Federal Investigation Agency Investigator・連邦捜査庁の捜査官~皇帝直属のエージェントたち~

11月光志/11月ミツシ

第7章2話

「発射準備よし、目標中央銀行、伍長さん準備はいいですか?」
「おう、抜かりないぜ」

 現在伍長以下2名は先ほどまで地下銀行で強盗まがいの……いや実際強盗だったのだが、お金を地上部に引き出し、焼却処分していた中央銀行を後にして、中央銀行を見下ろせる一にあるビルの屋上にいた。
 ちなみにだが、入ってきた入り口は排気ダクトであるため脱出時には使うことができなかった。ではどうやって出てこれたかというと、正面玄関があるなら裏口があるじゃないか! という理屈のもとで裏口を探していた伍長が職員用の出入り口……所謂裏口を発見しそこから脱出してきたわけだ。

「無線周波数セットよし、目標座標位置セットよし、退却路確保よし……。伍長さん撤退するときに敵さんにもつかる恐れがありますので、武器武装はしっかりしておいてくださいよ」
「了解、任せろ! 元陸軍伍長をなめるなよっ!」
「では、行きます。カウントダウン始動、砲弾のロケット推進剤点火準備よし。……3……2……1……0! 発射!」

 丁度そのカウントダウンが0を示した瞬間、アンデス森林に置かれていたマグネッション対戦車砲は、無線信号によって滑腔砲内に装填されていたT弾のロケット推進剤が点火し、真っ暗闇の暗いアンデス森林から一筋の光の矢が飛翔した。
 そして、その飛翔は地対空ミサイルに撃破されることもなく一直線に中央銀行目めがけて飛翔し、そして……。

 ドゴォォォォォォンッッッ!!!!!

 中央銀行の屋上を突き破るような形で地面まで貫通し、大爆発を起こした。

「うはぁ! すげぇ、一瞬にして中央銀行が内部から爆発しておるぞ!」

 興奮気味に叫ぶ伍長閣下。

「はいはい、そうですねぇ……っと、そろそろ撤退しましょうか、ほら周りに憲兵やらなんやらが集まってきましたよ」

 確かに瓦礫と化した銀行の周辺には近隣住民と思わしき野次馬たちと、それを懸命に現場から退かそうとする憲兵たちの攻防戦が繰り広げられていた。 

「そうだな……。しかし今更なのだがなルーズルート、どうやってス連本土まで帰るつもりだ? 対空砲が危ないなら乗ってきた輸送機が着陸しての回収は不可能だろう? ……おい、ルーズルート? どうした黙り込んで……」
「…………」

 顔が蒼白になっているルーズルート。
 実に分かりやすい答えである。黙り込んで顔を蒼白している……。つまり……

「まさか……脱出方法を知らないとか?……」
「……えっとですね、本来ならば乗ってきた輸送機に直接転送するだけでよかったはずなんですが、転送装置には問題がありましてね? 10km以上離れた距離からは転送できません、やるなら本格的な装置を使わないと無理です。
 しかも、今日に限って対空警戒が高いですし、10km圏内にいなくてはなりません。……まぁ簡潔に申しますと積みました」
「おい!」

 簡単にあきらめるような奴だっけ? 伍長はふと疑問に思う。

「じゃぁ、どうやって脱出する……」

 それ以上は伍長は聞くことができなかった。
 それはなぜか? 理由は彼らにはある意味で明白的だった。

『そこで何をしている!?』

 拡散器から男の怒号が聞こえてくる。
 惑統連制のHC-82戦闘ヘリコプターがサーチライトをこちらに向けてホバリング状態で停止していた。
 丁度瓦礫と化した中央銀行の方面から、まだ近くにいるであろう爆破した犯人祖捜索するために投入されたものだ。だが、不運にも屋上で伏せてスタンバっていた伍長さんたちを発見してしまったのだ。
  
 これは表情にまずい状態である。
 爆発事件現場からそんなに離れていない建物の屋上に深夜ながら寝そべっているおじさんが二人……。しかも豪いでかい荷物を背負っている2人のおじさんである。怪しいったらありゃしない。

『ゆっくり、手を上げてここまでこい!』

 拡声器はそう伍長以下2名に告げた。伍長以下3名の場合、伍長閣下とルーズルート侍従長以外に誰かがいるということになる。
 恐らくは中の人か、第2の伍長閣下だと思うが、もちろんそんな人はおらず伍長以下2名である。

『こちら第1戦闘軍団第3中隊HC-82スーパーフォート、爆破地点より北に100mほどの雑居ビルの屋上、不審な男性2名を発見、増援を要請す……っ! くそぉ! 逃げられた! 繰り返す、爆破地点より北に100mほどの雑居ビルの屋上にいた不審な男性2名が逃走! 増援をよこせ!』

 拡声器のスイッチを切っていなかった。ヘリコプターに乗っていた無線手は本部かどこかに、増援要請を送るつもりだった、だが無線手兼砲手である男性は伍長さんたちが忍び足で、屋上の手すりの奥に移動していることに気が付くことが出来なかった。
 そして……。
 伍長とルーズルートは背中から倒れるように屋上から身を投じた。
 だが、これは決して自決するために飛び降りたわけではない、第一自決するなら手りゅう弾のほうがいいのかもしれない。……いやわからない、中の人は専門家ではないので、詳しくは知らない。

 まぁ、背中からであれ、屋上から落ちたと考えることが出来ない無線手の男は、数㎝ほど開いていた屋上扉から脱出したと考え、近くの憲兵を入り口近くに貼り付けた。
 しかし、いくらたっても出てこない。
 それもそのはず、彼らは屋上から飛び降り……

「うぐっ!」
「っ!」

 背中から勢いよく打ち付けたのだから……。
 だからと言って死んでしまったわけでもなく……

「あいたたたた……さすがにシールの展開しても痛いものは痛いな……」

 万能シールドを展開し、即死を免れた。
 その分、ダメージは2人に与えたので、実はシールドを展開したほうが痛かったりもする。

コメント

コメントを書く

「SF」の人気作品

書籍化作品