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女嫌いと男嫌いの勘違い青春

あさにゃん

39.噂話

熊野
「えー、それじゃ」

静かだ。

熊野
「これでHRを」

今でにないくらい静かだ。

熊野
「終る」

いつもならHR中も多少うるさいものだが、今日はひどく静かだ。

熊野
「ん?おい柊」

いや、「今日は」ではない。「昼休み終わりから」と言った方がいい。

それに、クラスが静かなのはHRだけでない。
午後すべての授業が、静かだった。

熊野
「おい!柊!」

花蓮
「…あ。起立…」

どうしてこんなにも静かで、気まずい雰囲気なのは大体予想がつく。

熊野
「あ、そうだ。草彅!」

予想がつくというより、さっきクラスメイトが他のクラスの人と話しているのをたまたま聞いた。

雄也
「…なんでしょう?」

ぶっきらぼうな声で返事をする雄也。

熊野
「先ほど柊学園長がお前を探していたそうだ。放課後にでも会ってきなさい」

雄也
「…。分かりました」

今度は心底「面倒だ」というオマケ付きだ。

花蓮
(それにしてもこの筋肉ダルマ、空気を読めないのかしら?)←熊野先生

いかに何かがおかしい事ぐらいは、担任である熊野にも感じている。

しかし、彼は教師。普段はHRと体育位しか関わっていないので、何がどうした?

とまでは分からなかった。
それに、熊野は多少の生徒同士のトラブルなら相談等を受けない限り途中で介入はしないスタンスだ。

勿論取り返しのつかない事になったら担任である熊野にも責任がのし掛かるのだが
それでも、熊野はこれも社会勉強だ!と思っている。

生徒のいざこざは生徒で鎮めるべきだ、大人がガタガタ言っても仕方がない。

花蓮
「気おつけ!ありがとうございました」

ーーーありがとうございました 

ーーーザワザワザワ

花蓮
(を?クラスが騒ぎだした?)

実際には騒いでいるということはない。むしろまだ、小さいというほどだ。

しかし、花蓮がそう感じたのは先程までハエが飛んでいたらその羽の音が聞こえるほど静かだだったので、多少の物音で騒がしく聞こえてしまったのだ。

しかし、またもやクラスが一瞬の内に鎮まる。

誰かがオナラや大声をだした、騒ぎだしたということではなかった。

一瞬で静まったクラスに響くのは足音、花蓮に近づく足音だ。

その、足音の主は

雄也
「…今日は帰れね」

花蓮
「…分かっているわ」

雄也だ。
彼も不機嫌そうな声を出していた。

隣にいた凛を横目でちらって見たところ、凄い目で草彅雄也を睨んでいる。

草彅雄也もそれに、気がついたんだろう。彼女とは反対側の隣に並んで小声で話しかけてくる。

雄也
「それに、噂…」コソコソ

花蓮
「言わないで…分かっているわ…」コソコソ

花蓮は静かすぎるクラスを気にしていたが、悪い意味でクラスが騒がしくなる。

「おい、聞いたか?今の会話」
「ああ、あの噂はホントなのかな?」
「やっぱりあの二人…」
「一緒に帰れないって、やっぱりそういう意味なのかな?」
「しかないんじゃない?」
「いくらなんでも早すぎじゃ…」

周りの皆が聞こえるところしか聞いていないので、周りの皆に拍車がかかった。

そう、今学園で一番人気のある噂。そして、その渦中にいる人物!

花蓮
「あなたのせいで噂に拍車がかかったじゃない…」コソコソ

雄也
「お前のせいだろ…」コソコソ

またこの二人だ。つい先日二人の熱愛報道が流れたばかりで、またなのだ。

しかも今回は前回の逆…

「でも、ありえないんじゃない?この前付き合ったばかりでもう、別れるなんて…」
「俺はデマだと思うけどな…」
「いや、でもさ…見たろ?」
「何をだよ…」
「四時間目授業に遅れてきた草彅に、その少しあと来た、赤く目を晴らした花蓮ちゃんを!」
「それは…そうだけど…。勘違いってこともあるやん?」
「確かに言い切れないな…。でも、その可能性もないと言い切れないし」
「でも、今話しかけたってことはまだ別れてないんじゃない?」
「うーん。…保留って感じなのかな…」
「あ、それが一番ありそう!」

ってことだ。

そう、今流れている噂を簡単に言うと
『柊花蓮と草彅雄也が別れた!』ってことだ。

勿論これはデマ。
なんだが、皆に説明することも叶わず噂だけが一人歩きしている。

雄也
「お前が泣いたかどうかは知らんが誤解解いとけよ…」ヒソヒソ

花蓮
「以外…」ヒソヒソ

雄也
「なにが…」ヒソヒソ

花蓮
「ってきり別れ話まで持ってくもんだと思ってたわ」ヒソヒソ

雄也
「…メリットがあるからな…。それ以上でも以下でもねーよ」ヒソヒソ

花蓮
「…打算ね…」

花蓮の顔が曇る。もともと午後は対して晴れやかな顔をしていなかったがさらに悪化した。

花蓮
(ー思い出すのは昼休み。あの…彼女の瞳…)

急に黙りこんだ花蓮を奇妙に思うが、今この瞬間にも噂のネタにされてしまう。

柊花蓮と付き合うのにはメリットがある。あまり変な噂を流されると、そのメリットも消え雄也の印象も悪くなる。

判断した雄也はこの場を離れて歩き出す。

目指すのは学園長室。

雄也
(学園長が俺を呼んでいたということは、何か打開策があるんだ。そうでなくては困る)

雄也自身、藁にもすがる勢いで学園長の脳内に期待する。

そんな気持ちを胸に歩き出すとストップがかけられる。

「少し待っていただけませんか?」

雄也
「あ?なんだ…」

ここ最近ストレスを抱えた雄也は、少し声をあらげてふりかえる。

廊下のど真ん中に優雅にたたずみ微笑を、浮かべている少女…

それは…


        次に続く

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