神様はチートはくれないけど元々俺のステータスはチートだった

おねむねむねむのきょう

大会編 二章 大会予選4

部屋中が静まり返る中、そんな空気をもろともせずにウェンデルは話を続ける。
「第2試合はシュガーとグリッグ。両方とも学園生でシュガーが2年生、グリッグが1年生。先程の戦いはまさかの展開でしたが今回はどうなのでしょうか」
グリッグは対戦が決まったのに余裕そうな表情をしている。
「俺の番か。あのKYを倒して来るか」
余りに自信満々に言うので少し心配になり口を挟んでおく。
「そう上手く行くといいな」
「何言ってんだ。俺はお前を倒すために日々努力してるんだぜ。まさか俺が負けると?」
実際あのシュガーは強い。
俺が相手ならば勝てるだろうがグリッグだと心もとない。
しかし、グリッグの実力不足を心配している反面グリッグの実力を俺は見たことがほとんどない。
体育で模擬戦をしていたときぐらいだ。
そんな事を考えている間にもグリッグとシュガーは構えをとっていた。
ちなみにグリッグもシュガーも木剣。
「悪いが今回は勝たせて貰うぜ」
まるで勝利を確信したかのような笑みを浮かべるグリッグは大胆にも勝利宣言をする。
しかしグリッグの勝利宣言を戯言と受け取っているのかクールに返事を返した。
「お前に負ける事は一生無い」
両者…と言うよりグリッグの方から一方的にライバル視してゴウゴウと気力が漂って来る。
グリッグの気力は勝利を思わせる程強い。
話し合いが一息ついた所でウェンデルが口を開ける。

「では第2試合始め!」
試合開始の合図が出たが2人とも動く様子は無い。
グリッグは未だに余裕の表情でシュガーを見ているが対するシュガーは相手を見極める様にグリッグを睨んでいる。
「どうした?負けないんじゃなかったのか?」
誰にでも分かる様な挑発をシュガーは鼻で笑う様に挑発で返す。
「安い挑発は焦ってる証拠だぜ」
「なっ!」
グリッグは完全に怒り飛び出した。
何度も剣を振るうが乱雑な剣捌きでは擦りもしない。
「まだまだだな」
呆れ半分の様子で溜息をついた。
「白の血族よ 血を操りて 力を貸したもう」
なんともやる気の無い棒読みの魔法詠唱だが、この詠唱からは何が発動するかは分からない。

普通詠唱と言うものは自分のイメージ力を上げるために古代の人々が開発した物でイメージが出来れば詠唱などは必要が無い。
しかし詠唱は短くなるほどに強いイメージが必要となり、実戦では使えなくなってしまう。
特に魔法名は必須となり、これが無ければ大抵の人が魔法を使えない。
俺がレッグと戦った時に使った「土」は主に無形魔法と呼ばれており、詠唱が無い上に動かす度に魔力を使用する。上級者でも出来ない凄技だ。
ちなみに剣術などにも詠唱…と言っても技名を叫ぶことが必要となる。

魔法の効果なのだろうか先程のシュガーとは格段に身体能力を上げていた。
そこでグリッグは剣術を使う。
「破連!」

 破連
主に威力を意識した技には「破」と名がつく。
しかしその分素早さには欠ける。
その中でも破連は上の中と言ったほどの強さを持ち、使用者次第では岩をも軽々と砕く。

「とりゃゃゃゃゃ!」
部屋中に響き渡るグリッグの叫びから全力である事が分かる。
全力の破連。
威力は申し分無く、素早さもそこそこ。
これで勝てるだったのだろう、グリッグにも観客にも口を開け唖然としていた。
「なかなか良い攻撃だったぜ。雑魚にしては」
その声の主はシュガー。
彼の右手を見るとそこにはグリッグが持っていた筈の木剣が握られていた。
フッと笑いシュガーは勢い良く木剣を振るいグリッグに容赦なく当てた。

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コメント

  • おねむねむねむのきょう

    そう言って頂けると本当に嬉しい限りです。
    今後の励みにになります。

    0
  • 咲

    面白いです!

    1
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