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女嫌いと男嫌いの勘違い青春

あさにゃん

31.付き合って

「おはよー」

「おう、おはよ!」

「まだ寒いよな」

「ヤベ!宿題やってない!」

「今日学食行かね?」

至って平凡な会話。朝のHRが始まるまでの時間、それは生徒同士の交流の時間となっていた。

朝の挨拶、勉強、昨日のテレビ、放課後のこと、様々な会話が聞こえてくる。

しかし、今朝に限っては八割方ある噂· · ·の話で持ちきりだ。

今も耳を澄ませれば聞こえてくる。

「なー?草彅と花蓮ちゃんが付き合ったってマジ?」

「マジらしいぜ!聞いたってやつがいたぐらいだからな」

「私聞いたよー?何でも結婚するらしいよ」

「え?結婚は嘘だろ。年齢的に」

「それが親がバックアップしたらしいよ!愛の力だね!?」

「「「愛の力、恐るべし!」」」

雄也
(捏造にも程があるだろ…こんなでたらめなこと流したのはあの『変態同盟』だな)

クラスメイト達の明らかな事実捏造に頭を悩ませられる。この教室に入るまでも、様々な人から質問攻めをくらったことは言うまでもない。

その為、疲れた雄也はHRが始めるまで自席で近づくなオーラをだしていた。


「ゆ~や!何落ち込んでるん?」

そんな中空気を読まずに話しかけてくる奴が一人。

雄也
「真か…」


「元気出さないと!…俺知ってるんだぜ?」ニヤニヤ

気持ちが悪い笑みを浮かべる

雄也
「…何をだよ?…」


「お前が笑顔で鈴乃ちゃんと仲良く登校したのをだよ!」

雄也
「見てたのか?」


「たまたまな。いやー、お手々なんて繋いじゃって~このこの~!」

雄也
「鈴乃は天使だからな!」

真にはよく家で遊ぶ都合上シスコンというのは気づかれている。その為隠す必要がない。


「確かに可愛いよな~。ね?貰っちゃっていい?鈴乃ちゃん」

雄也
「はぁぁ?殺すぞ?」


「い、いや。何でもない!冗談!冗談!」


(いや~。今のはマジで怖かった。アイツ目がガチだった…今後鈴乃ちゃんネタでいじるときは注意しよ~っと)

雄也のガチ殺気を受けた真は、強引にでも話題を変えた。


「それよりさ!……あの事ずいぶん噂広がってるらしいじゃん!どーすんのよ?」

雄也
「あー。別に放置でいいよ。後ろから刺されるような事になるなら別だが……昨日メールで送ったろ?」


「あー。鈴乃ちゃんを襲った奴らの腕へし折った話?」

雄也
「……………そっちじゃない!…」


(マ、マズイ!)


「あ!!学園長をぶちのめした話か!」

雄也
「…口論でな。言い方が悪い」


「わりわり。卒業までの我慢って話。結局俺の言った通りになったな」

真には昨日放課後に学園長と話した、花蓮の男嫌い以外の事をざっとメールで話してある。

雄也
「色々事情があるからな」

雄也
(いくら真でも柊花蓮の女嫌いを言っちゃだめだよな。他人に言いふらすとは思わないが、『火のないところに煙は立たない』からな)


「事情ね~?上級社会はめんどくさいね~」

雄也
「全くだ」

シーーーーーーーン

ん?クラス内が急に静かになった。噂話に花を咲かせている回りの奴らが黙り込んでいた。

皆一様に雄也を見てる?のだ。

雄也
「真?なんかあったか……」

雄也は急に静かになったクラスメイトから真に目線を戻そうとしたところで気づいた。

クラスメイトたちが黙り込んだのだ原因。

それは教室の入口にあった。

花蓮
「おはようございます」

いつにも増して笑顔が眩しい柊花蓮がいた。

皆入口にいる花蓮を見ているが、誰一人として花蓮に話しかける事はしなかった。

それどころか腫れ物を避けるかのように、自分の席に戻っていった。横目でチラチラと様子を伺いながら


「ありゃ、鬼だわ…」

言いたいことは分かった。そしてクラスメイト皆の態度にも納得した。

見てしまったのだ…

あの、笑顔という名の下に隠された般若はんにゃの顔を。

つまりだ…柊花蓮は怒っている。
それも猛烈に。

雄也
(おそらく俺と同じように質問責めにされてキレてるんだろうな。その気持ちよく分かるぜ)

花蓮
「………」ニコリ

こちらに笑顔を向ける花蓮。


「ヤベ!バレた!?」

真が慌てて顔を伏せている。おそらくさっきの鬼発言を気にしてるんだろう。

花蓮は笑顔を絶やさずに近づいてきた。

一歩、二歩、三歩と近づいてくる。クラスメイトたちも興味津々と言った様子で見ている。

タタタタタ

ピタッ

案の定雄也の席の前で立止まった。

花蓮
「おはようございます。雄也さん」ニコリ

うおぉぉぉぉー!

クラスメイトたちが騒ぎ出す。

それは雄也の事を『雄也さん』と花蓮が呼んだからだ。

花蓮は基本他人を名字で呼ぶ。それはいきなり名前呼びすると不快な気持ちになる人がいるための配慮から故だ。

もちろん凛のように深い仲だと名前呼びするが、まず少ない。

だからこそ雄也の事を名前呼びしたことにクラスメイトは驚いた。

今まで雄也達のことを半信半疑だった人間はこの瞬間いなくなった。

皆雄也と花蓮が付き合ってると認識したようだ。

雄也
「あ、ああ。おはよう柊花蓮……」

ギロ!

雄也
「!!!」

花蓮
「はい!あ、そうです!今日一緒にお昼どうですか?(話合わせてください)小声」

雄也
「わ、かった。お昼一緒に?たべる、か?」

花蓮
「ありがとうございます!それではお昼に」ニコリ

最後にまたあの殺人スマイルを飛ばし、花蓮は何事もなかったかのように席に着いた。

雄也
(不覚にもちょっとビビったぜ)


「お、おい!」

雄也
「ん?」


「いいのか?女と二人なんて!」

先程まで柊花蓮に超ビビっていた奴が今更ながらに心配してきた。

雄也
「まぁー、大丈夫だろ。むしろあの場面で俺が断ってたら折角のフェイクが無駄になるだろ?」


「確かに…いや、でもよ!?アイツどさくさに紛れてお前にボディータッチしてきたりでもしたら!?」

雄也
(あー。真には柊花蓮が男嫌いって説明ぜきないからなー。んー。どう説明したもんか…)

雄也
「その事については問題ないと思ってる。学園長が俺の女嫌いを知ってるってのは昨日言ったろ?」


「おう」

雄也
「まぁー、そんな感じだ」

雄也
(ここは真の想像に任せよう。嘘と色は重ねるほど黒くなるからな。都合よく解釈してくれよ?別に考えるのが面倒になったからじゃないぞ?)


「本当に大丈夫なんだろな?」

雄也
「大丈夫だって言ってるだろ?それに俺もアイツに聞きたいことがあるから。な?」


「分かった。雄也を信じる。でも!危険になったら、すぐに逃げるんだぞ?」

渋々ながらも真は納得したようだ。

雄也
「わかってるわかってる。…てか、最近お前心配しすぎだ。お前は俺の父ちゃんかって」


「そりゃー、最近女と関わる機会が多いから心配にもなるさ」

雄也
「そうだな。『誰かさん』がクラス委員に推薦したからな」


「わ、悪かったと思ってるよ。まさか、ここまで話が広がるとは思ってなかったから…」

雄也
「そうだな。俺もこんなにデカイ話になると思ってもみなかったよ。………まぁ、だから貸し1な?」


「お、お手柔らかに頼む」

雄也
「ほら、先生きたぞ」


「おう!」

「起立!礼!」

「「「お願いします」」」



いつもの学園生活にすぐ戻る。その内周りも飽きて茶化すことはなくなる。人の噂は75日。

そう、思っていた雄也。

柊花蓮との嘘の交際。これも楽に成し遂げられると思っていた。

卒業までざっと2年。あっという間に過ぎると思っていた。この頃までは…

しかし、

この2年は雄也を変え、様々な人間関係が変わる。
色鮮やかに濃密な2年になると、
雄也はまだ思ってみなかった…………………






???
「雄也様………。今参ります………必ず助け出しますから………」

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