異能ガチャと勇者逃亡生活

バーニー

凄い人でした………


「大丈夫だった?」

 少女は樹に向かってそう声をかけてくる。

「あ……ああ、大丈夫だ、」

その声で我に返る樹。
 おいおいまじかよ、あんな一瞬でゴブリンたちを倒せるんだ?
確かにゴブリンの知識があってるかどうか分からないが、それでもこんなに一瞬で倒せるのかよ。
そう思っていると少女は近づいてきて

「よかった、でもゴブリンに怯えすぎだよ。」

そう言って少女はケラケラ笑っていた。
 ならなんで助けてよなんていった!と、言ってやりたかったが、ここに来て初めての人、第一村人だ!
最初の印象を良くしようとして、必死に押さえ込む。

「助けてくださりありがとうございます。僕は中山樹です。よろしく。」

少し頭下げ、そう挨拶をする。
 流石が俺、この挨拶は好感度Maxだわ。伊達にサラリーマンしてた訳では無いな。
心のなかで自分のことを自画自讃していると

「感謝するこではない。無事であったならそれで良かった。あと、私はフェン・アークだ。よろしく。」

 少女…フェンはそう言いながらゴブリンを切った剣をしまう。
 よし、挨拶も終わったし、情報収集開始だ!
そう思い気合いを入れて情報をもらおうと口を開けようとして…

「そういえば、こんな所で何してるの?ろくな装備をしないでこの覇王の森に、」

と、先にフェンが話しかけてきた。
 さて、どう返事しようか?ここにどんな職業があるか分からないが商人とかならいるかな?どこに居ても不思議でもないしな。
そして口を開く、

「はい、僕は商人でして、色々あってこんな感じに……」

そう言って俯く。
 ふふふふふ、この演技、流石だ!
また、自画自讃してから顔を上げるとジト目で俺を見ているフェンがいた。

「何か隠しているよね……」

な、なんでばれた!完璧だったはず。
 ゴブリンを瞬殺したときより驚愕した樹。

「はっはは何のことかな?」

 なんとか誤魔化そうと頑張るがフェンの目がだんだん死んでいった。

「まっまあ、それよりもフェンって何者?あんなに強いのに?」

話をそらしながらフェンの正体を探る。まあ無理ありすぎたが、

「えっ、私をしらないの?」
「知らないから聞いてんじゃん。」

そう言いながら見つめ合う2人。

「そうか、なら私は誰かというと」

フェンはそう言いながらニヤニヤして

「勇者フェン、それが私の名称よ。」

と、言ってきた。

「異能ガチャと勇者逃亡生活」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く