ラブ × ロワイヤル
7 愛華 Side 呼び捨て
「じゃあ私、そろそろ戻るね!」
佐奈恵が鞄と食べ終わったトレーを持ちながら席を立った。
「はいよ〜」
ケータイを弄っていた愛華は、
立ち上がった佐奈恵の顔を見て笑顔で答える。
「あれ?愛ちゃんは戻らないの?」
「今日水曜日だから。午後はゼミだけ!」
「そうだ、今日水曜日だったね!じゃぁまた放課後!」
笑顔で手を振りながら、佐奈恵は次の講義が行われる教室に戻って行った。
食堂の人数もだんだん少なくなり始め、午後の講義開始を知らせるチャイムが鳴り響く。
そして講義が始まると、あの満席状態だった食堂は嘘のようにガラガラになった。
愛華は、食器を返却口に返すと席を移動して鞄からテキストとノートを広げて来週までに提出する課題に取り掛かる。
課題と向き合い始めて少し時間が経った頃、向かい側の席に誰かが座ってきた。
「おい、長谷部 愛華!」
誰かはもうすぐにわかる。
顔を上げると、そこにいたのは幸太くんだった。
「ノート返すの遅くなって悪かったな、はい!」
笑顔でノートが差し出される。
あたしは、いえ。と返事をして受け取ると、また課題へと顔を向けた。
でも、緊張して集中できそうにない。
「はい、これ」
幸太くんは思い出したかのような口調で、ポケットから取り出した小さく折ってあるメモをあたしに差し出してきた。
それはノートの切れ端。
080ー 26○○ ー ☆☆☆
KOTA@*** .jp
幸太くんの連絡先が書いてあったのだ!!
「え、これって・・・」
まさかこんな形で、こんなにも早く幸太くんと連絡先を交換できるなんて思ってもいなかった。
そんな気持ちが混ざり、あたしが驚いた表情を見せる。
「課題とかノートとかまた見せてくれよ、それ俺んだから登録しとけよな!」
「えっ・・・はい、わかりました」
驚きの表情のまま返事をするが、今のあたしにはこの言葉を発するだけで精一杯。
「あとさ、タメで良いから、同じ学部なんだし」
え!?人気者のアイドルにタメ口で話す?あたしが?
まさかそんなことまで言いだしてくるなんて。
無理、絶対にそんなことできるわけない!
「俺もお前のこと愛華って呼ぶから、愛華も俺のことは幸太って呼んでくれよな!」
「えっ、でもそれは・・・」
タメ口で話すうえに、名前は呼び捨てで呼んで欲しいとまで言いだしてくるなんて。
TVの前でなら普通にできるけど、本人を目の前にして名前を呼び捨てで呼ぶなんて絶対に自信がなかった。
「おい!早く呼べよ、俺の名前!」
「えぇ〜!?」
無理、無理だよ。どうしよう?
「早くしろよ〜」
こう言われると言わなきゃまずいよね?
「・・・こう・・た・・・」
今のあたしなりに精一杯のボリューム。
「何、今呼んだ?俺のこと」
「やっぱり、聞こえなかった・・・ですよね?」
やっぱり聞こえるはずないよね。
あれでも精一杯の声で呼んだつもりだったのに、緊張して声小さくなりすぎちゃったな。
ごめんなさい、幸太くん。
かなり期待して待っててくれたよね!?
そう思うと、幸太くんを素直に見ることが出来ずに俯いていると、顔を覗き込まれた。
「嘘!ちゃんと聞こえたよ、ありがとな」
あまりTVや雑誌でも見たことない、最高級の笑顔でお礼を言われた。
そして、あたしの頭をポンッと触った。
ドクンッーー。
顔が熱く、紅くなり、
今にも心臓が破裂しそうな勢いで動いている。
幸太くんにこの心臓の音が聞こえていないことを必死に願った。
どうしよう、もういろいろとヤバイ。
耐えきれないかもしれない。
食堂は、課題に励む学生が多い中、お友達同士でお話している学生やTVもついていたこともあってか、少ない人数の割には騒がしい気がした。
ある意味、良かったのかもしれない。
凄い静かだったら、きっと幸太くんの名前呼べなかったな。
そんな事を考えていた時、この空気に耐えきれなくなったのか、恥ずかしくなったのかはわからないけど
幸太くんが照れ臭そうに言った。
「おい、この空き時間に大学案内してくれよ!この大学広すぎて何がどこにあるのか全然わかんねーからよ」
この際、幸太くんにFIVE RINGSのことをいろいろ聞いて見るのもアリかもしれないし、幸太くんと2人で大学巡りとか凄い楽しそう!
この大学のことたくさん教えたら、今よりもっと大学に来てくれる頻度が増えるかもしれない。
そう思ったら、勝手に口が動いていた。
「是非!あたしで良ければ!!」
あたしがそう返事をすると、幸太くんは
よっしゃ〜とガッツポーズをしながら笑みを見せる。
それから2人で食堂を出ると、幸太くんはあたしの腕を掴んで、広いキャンパスの中を走りだした。
佐奈恵が鞄と食べ終わったトレーを持ちながら席を立った。
「はいよ〜」
ケータイを弄っていた愛華は、
立ち上がった佐奈恵の顔を見て笑顔で答える。
「あれ?愛ちゃんは戻らないの?」
「今日水曜日だから。午後はゼミだけ!」
「そうだ、今日水曜日だったね!じゃぁまた放課後!」
笑顔で手を振りながら、佐奈恵は次の講義が行われる教室に戻って行った。
食堂の人数もだんだん少なくなり始め、午後の講義開始を知らせるチャイムが鳴り響く。
そして講義が始まると、あの満席状態だった食堂は嘘のようにガラガラになった。
愛華は、食器を返却口に返すと席を移動して鞄からテキストとノートを広げて来週までに提出する課題に取り掛かる。
課題と向き合い始めて少し時間が経った頃、向かい側の席に誰かが座ってきた。
「おい、長谷部 愛華!」
誰かはもうすぐにわかる。
顔を上げると、そこにいたのは幸太くんだった。
「ノート返すの遅くなって悪かったな、はい!」
笑顔でノートが差し出される。
あたしは、いえ。と返事をして受け取ると、また課題へと顔を向けた。
でも、緊張して集中できそうにない。
「はい、これ」
幸太くんは思い出したかのような口調で、ポケットから取り出した小さく折ってあるメモをあたしに差し出してきた。
それはノートの切れ端。
080ー 26○○ ー ☆☆☆
KOTA@*** .jp
幸太くんの連絡先が書いてあったのだ!!
「え、これって・・・」
まさかこんな形で、こんなにも早く幸太くんと連絡先を交換できるなんて思ってもいなかった。
そんな気持ちが混ざり、あたしが驚いた表情を見せる。
「課題とかノートとかまた見せてくれよ、それ俺んだから登録しとけよな!」
「えっ・・・はい、わかりました」
驚きの表情のまま返事をするが、今のあたしにはこの言葉を発するだけで精一杯。
「あとさ、タメで良いから、同じ学部なんだし」
え!?人気者のアイドルにタメ口で話す?あたしが?
まさかそんなことまで言いだしてくるなんて。
無理、絶対にそんなことできるわけない!
「俺もお前のこと愛華って呼ぶから、愛華も俺のことは幸太って呼んでくれよな!」
「えっ、でもそれは・・・」
タメ口で話すうえに、名前は呼び捨てで呼んで欲しいとまで言いだしてくるなんて。
TVの前でなら普通にできるけど、本人を目の前にして名前を呼び捨てで呼ぶなんて絶対に自信がなかった。
「おい!早く呼べよ、俺の名前!」
「えぇ〜!?」
無理、無理だよ。どうしよう?
「早くしろよ〜」
こう言われると言わなきゃまずいよね?
「・・・こう・・た・・・」
今のあたしなりに精一杯のボリューム。
「何、今呼んだ?俺のこと」
「やっぱり、聞こえなかった・・・ですよね?」
やっぱり聞こえるはずないよね。
あれでも精一杯の声で呼んだつもりだったのに、緊張して声小さくなりすぎちゃったな。
ごめんなさい、幸太くん。
かなり期待して待っててくれたよね!?
そう思うと、幸太くんを素直に見ることが出来ずに俯いていると、顔を覗き込まれた。
「嘘!ちゃんと聞こえたよ、ありがとな」
あまりTVや雑誌でも見たことない、最高級の笑顔でお礼を言われた。
そして、あたしの頭をポンッと触った。
ドクンッーー。
顔が熱く、紅くなり、
今にも心臓が破裂しそうな勢いで動いている。
幸太くんにこの心臓の音が聞こえていないことを必死に願った。
どうしよう、もういろいろとヤバイ。
耐えきれないかもしれない。
食堂は、課題に励む学生が多い中、お友達同士でお話している学生やTVもついていたこともあってか、少ない人数の割には騒がしい気がした。
ある意味、良かったのかもしれない。
凄い静かだったら、きっと幸太くんの名前呼べなかったな。
そんな事を考えていた時、この空気に耐えきれなくなったのか、恥ずかしくなったのかはわからないけど
幸太くんが照れ臭そうに言った。
「おい、この空き時間に大学案内してくれよ!この大学広すぎて何がどこにあるのか全然わかんねーからよ」
この際、幸太くんにFIVE RINGSのことをいろいろ聞いて見るのもアリかもしれないし、幸太くんと2人で大学巡りとか凄い楽しそう!
この大学のことたくさん教えたら、今よりもっと大学に来てくれる頻度が増えるかもしれない。
そう思ったら、勝手に口が動いていた。
「是非!あたしで良ければ!!」
あたしがそう返事をすると、幸太くんは
よっしゃ〜とガッツポーズをしながら笑みを見せる。
それから2人で食堂を出ると、幸太くんはあたしの腕を掴んで、広いキャンパスの中を走りだした。
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