾いた息だけが漏れてしまう。
「ニィーニは催眠術にかかっている時、瞳は半開きで焦点があっていません。
反対に催眠術にかかったフリをしてる時は、しっかり目を閉じてます。
そして今のニィーニは——」
今の私は、しっかり目を閉ざしている。
つまり、私の嘘は見破られていた。
流れる静寂、その衣摺れの音さえ拾われてしまう中で、私はゆっくりと瞳を開いた。
莉里那は泣きそうな、でも真剣な表情で私を見据え、その状態で何も発さない。
そんな莉里那から目が離せないでただただ狼狽えていると、莉里那は目尻に溜まる泪を拭い再度私を見据えた。
「ニィーニはリリィの愛の囁きを受けて、唇を奪われました。でも抵抗をするどころか、リリィを受け入れそして、……求めてくれました」
莉里那が私に抱きついてくる。
「ニィーニ、大好き」
私は、私も莉里那が好きだ。
でもこの感情は咎められる、抱いてはならない感情なのでは?
今なら容易に引き返せる。
それに私と莉里那が不埒な関係になるのを、周囲の人たちはどう思う?
きっと親父や涼子さんも悲しむ。
そこで私の胸に顔を埋めていた莉里那が、手の力を緩め私の顔を見上げる。
「リリィはずっとニィーニと居たい。このまま離れたくない。
本当は、ずっとずっとこうしたかった。でもニィーニに嫌われてたと勘違いして、とてもとても傷ついて怖かった。でもニィーニの本心を知れて、もう抑えが効かないのです」
莉里那の熱に即席で導き出した決心が、それに私の頭と心がグラグラと揺れてしまう。
「リリィは偽りのまま、生きたくないです! 」
……偽りのまま。
そうだ、私は——
忘れていたが私は、莉里那を異性としてみてしまっていた。
当時の私は、その抱いてしまった気持ちを強引に抑え込むと、無意識の内に莉里那を遠ざけた。
それは近付き過ぎると、また異性としてみてしまうから。
そう、今もこうして偽っているのは、誰でもないこの私だ。
私は全てにおいて人の目を気にして、自分で自身を偽り続けている。
「私は——」
莉里那を愛すると、恐らく両親の反対にあって、私は家を追い出されるかもしれない。そんな結果になるということは、決して正しい判断とも言えない。
だが、だがそんな生き方もあって良いはず。
なら覚悟を決めろ!
私が勇気を出せば、これから莉里那と一緒に人生を歩んでいける!
私は立ち上がると莉里那の瞳を真っ直ぐに見つめ、そのか細い肩に手を置く。
「私も莉里那を、愛している。
キミをこれから、これから一生大切にする。
だから一緒に生きていこう、これからずっとずっと、たとえ離れ離れになったとしても、私は必ず会いに行く。
だからその時は待っててくれないかい?
私が莉里那を迎えに行くまで」
そこで互いの唇が、相手の吐息を感じる所まで接近する。
「莉里那、愛してるよ」
「……お兄ちゃん」
私は莉里那にくちづけをした。
ベットに押し倒してからは、身体中にもキスをした。
途中からベッドの軋む音を嫌って、床に広げた布団の上に移動すると、私と莉里那は何度も身体を絡み合わせた。
そうして今までの人生で一番濃い夜は、莉里那と共に過ごし更けていくのであった。
◆
『チュッ、チュッ』
ん、私は——。
「あっ、起こしちゃいましたね。ごめんなさいです」
見れば暗闇で寝そべる私に、莉里那は下着姿で四つん這いの形で上から乗っかっていた。
そうか、私と莉里那は——。
「ニィーニッ」
甘い声でそう囁きながら顔を寄せ、キスをせがんでくる莉里那。
そこで私は両腕で莉里那の身体を抱き寄せると、軽いくちづけを何度かした。
しかし莉里那はそれだけでは物足りなかったらしく、私の唇をハムハムしてきたため、私もそれに応えて濃厚なキスを時間をかけて行なった。
何度目かの息継ぎで唇が離れた時、壁時計が目に入る。
朝の五時か。
「莉里那、そろそろ部屋に戻らないと、バレてしまうかもしれない」
肩に手を掛け互いの距離を離してから言うと、莉里那が頬っぺたを膨らませる。
「うぅ〜、離れたくないのです。けど、仕方ないのです。でも……最後にもう一度だけ! 」
「っ、あたたっ」
暗闇の中、莉里那が勢いよく顔を寄せてきたため、私と莉里那は衝突をした。
口内に鉄分の味が広がっているため、私は口の中を切ってしまったようだ。
「ご、ごめんなさい」
「これぐらい大丈夫だよ」
申し訳なさそうに謝る莉里那の頭を撫で撫で。
暫くそうしていると、莉里那がこちらに頭を預けてきたため、やり直しのお別れのキスをこちらからする。
そして、奇跡は起こってしまった。
私と莉里那がキスをしていると、なぜか私たちの身体が発光。
その光は私たちをスッポリ包み込む光球となり、見たこともない多くの文字らしき物がその光球内にいる私たちを通り抜けながらも駆け巡っていく。
「なんだこれは!? とっ、とにかく!」
咄嗟に私は目を見開き固まってしまっている莉里那の手を取ると、この光球から出ようと試みる。
しかし私たちを中心に発光しているようで、光球が移動しただけで外には出れない。
ならと思い莉里那の手を離して部屋の隅に移動して離れ離れになる。すると私は光球から出られたが、莉里那は依然光球内である。
この光、莉里那から発されているのでは!?
しかし何故なぜこうなった?
「……ニィーニ、もしかしたらニィーニの血が、ニィーニの発条《ゼンマイ》がリリーの時計を動かしてしまったのかもしれないです! 」
「そんな馬鹿な!? だって莉里那のその設定は作り話じゃないか!? 」
「ステータスが見えるのは、本当のことです!
異世界についてとかは、願望が100パーセントを占めてますけど」
なんだと!?
とにかく莉里那を包む光が強まっている!
私は球体内の文字が加速、高速で動き回る中莉里那の元へ戻ると、彼女を守るようにして抱き寄せる。
そして私と莉里那は光に包まれ、一際強めた光が収まった頃には——
「……ここは、どこなんだ? 」
私と莉里那は、薄暗い見知らぬ森の中にいた。
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コメント
北河原 黒観
マジですか!?
(^^)アザッス
現在別物の新作を考えているため設定はあるのですが……。
今後何処かで彼等がヒョイと出てくるやもしれませんので、良ければ私の拙作を時々確認とかして頂けると嬉しく思いますデス!
ノベルバユーザー282310
え?...めっちゃ気になる