Federal Investigation Agency Investigator・連邦捜査庁の捜査官~皇帝直属のエージェントたち~

11月光志/11月ミツシ

第2章4話

 国家評議会予算委員会での集中質疑も終え控室のソファーでぐったりウトウトする官僚…フェルトベルクがいた。

「はぁ…明日はようやく休みですか…」

 さらに大きなため息を吐く。
 さすがに13歳の少年が連日国会に出るのはいかがなものかと…。学問とか…あっ! 大丈夫だった。だって彼、一昨年ス連中央総合大学およびス連中央司法学院を共に首席で卒業しているから…。どれだけすごいかというと、10歳児が東大や医科大などを卒業するぐらいすごい。
 天才じゃねぇか!

 と、

 コンコン

 誰かが控室の扉をこれまた優しく叩く。

「はい、どうぞ」
「失礼しま~す」

 控室の扉に一人の少女が顔をのぞかせていた。
 誰かさんに激似の白銀の髪をツインテールでまとめ、一本ほどアホ毛が出ている少女…。
 年齢は20歳前後だろうか…? まぁ言わずと知れたフェルトベルク氏の実姉であり名前をリフェリア・スウェットフェルクロードさん。
 リフェリスタ氏の妹で家系図的に三女さん。ついでに言うとフェルトさんは長男だが、8番目に生まれたそうだ。つまり末っ子

 彼らの両親はいったい何をそこまで生んだのだろうか…? まぁその答えはどうやら皇位継承権が関係しているらしく、相変わらずこのス連邦でも嫡男帝政国家だが、まぁ7人産んで全員女の子ときたから相当焦ったらしく、次女の子だったら長女…つまりリフェリスタ氏に皇位を特例で譲ると考えたのだが、妊娠がわかったとき、不運? にも、男性の急所が見えなかったらしく、担当医が…

『今回も女の子です。ある意味すごいかもしれませんよ』

 などと供述しており…じゃなかった。などと話してしまったので、特例でリフェリスタ氏が皇位につき、上皇となった前皇帝は末っ子のこと隠居する計画だったが、生まれてきたらなんと! 男の娘だったわけ…。間違えた、男の子だった…。いや? 間違ってはいないか。

 そんなことがあって今の職業についているそうだ…

 もうついでだから話すけど、リフェリアさんは皇宮財閥傘下の学園の理事長をしたり…。

「フェルゥ~。いい子にしてた? お姉ちゃんがいなくて寂しくなかった? 連日の国会答弁疲れたでしょう、どこか連れてってあげるわ」

 フェルゥ~とは、フェルトベルク氏のあだ名のことなので誤解なさらぬよう…。

「いやいいよ。それより…」
「ふぇ、フェルが…わ、私に反抗した…」
「えっ?」
「フェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗したフェルが私に反抗した…」
「えっ? ええ!?」

 ちょっと断ったのにギアが外れたように壊れたお姉ちゃん。もとい駄々甘で有名なリフェリアさん。
 アホ毛がちょろんと垂れ下がり、控室の隅の方で何やらぶつぶつ言ってるもんだから、大慌てなフェルトさん。
 あうあう状態のフェルトさんに、何やら部屋の隅でうずくまってぶつぶつ言っている控室の状況を、少しだけ開いているドアから中を覗いてしまった男性議員はこう思ったそうだ。

 『なんかすっごい混沌としている!?』

 と…。
 その議員は魚何とか光志とかいう名前だったが、まぁ気にすることはない。

「あっ、あの…」
「むぅ!」

 声を掛けたら振り向きざまに可愛く睨まれさらにたじろいてしまうフェルトさん。

「あ、えっと…。わ、わかったよ、行こう、ね」

 この戦いの軍配は姉に上がった。というよりこの姉弟で一番力(発言力と自由力etc.etc)が一番ないのって弟であるフェルトベルク氏だったりする。
 姉には勝てないフェルトさんであった。




 ~翌日~
 フェルトさんとリフェリアさんは姉弟仲良くスウェットハーヴェン特別自治区のある若者に人気な街を歩いていた。
 東京でいう渋谷のあたり? 
 なお都合によって彼らの後方に私服の公安警察が後をつけて監視…見守っている模様。

 さてさてこの2人、片方はこの国の皇族で国会答弁で目立っていた官僚であり、もう一人は彼の姉でこの世界で一番偏差値が高い学園の理事長という…周囲の人たちが恐れおののいてしまうような2人なのだが、もちろんアンチ的なものが存在する。
 例えば…ほら、今ちょうど裏路地から数人の高校生らしき人たちが現れて…

「なあ嬢ちゃんたち、俺らと一緒に遊ばないかい」
「な、行こぜ行こうぜ」

 ま、世間でいうナンパである。
 歳の差的に親子にも見えなくもないそんな2人に声をかける兄ちゃんたちもそこそこすごいのだが…

「でねぇ、リフェリスタ姉さんときたら…」
「あはは、」

 ガンの無視。略してガン無視である。
 しかも彼らの進路を邪魔するように無視していった。

「ちょ、待てよ!」

 一人の兄ちゃんがリフェリアさんに手を伸ばしかけたその時、

「痛でぇ!」

 あまりの痛さに手を引っ込め唖然と自分の右手を見つめる兄ちゃん。
 それもそのはず、諸事情により2人には電磁シールドが展開されていた。自分たちに害があり、なおかつ攻撃されたとシステムが反応すれば、シールドを展開し攻撃を防ぐ手はずである。
 未だ唖然と見つめる兄ちゃんたちを放っておいて、2人は店へと消えていった。

 数十分後…
 服屋から出てきた2人の腕には大きな紙袋が下がっていた。

「いやぁ、セール中でよかった」
「お姉ちゃん…庶民過ぎない?」

 確かに庶民すぎる皇族様だった。
 っと、向こうからフードを深くかぶりポケットに手を突っ込んで2人に近づいてくる男性がいた。周囲の公安警察官も男のことは気が付いていなかった。
 だが男のことをいち早く察知している人がいた…。

「!?」

 フェルトベルクその人である。
 国防軍治安維持庁の職員(秘密事項)としてその男の異変にいち早く気が付くことが出来た。
 なお、国防軍治安維持庁は簡潔に言えば憲兵組織である。だが憲兵のほかに諜報とかもするそうだ…。
 嫌な予感がする…。 そう思った彼は電磁シールドを相互保護モードレベル5にした。レベル5では拳銃や小銃などは貫通することはない。
 そして…

 カチャ

 男がポケットから一丁の拳銃を取り出した。
 地球製のワルサーPPK…かつて世界を戦争へと引きずりこんだちょび髭伍長閣下の愛用銃として知られている自動拳銃である。
 それを男はフェルトベルクへ照準を向けた。
 公安警察がそれを見つけ、止めようとする。だが人だかりが多くなかなかたどり着かない。
 そして…

 パーン

 一発の鉛玉がワルサーから発射され、フェルトさんの方へと向かう。
 リフェリアさんはというとしゃがんで頭を抱えていた。
 周囲の人たちは混乱へと陥り、逃げ惑う人たちに公安は犯人の確保を行うことが出来なくなってきた。

 銃弾は一直線でフェルトさんへ向かっていきそしてついに、

 電磁シールドと銃弾が接触した。
 だが、

「なっ!?」

 おかしい。普通の銃弾ならばシールドに接触次第、真上へと飛ばされていくはずだ。だが、銃弾はシールドに食い込んでいた。
 彼はその銃弾をよく見た。そんな暇はないはずなのに、はじかれない銃弾を見た。そして理由が分かった。

「電磁弾…」

 対電磁シールド用に作られたの弾薬だった。これならはじくことはできない。

「くっ!」

 彼は一層シールドレベルを引き上げ抵抗した。
 だが、ついに…

 パリーン

 まるでガラスが割れるかのような甲高い音を立て、シールドは消え去った。
 邪魔なシールドを消し去った銃弾は彼へと一直線に飛んで行った。
 そして銃弾は、

 彼の心臓を貫いた。

「げほっ」

 血を吐いた。
 銃弾は一直線に心臓を貫き、ようやく止まった。
 だが彼の意識は途絶えようとしていた。崩れ落ちるとき、うっすらと公安の人が犯人を取り押さえ、何人かがこちらへ駆け寄ってくる。
 隣では誰かが泣いていた。

「…!…!」

 だが聞こえない。
 彼は静かに目をつむり、そこで息を引き取った。




 2xxx年3月の12日だった。
 その死はス連全土を駆け巡った。



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