こんな異能と職業で俺にどうしろと

上条康

ここどこー

俺は夢を見ていた。
異世界で女の子に囲まれ、ハーレム生活を送る夢を。

そして、あんなことや、こんなことをする夢を。
つまり、エッチな夢。
て、どんな夢見てんだよ俺は。

そして目が覚める。

「どこだここ?」

それは、鉄の匂いが漂う小さな部屋。
俺は椅子に縛り付けられており、身動き取れない状態である。
そして俺の目の前には、さっきのローブ人の姿があった。
思い出した、俺はこいつらに殴られ、拘束され、眠らされたんだ。

「目が覚めましたねぇ、こんにちは、わたしの名前は、スガラと言いますかねぇ」
スガラと名乗った一人がこちらに近づく。
表情は分からないが、笑っているようにも感じとれた。
俺って今ピンチだよな?

「あの〜、この拘束解いてくれません?」
「ん〜、今からの実験が終わったらいいですかねぇ」
「は、実験?なんの?」
「貴方の身体実験ですかねぇ」

ヤバイって、
俺は少し恐怖を覚える。

「安心してください、解剖実験では、ありませんからですからねぇ。ですが……少し痛苦しいことをしますが頑張って耐えてくださいですかねぇ、ニヒヒヒ」
「おい、俺に何すんだよ、てかなんで俺なんだよ!」

この異世界に来て初めてとも言える恐怖を隠しきれないでいた。

「あの場に、貴方がたからですかねぇ?」
「それだけで……」

「一つ言い忘れてましたが、この実験で成功したものは一人もいませんからねぇ!言えば、死です。ニヒヒヒ、成功すれば生き、失敗すれば死ぬ。このどっちかですよぉ貴方も。ニヒヒヒ」

こいつ、俺に何する気だよ。
ここから、逃げたいという気持ちでいっぱいになる。
ヤバイヤバイ俺死ぬって……成功者がいないってなんだよ。
「お前ら何者だよ、何で実験なんかすんだよ」
「わたしたちはですねぇ、魔神族に従う実験者ですかねぇ。何で実験なんかするのかと言う質問ですがそれは、単に面白いからですねぇ。ニヒヒヒ」

こいつ頭狂ってる。

「では、実験始めといきましょうかねぇ」

そして、奥にいたローブの一人がこちらに近づいて来る。
「これを」
ローブの一人がスガラに何かを渡す。
「なんだ……それ」

透明なコップに赤黒い液状のものが入った物。

「知りたいですかねぇ、これはですねぇ、伝説とされた黒き龍の血ですかねぇ、別名……黒龍。これを今から貴方に飲ませますかねぇ」

黒龍……神さまがなんか言ってたな……

「なぁ、成功したらどうなんだ?」
「ん〜、どうなるのですかねぇ、わたしの予想では、黒き龍の力を手にできると思いますかねぇ。その後は、貴方には死んでもらいますかねぇ、ニヒヒヒ、成功しても死、ですかねぇ」

そんなむちゃくちゃな……ああ、ここは異世界だった。

「さあ、飲むのです、ああその状態では飲めませんねぇ、ニヒヒヒわたしが飲ませてあげましょーかねぇ。口を大きく開けてぇ、さんはい」

「いやだ、俺はそれを飲まない」
「では……魔法身体操作ですかねぇ」

その瞬間、体が動かなくなる。
なんだなんだ、体の自由が……

「今の貴方の身体はわたしが操作できますかねぇ」

おい、それって……

「口を開けてぇ」

それに合わせて、口が勝手に開く。

「では」
「ぐがあぁ」

俺はついに飲まさせられる。

ーーゴクン。

「では、わたしはこれで失礼。数時間後に様子を見に来ますかねぇ、ニヒヒヒ」

そして、身体の自由が戻る。

「おい!スガラ待てやーー」
「いや、ですかねぇ」

そしてスガラは消え、ローブ数人が俺を監視役として見張っていた。


スガラが消えて数分たった頃に俺の体に異常が出てくる。

「か……らだ……がぁぁ」

いままでに感じたことのない痛みと苦しみが俺を襲う。
熱い熱い、焼けるヤバイ、うぅ吐き気があぁ、なんだよこれ……ゔぅは……。
口から血しぶきが出てくる。

「マジで……くそぉがぁ、がは、はぁはぁ、ぶん殴ってやる、ぶん殴ってやる、スガラああぁ、ゔぅはぁ、かはっ」

そしてそのまま意識がなくなり気絶した。

ー次の日ー

「貴方〜いきてますかねぇ、まだ一回目ですかねぇ」
「スガラあぁ、殺してやる!」
「それはそれは……できますかねぇ、ニヒヒヒ」

そしてまた俺は、黒龍の血を飲まさせられる。



この黒龍の血を飲むことが、1日3回に渡って行われる。
この流れが今4日経とうとしていた。

「まだ、生きてますかねぇ、ニヒヒヒ、タフですねぇ貴方、普通なら3日目で死んでるんですがねぇ、この調子なら期待できますかねぇ、もう喋る気力も出ませんかねぇ、ニヒヒヒ」
「ニヒヒヒ、ニヒヒヒうるせぇよ!」
俺は顔を上げて睨む。

「怖いですかねぇ」
「もっと、俺に黒龍の血を飲ませろよ、このクズが!」
「いいですねぇ、いいですねぇ、その根性、最高ですかねぇ、では、いつもの倍の量でいきますかねぇ」

そしていつもの倍の黒龍の血を飲ませられる。

「グッハアァ」

さすがにいつもの倍の量はきついな。

「ではまたですかねぇ」

そしてスガラは消えていく。
俺は気づいてしまった。
3日目にして、この苦しさが和らいだことを。
それは、なぜか?
俺がこの異世界に来た時付いて来た、神体質・適合が俺を守ってくれていた。
今の俺の異能能力を確認する。

神体質・【黒龍破壊者
・【無力化】
能力1・【身体強化】
能力2・【壊れない木の棒(出し入れ自由)】


そう、適合が黒龍に変わっていたのである。
スガラが言う、黒龍の力を手に入れるのが成功していたのである。
俺の今の考えは、もっと黒き龍の血を飲み力を手に入れる、それが今の考えである。

そして俺は一休みして寝た。



そして、一週間が経った今。

「貴方タフですかねぇ」

そして一つ疑問に思っていたことを聞いた。

「おい、スガラ、どっから黒き龍の血を取って来てんだよ」

「ニヒヒヒ、それはですねぇ、地下室からですかねぇ。本体が、そこにいますからねぇ」

ふん、それはいいことを聞いた。
「これいつまで続けんだよ」

「貴方が黒龍の力を手に入れるまでですかねぇ」
「ほーう、そうか……なら今からお前を……殺す!」
「そんなことが、できるんですかねぇ、ニヒヒヒ」
「ああ、できるさ」
俺は縛り付けていた鎖を腕の力だけで壊す。

「あれぇ、鎖壊しましたねぇ、ニヒヒヒ」

久しぶりに、立ち足がふらつく。
でも少し体が軽いような。
さあ、みせてみろ黒き龍の力を。
そして、黒龍の力を意識した時体から黒い色をした電流みたいなものが出てくる。

「ん、貴方、目の色が変わって、黒き龍特有の現象が起きてますかねぇ。貴方黒龍の力を手に入れていたんですねぇ、つまりぃ、成功者ですかねぇ。では、死んでもらうとしますかねぇ」

「おい、なんで成功した者を殺すんだ?」
「当たり前ですかねぇ、成功と分かれば、わたしもその力を手に入れることができる。そして黒龍の力を持つ者は一人で十分だからですからねぇ」

なるほど……成功者を見つけて黒龍の力を手に入れることができると分かればいいと言うわけか。

「死ね、スガラ」
「それは、わたしのセリフですかねぇ」

後ろに控えていたローブ集団が一斉に魔法を唱え始めて攻撃魔法を打つ。

「「魔法デススピアァ」」

俺は心の中で一言・【無力化】という。
するとローブ集団が放った魔法が一瞬にして消える。

「ほほぉう、すごいですかねぇ」

そして俺はスガラに向かって殴ろうと足に力を入れ向かおうとする……すると瞬間移動のようなしてスガラの目の前へと到着。
俺は思わず、

「え、マジで」

そのまま俺の出した拳がスガラの顔面を捉える、そして吹っ飛んで気絶する。

それを見たローブ集団が一斉にして逃げる。
また、鬼ごっこ?て、今度は俺が鬼かよ。
俺はさっきのことを反省して少し力を緩める。
そして、一人ずつ顔面を殴り気絶させた。

「よし、終わったな」

俺は黒龍の力を解除し、地下室へと向かう。





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