Federal Investigation Agency Investigator・連邦捜査庁の捜査官~皇帝直属のエージェントたち~

11月光志/11月ミツシ

第6章7話

 ダ・ローゼンクロイツ領から首都及び市街地までは一直線の伸びる国道によって迷うことはなかったが、アンデス森林から市街地までは想像以上にとおり道のりだった。
 直線距離でおおよそ20km、しかし道中信号やら山を越えるために迂回したりと伍長さんたちの体感的には40kmは歩いたような感覚であった。
 あと、本当にどうでもいいのだが、作者さんは1km歩くだけでも疲れてしまう。いや下手すれば数百メートルでも……。なので20kmという言葉に頭が痛くなった……。……本当にどうでもいいな! 
 その国道を今でようやく半分といったところで、伍長はなにか違和感を感じた。

「なあ、ルーズルート……。先ほどから軍用車両が通るのが多くないか? 数えてみたら20台は首都方面に向かっていったぞ。」

 そう、行く道中機動戦車や機動戦闘車、装甲車、オートバイなど数多くの軍用車両が国道を……しかも決まって首都方面へと向かっていたのであった。
 その都度、伍長さんたちは茂みに隠れるが建物の陰に隠れるなどし、通り過ぎるのを待ったが、さすがにこの量は異常だと感じていたのだ。

「確かにそうですね……。何かあったのでしょうか?」
「まさか、計画が漏洩して私たちを捕まえるためとかじゃぁないよな」
「無いとは言い切れませんが……。それならなぜ首都方面に全車両向かう必要があるのですか? その辺でも検問所を設置すればいい話ではありませんか。しかももう夜です、ヘリコプターのサーチライトなしに捜索はきついでしょう?」

 事実、首都へ向かう国道とはいえ、道沿いには商店はほとんどなく、あっても数kmに一つか二つ、街頭はあることにはあるのだがそれでもなかなかの暗さといえよう。
 ならばもっと明るくしたほうがいいのでは? と思われると思うが、現在この国は経済制裁中……。原子炉や半永久機関動力はス連及び惑統連によって監視下に置かれ、この国の電力は原子炉3基と火力発電や地熱発電など原始的な発電方法でまかなっている。
 とはいえ、地熱や火力でも場所や資材が求められるので、これ以上の電力の消費は控えたい……。そういう理由から街頭も最低限の明るさでしか照らせないのであった。

「まぁ、それはそうなんだが……。いや、もしか……」

 伍長が何かを言いかけたその時、上空から低く何かが唸るような音が鳴る。
 その音は伍長にとっては聞き覚えがあり、懐かしい……。そんな感情が出てくるほどだった。そして音の正体はすぐに判明する。
 音が徐々にこちらに近づいてきていたからである。伍長たちは反射的に暗闇の空を見上げた。もしかしたら長年の軍隊経験によってこのようなしぐさが身についたのかもしれないが……。
 数秒もたたないうちに……。複数の明かりが空で点滅しているのを確認できた。
 よく目を凝らせば、その点滅が飛行機によるものだと確証が得る。しかもかなり大きな……。さらに驚いたのはその数だった。
 点滅から確認できるのは、20機前後…。だがもしかしたらその倍はあるかもしれない。

「う~ん、これは相当な事態が起こったようですね……。」

 ルーズルートが空を見上げながら唸りこんだ。
 それと同時に伍長はあの飛行機群がただの飛行機でないことに気が付いた。

「おい、あれは……」

 ただの飛行機ではないな、と言い終える前にルーズルートが口を開く。

「ペルシアント惑星王国空軍の戦略攻撃編隊という部隊の飛行機です。爆撃機や戦略爆撃機、戦闘攻撃機、戦闘機、攻撃機、空中給油機など様々な機種が一つの編隊を作って飛行しているんです。伍長さんのお気づきの通り、あれらの主力エンジンはレシプロです。」
「れ、レシプロか……。これまた懐かしいものを見せてくれたものだ」

 実はこの世界でのレシプロエンジンは、半永久機関動力からなるエンジンだが、なんな伍長の懐かしむ様子を見ていたら壊すのもあれになったので、黙っておくことにした。
 甘いと言われれば甘いという分類にルーズルートは入るのだろうが、まぁ友人であるからので……。なお、余談だが伍長もルーズルートも舐めたって甘いわけがない。どっちかというと……なんだろうか?

「ただ……。見てください、ほぼ全機が首都方面の空軍基地の方角へ向かっています。戦略攻撃編隊は仮想敵国または敵国と一番近い基地に配備されるらしいです……」
「……毎回思うんだけどさ、ルーズルートお前どうやってそんな情報を入手しているの?」
「ははは、何を言っているんですか伍長さん。私の本当の職業覚えてないんですか?」
「侍従長だろう?」
「ええ、そうです。陛下とずっと一緒にいましたよ、なので国の裏事情とかも人一倍詳しいのです」

 なるほど……確かの陛下と一緒にいたならそのような情報が手に入らないでもないな……。と納得した様子の伍長閣下であった。

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