俺の能力の使い勝手が悪すぎる件について…

東堂 アヤト

第8話『これは…まさか!』

(あ…れ…?俺は死んだのか?あれここは…)
シンは眼を覚ますと異世界に来る前の自分の部屋にいた。

『あれ?なんで?俺確か異世界行ったはずなんだけど?』

『夢…だったのかな?』

シンはベットから起き上がるとなんとなく学校に行く準備をして
リビングに向かった。

下に降りると母が当たり前のように朝食を作っていた。
制服姿の俺を見ても何も反応しない。

まるで俺が引きこもりじゃ無かったかのように。

朝食を済まし,玄関で靴を履き,ドアを開けた…

『行ってきま…』

シンの声が止まった。
なぜなら異世界では無いこの世界に倒したはずのアジ・ダハーカがいたからだ。

『な、なんでここに…』

言葉を言い終わる前にシンは食われた…

『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』

シンの視界は真っ暗に何も見えなくたって意識を失った…。

『…はっ!ここは!』
『わっ!お、起きたんですね。よかったです。』

どうやら俺は夢を見ていたようだ…。

『動かないでください。今,回復魔法かけてますから。』

『分かった。そうさせてもら…?』

そこでシンは異変に気付いた地面が柔らかい。
そしてルミナの顔がこれだけ近く,上にあるということは,ここでシンは悟った。

『ひ、膝枕ですか!?』

『はひ!い、嫌ならやめますよ。』

『このままでいい,いや,このままでお願いします!』

(膝枕とか、俺の憧れのシチュエーションランキング
ベスト3に入るぞ!ありがとうございます神さまぁぁぁぁ!)

このまま2人共話さない状態が数分間続いて、先にルミナが口を開いた。

『あの時シンさんは,なんであそこまでアジ・ダハーカを倒そうとしてたんですか?』

(あの時…、は!ドラゴンを見た時か。)

『いや,俺もほんとよく分からないんだ。なんか体が勝手に動いたんだよ』

『コイツは今倒さなきゃいけないって。』

『シンさんは正義感が強い人なんですね。』
『そう…なのかな。』

そのことはシン自身でもわからなかった…。

『でも…やりすぎです。こんなに自分を犠牲にして私の身代わりになって…。心配したんですよ。』

『ごめん…。でも,あの時ルミナちゃんだけは守らなきゃいけないって思ったんだ。』

『大切な人を失ってはいけないってね。』

その時ルミナの顔がボンッと赤面した。

『た、たた、大切な人というのは、す、すす、好きな人ということなんですか…?』

小さい声だったのでシンには一部分しか聞こえなかった。

『大切な人?もちろんルミナちゃんは大切な人だよ!』 

ルミナの顔がこれ以上ないぐらい真っ赤になった。

『あ、ああ、ありがとうございましゅ!!!』



回復が終わったシンはルミナと共に宿に戻っていた。

『それにしてもあの時のシンさんの力はなんなんでしょう?』

宿に戻った2人はシンのあの時の異常な能力について話していた。

『さぁ?俺にもわかんない?』

『おそらく特殊能力で間違いはないと思いますが…』

『まぁその事はまた明日。ギルドに報告に行かなきゃいけないし、その時何か知らないか聞いてみよう。』

『そうですね。では今日はゆっくり休んで下さい。』

『おう!じゃあそうさせてもらうよ。お休み』

『はい。おやすみなさいシンさん。』




その頃ある屋敷では…

『お嬢様、例の冒険者についての資料、完成しました』

『ご苦労。下がっていいわよ。』

『はっ!』

『シン・クライブ、か…』
『ふふっ、明日が楽しみだわ。』


コメント

  • 冬狸

    シュツエーションではなく、シチュエーションでは無いですか?
    故意的なものできたらすみません。
    最近読み始めたのですが、凄く面白いです。

    1
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