椿姫
過去
「ほーくとにぃ!あーそぼ!」
   
ガサッという音と共に草から顔を出した男。彼の名は北斗といった。
「おー、今日もやるかー」
「うん!きょうもおしえてね!」
 
麗玉はいつも独りだった。
双子の妹、秀麗はいつも体調を崩す。
両親は妹に付きっきりだった。
いつしか麗玉は"わたしがしゅうれいをまもらなきゃ"と思うようになった。
昔武術を生業としていたという北斗に頼んで、武術を習っていた。
彼女は今日も剣という名の枝を振るう。
   
北斗は感じ取っていた。この幼子には武術の才があると。
たとえ、教えているのが兇手としての技術だとしても__
 
北斗は麗玉達一家が、紅州の紅本家から貴陽のある紫州への道中もひっそりと付いてきてくれた。
   
呼べばどこからともなく現れて、武術の稽古をしてくれていた。
父、邵可の用事で茶州を訪った際、血塗れの少年を拾った。
初め、彼は
『死なせてください。自分では死ねないから……死なせてほしい』
と言葉を紡いだ。
母、薔君により邵可や薔君の激苦激不味薬湯を飲まさせる事となった。
   
彼は流罪にされた第二公子、紫清苑であった。
その素性をひた隠し、彼は笑顔を封じた。
   
薔君によって新たに付けられた名は、茈静蘭。
その後双玉と渾名される武官である。
   
__北斗は貴陽に入都する直前、姿を消した。
   
ガサッという音と共に草から顔を出した男。彼の名は北斗といった。
「おー、今日もやるかー」
「うん!きょうもおしえてね!」
 
麗玉はいつも独りだった。
双子の妹、秀麗はいつも体調を崩す。
両親は妹に付きっきりだった。
いつしか麗玉は"わたしがしゅうれいをまもらなきゃ"と思うようになった。
昔武術を生業としていたという北斗に頼んで、武術を習っていた。
彼女は今日も剣という名の枝を振るう。
   
北斗は感じ取っていた。この幼子には武術の才があると。
たとえ、教えているのが兇手としての技術だとしても__
 
北斗は麗玉達一家が、紅州の紅本家から貴陽のある紫州への道中もひっそりと付いてきてくれた。
   
呼べばどこからともなく現れて、武術の稽古をしてくれていた。
父、邵可の用事で茶州を訪った際、血塗れの少年を拾った。
初め、彼は
『死なせてください。自分では死ねないから……死なせてほしい』
と言葉を紡いだ。
母、薔君により邵可や薔君の激苦激不味薬湯を飲まさせる事となった。
   
彼は流罪にされた第二公子、紫清苑であった。
その素性をひた隠し、彼は笑顔を封じた。
   
薔君によって新たに付けられた名は、茈静蘭。
その後双玉と渾名される武官である。
   
__北斗は貴陽に入都する直前、姿を消した。
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