ラブ × ロワイヤル

小森 美佳

11 幸太Side 想い

「なぁ、この後みんなでどこか行こうぜ☆」

図書館を出てすぐ、俺が真っ先に口を開いた。


理由はみんなで行動しながら、途中でタイミングを見つけて長谷部愛華と2人きりになるため。
この日のために、大学周辺にあるお店は全て調べてきた。
後は、長谷部愛華がちゃんとこの俺様についてきてくれるかどうかだ。


「いいな!どこ行く〜?」

あまり頼りないリーダーの雅斗は乗り気らしい。
コンサートが終わった後と同じ笑顔をしているし、なんだか生き生きしているようにも見える。


「愛華は?これからどこ行きたい?」

「えぇ〜!どこだろう!?」


緊張しながらも必死に考えてくれる長谷部愛華のそんな姿を見ているだけで、胸がドキドキする。
何をしていても凄く可愛いし、仕草ひとつで胸が高鳴る。

一度は自分に言い聞かせた。
俺はアイドルだから、恋愛は絶対に許されない。
応援してくれてるファンのみんなに申し訳ないし、何よりメンバーやマネージャー、プロデューサー、関わってくれてる全ての人に迷惑をかける。
だから、長谷部愛華への気持ちを諦めようとも思った。

でも、ジャケット写真の撮影をしている時も、取材を受けている時も、どんなことをしていても、ふとした時に考えてしまうのは、全部長谷部愛華のことだけ。
何度諦めようと思っても無理だった。
俺の中で、とてつもなく大きな存在になっていたんだ。

やっぱり俺は、長谷部愛華のことが好きなんだ・・・。


長谷部 愛華。
お前はFIVE RINGSの中の誰を見てるんだ?
この俺様への気持ちはお前の中にあるのか?

このあと2人きりになった時、全て聞きたい。



ふと愛華を見ると、親友の森口 佐奈恵とケータイを見ながら何やら楽しそうに話していた。
おそらく、これからみんなで行きたい場所について話合っているのだろう。


講義が終わるとお腹空いてるから何か美味しいもの食べに行きたいのか?
それか渋谷辺りまで買い物にでも行くか?
みんなで語るのにはやっぱりカフェか?


俺は2人に合わせる。
その準備はできてるから、今はしっかり話合って決めて欲しい。



「悪い、俺と佐奈恵は約束があるからここで!」

突如、類が口を挟んだ。
森口 佐奈恵は見覚えがないらしく、かなり戸惑っているように見える。

「えっ、そうなの!?ゴメン、引き止めて」

「あっでも、その・・・」

あんなに仲の良い愛華にも上手く言葉が返せていない。
これはむしろ、類が一方的にこの状況を作り出した気がする。

あいつ、マジで森口 佐奈恵に!?
本気で惚れてるのか?


「ほら佐奈恵、行くぞ!」

類に手を掴まれると引っ張られそうになりながら、森口 佐奈恵は必死に類の後をついて行く。

そして2人はそのまま、正門前のバス停に続く緩やかな坂道を下り始め、その背中はどんどん小さくなっていった。


「佐奈が類くんと約束してたなんて知らなかった・・・」

見えなくなった時、愛華が独り言のようにそう言った。

「でも、午後の講義が終わった後あの2人、なんか凄い仲良さそうに話してたぞ!」


愛華に向かって、リーダー雅斗がまるでその時の様子を思い出しながら、嬉しそうなトーンで語り始めた。

「そうなんですか? 類くんって佐奈のこと好きなんだ・・・」

その寂しそうな顔を見て確信した。

もしかして愛華も類のことが!?


クッソ!!
なんで俺たちのファンは類と雄貴のファンばかりなんだ!!
センターはこの俺様だぞ?
なのに、なんであいつらの方が人気があるんだ!!
それがデビュー当時から本当に気に入らない。

だけど今目の前にいる長谷部 愛華は、俺が本気で惚れて、好きになった女だ。
こいつまで類に奪られるわけにはいかない。

長谷部 愛華。
いつか、この俺様のことが好きだと言わせてやる。
だから、類のことなんか見るんじゃねぇ。

こうなったら今日、死んでも距離を近づけないと!!



「あ!そういえば愛華、どこ行きたいか決めた?」

正門の方向をずっと見ている愛華に訪ねる。

「うん!!お腹空いたから何か美味しいスイーツ食べたい♡」

多分、今日見た中で1番テンションが高い声だった。


よし、絶対に愛華が好きそうなお店をチョイスしておいて良かった。

愛華のその言葉で、俺様はケータイで
昨日から調べてブックマークに登録しておいた大学周辺のお店の中からスイーツのお店を探そうと画面を上下にスクロールしていく途中で見つけた。
愛華が1番好きな、パンケーキのお店を。
よし、ここだ!!

この店に連れてって、美味いパンケーキ食わして、類のことなんか考えさせねーようにしなきゃ。
愛華、この俺様のことだけを見てくれ!!



「この近くにケーキが美味しいお店があるんだけど、そこにする?」

俺がそういうと、愛華の顔はますます笑顔になった。

「行きたい♡」

迷いなく即答した愛華を見て俺は、テンションが上がり、つい調子に乗ってしまった。


「雅斗の奢りね〜」

「おい、なんでそうなるんだよ!」

「やった!ゴチになりますね、雅斗さん♪」

「しょうがないな〜、全く〜」


笑顔で承諾してくれたけど、さりげなく財布の中を確認しているリーダー雅斗の後ろで、俺と愛華は笑顔でハイタッチを交わした。

「イェーイ!!」

ヤバい。めちゃくちゃ可愛いすぎる。
この笑顔、ずっと見てー!!


そうして俺達は、目的地のカフェへと向かって、大学の正門へと続く坂道を下り始めた。

俺の隣を歩く、愛華の歩幅に合わせながら。



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