神様はチートはくれないけど元々俺のステータスはチートだった

おねむねむねむのきょう

大会編 二章 大会予選14

「加速」
再びフラツィオが呟やき、こちらに攻撃を仕掛けてきた。
大方魔剣の能力を引き出す呪文のようなだろうが、能力は加速だろうな。名前的にもさっき加速させたって言ってたし。
どうやら予想は当たっていたようで、先ほどよりも一段と速く距離を詰め、襲ってきた。
「この技は美しくないから嫌なんだけど仕方ない。瞬破」

 瞬破
この技はスピードこそ欠けるがくらえば一瞬で相手を殺す事ができる。
主に命を賭けた一騎打ちや脅しなどに使われる。
しかし、フラツィオが放つ瞬破は通常のものより格段に速かった。
瞬破を下に躱しフラツィオの懐に入り込む。
更に全力でパンチを一発ぶち込んだ。
フラツィオはもろにくらい吹き飛ばされ、壁にぶつかった。
「瞬破だと!殺す気か!」
状況を理解できずに呆然としていたが、瞬破に気づいた参加者の1人が驚いて声を上げた。
「マジで殺すところだったぞ」
「何考えてんだ」
その一言を聞いた他の参加者達もザワザワと騒ぎだす。
あの瞬破には手加減など一切なく完全に殺す気で打ったのだ。
「負け…かな」
ボソッと呟いた声にその場の全員が意識を向けた。
負けを宣言したのはフラツィオだった。
フラツィオがぶつかった壁はボロボロになり煙を上げている。
攻撃をくらった場所は服が破れ俺の攻撃で大きな傷打撲の傷が付いていた。
少しグロかったため、少し目を背けた。
こういうのは慣れない。
前世はよほど平和だったのだろう、血や肉、大きな傷などは中々見慣れない。
「勝者エイト!急いで医者を呼ぶ、回復魔法が使える奴は治癒を頼む」
ウェンデルは適切な指示を出す。
が、それは要らないと否定するようにフラツィオは立ち上がった。
「大丈夫だ。僕は自分で治せる」
そう言って立ち上がり、去ろうとした。
それを引き留めるように声をかける。
「何が目的だ」
フラツィオは振り返ってこう言い残し去って行った。
「それは言えない。ただ、近いうちに君達とはまた戦う事になりそうだ。今度戦う時は120%でやろうじゃないか」
結局最後までよくわからない奴だな。キザ男って程キザでもなかったし。
それより近いうち…か。
また厄介な事が起こるわけか。
とりあえず休憩しとくか。
次の戦いはカルラとグリッター。
まあ、カルラの勝ちか。

 カルラ視点

次は私の試合か…
流石に長く立つのはしんどいから椅子を持参(グリッグから持って来てもらった)して座っていた。
前々回はついカッとなっちゃったけど勝負は楽しんだ方がいいからね。
「そろそろ出とくか…」
軽くなった腰を上げ、会場に向かう瞬間グリッグとすれ違った。
「勝てよ」
あまりにもいつもと違った雰囲気に驚いて振り返る。
「俺が椅子を持って来るまでかけた時間と労力のためにな ハハハハ」
グリッグが大きく笑う。
あ〜れ?
さっきの驚きが嘘のように消えて今は怒りしか湧き上がってこないなー。
なんでだろ?
あ、わかった。
「そっかテメェは相変わらずって事だな」
私の心境を察したのかグリッグの顔がどんどん青白くなっていく。
「いや、あの、あははは すみませんでし グハッ」
逃げようとしたグリッグをボコボ、ゲフンゲフン気絶してしまったので保健室まで見送って試合に戻った。
「やっぱウォーミングアップは必要だな」
相手はグリッターとか言う私と同い年くらいの少年。
一度だけ見た事がある。
確か学園で模擬戦を見たな。
学園の制服を着ているが纏っているオーラはなんというか眩しい。
比喩とかじゃなくてマジで眩しい。
目が開けられない。
一応武器は槍らしい。
「前の試合から思っていたが明るすぎて目が開けられんからそのオーラ辞めてほしいのだが」 
「ああ、すみません。これで最小なんです」
申し訳なさそうに言う。
ってかこれで最小かよ。
スキルに超発光でもついてんのか?
「そうか…。では行くぞ。それでは始め!」
とりあえずこのままじゃ目が開けられない。
「〈アイ〉+〈補正〉=〈視界補正〉」
これである程度は見えるようになる。
さて、どう戦おうか。

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