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女嫌いと男嫌いの勘違い青春

あさにゃん

8.それぞれの思い。そして…

コツコツコツ……

日が傾き一面キレイなオレンジ色に染まっている廊下を歩く男女がいた。

一人は少し目つきが鋭く青みがかかった黒髪の短髪。身長は一般平均以上で、細身であるがガッチリとした体型のイケメン、草彅雄也。

一人は艶があり癖のない黒髪ロング。周りに人を寄せ付けない様な雰囲気があるが、誰もが息を呑む美少女柊花蓮。

雄也
「………」

花蓮
「………」

互いに会話はない。
今日はほとんどの部活がなく午前で学園が終わったためほとんどの学生は家に帰る。もしくは友人と遊びに出かけているために、学園に残っている生徒はほとんどいない。

そのため、聞こえてくるのはお互いの足音だけだ。

熊野先生に言われた通り職員室に行き、仕事の内容を伝えられ、与えられた仕事をするため目的地に移動しているのだ。

そして、その移動中は会話が一切ない。

しかし、

柊花蓮がその均衡を壊す。
まあり男と会話したくはなかったが、どうしても聞いて置かなければならない事があったため口を開いたのだ。

花蓮
「そういえば草彅くん」

雄也
「!っうん。なんだ?」

雄也は、まさかいきなりの話しかけて来るとは思わなかったために、とっさの返事がぎこちないものになってしまった。

花蓮
「どうしてクラス委員をやろうと思ったのかしら?」

聞いてきたことは極めて平凡なもの。この場面なら、誰もが質問しそうな質問だ。しかし、花蓮からは…この質問からは何やら強い意志のようなものを感じる。

雄也にもそれが伝わったのだろう。

花蓮
(さぁー、なんと答えるのかしら?)

数秒、時間をあけた後に

雄也
「…自分を変えたいため…かな…」

沈みかけている太陽を見ながら…うつむきがちに答えた。

面倒だから適当に答える。という事はしなかった。今のは雄也の正直な気持ちだった。

花蓮
「………」ピィタ

雄也
「立ち止まってどうしたんだ?」

花蓮
「な、なんでもないわ」

雄也の返事に少したじろぐ花蓮。

花蓮
(そんなに強い意志があったなんて…)

花蓮は困惑していた。花蓮はこの質問の返事で「目立ちたいから」
「皆に進められたから」などといった答えが帰ってきたら花蓮は草彅雄也を家に帰し、一人で仕事をするつもりだった。

いくら有能でも、やる気がないなら宝の持ち腐れだ。
そして花蓮はそんな人間がだいっきらいだ。

しかし、返ってきたのは予想を超える意志だった。
「半端な気持ちでやっているわけではないと」言われたのだ。

困惑すると同時に花蓮は疑問に思う。

花蓮
(え?自分を変えたい?
私から見ても草彅雄也という人間にはこれという程の欠点が見つからないわ。何を変えるというの?人当たりもいい、勉強もスポーツもできる。ならば内面的な問題?)

一人で自問自答をする花蓮。男の事でここまで考えるなんて夢にも思わなかっただろう。

雄也
(コイツ、いきなりの黙り込んだぞ)

チラリと横目で花蓮の事を見る雄也。

雄也
(それにしても新学年そうそう女と絡まないといけないとは…。憂鬱だ)

雄也
(それとさっきの質問。一体どういった意味だったんだ?…あの時はつい本音が出てしまった。
コイツといると本音がポロポロ出ちまいそーだぜ)

こちらもこちらで一人物思いに老けていると…

ーーー教具準備室

目的地が見えた。いち早く目的地に気づいた雄也。

雄也
「?柊花蓮、ついたぞ。鍵を!」

ここの部屋の鍵を持っているのは花蓮だ。部屋の前についても鍵を出そうとしない花蓮に雄也は少し語尾を強めた。

花蓮
「!申し訳ないわ」
(仕事は仕事!しっかりしないと)

雄也
(なにをボーッとしていたんだ?)

雄也に促されて鍵を慌てて取り出す花蓮。

パァサ−

雄也
「ん?」

何やら柊花蓮のポケットからでてきたモノ。


【黒い手帳】を雄也が拾い上げた。

これは一体…。拾い上げた手帳の中身を雄也が見ようとすると。

花蓮
「何をやっているの?」

雄也
「あ。い、いや。なんでもない」

花蓮
「そう。鍵が開いたわよ」

雄也
「あ、ああ。仕事をしよう」

そう言って慌てて教具準備室に入る雄也。
その後を追いかけるかのようにして入る花蓮。

雄也
(ど、どうする?とっさに隠しちまったけど…。ヤッパリ言って返したほうがいいよな)

今、花蓮がいつも後ろめたいことを書いていた手帳は雄也がとっさに内側の胸ポケットに隠していた。

雄也
「あ、あの。柊花蓮。さっき…」

花蓮
「どうしたのかしら?ここで集めるのはクラス全員で使う各教科の教科書と支給用のノートよ?取りあえずそこにあるテーブルの上に全部出しましょう」ビシ

柊花蓮が指を指す。その先には何十年と使われているであろう古いテーブルがあった。ここ柊国立第一高等学園では見られないような古い机だ。所々サビていたり。机の上にはホコリも溜まっているようにも見られる。

雄也
「お、おう。わるかった。それじゃ俺はあっちの棚から教科書集めるから。柊花蓮はそこのダンボールからノート出していてくれ」

花蓮
「わかったわ」

こうして二人は作業を黙々と進めていった。




雄也
(どうしよう…。この手帳。流石に返したほうがいいよな?でも、柊花蓮もしかして無くしたことに気づいてない?流石に手帳くらいの大きさのもの無くしたら気づくよな?だとすると…柊花蓮のものじゃない?
うーん。
………今は作業を終わらせることに集中するか。女と一緒にいたくないし。もし、柊花蓮のだったら、言ってきたら返せばいいし)

そしてまた黙々と作業をこなしていった。



しばらく時間がたったときだ。かがみっぱなしで疲れた背中を休めようと伸びをする雄也。作業も八割近くまで終わっていた。

雄也
「………」チラ

一度、柊花蓮の事を確認する雄也。すると、大きなダンボールを持ち上げようとしていた。

あれは、ノートが入っていたダンボールだ。

あちらの仕事は終わったようだ。

雄也
「終わったのか?」

未だ重いダンボールを持とうとしている花蓮に声をかける。

雄也
「大丈夫か?俺がもつよ」

花蓮
「だ、大丈夫よ」

雄也
「いや、でも」

花蓮
「これくらい、なんともないわ」

雄也
「あ…ああ」

一人で重いダンボールを意地でも持とうとする花蓮。

花蓮
「くっ…」ヨロヨロ

なんとかダンボールを持つことには成功している花蓮。しかし、その歩きは左右にフラフラ、ふらついている。

このままではコケてしまうかもしれない。流石にコケて頭を打って怪我をするなどということは無いだろうが、可能性は否定できない。

それに困ってる人を助けるのは当然だ。

雄也
(【あの人】のようには、なりたくないからな)

さほど遠くない昔の事を思い出す雄也。

雄也
「いいよほら、俺が持つ」

正面から抱きかかえるようにダンボールの底に手を伸ばす。ダンボールの取っ手をもてなかったのは、柊花蓮が指をかけていたからだ。

雄也は女と触れ合えない。

花蓮
「だ、だから。いらないといってーーー」グラ

雄也
「えっ!?」


ーーーガッシャーン


雄也がダンボールを持とうと屈んだタイミングで柊花蓮が盛大に転んだ。

柊花蓮が持っていたダンボールは雄也の顔にクリーンヒット。

いかに、高い身体能力をもつ雄也でもあれを防ぐのは難しいだろう。

飛び散るノート。

先程まで一時間近くかけていた作業が一気に水の泡とかす。しかし、雄也達の不運はそれだけでは収まらなかった。




雄也
「………」パチパチ

花蓮
「………」パチパチ




飛び散るノート。その中心にいる雄也と花蓮。

至近距離で見つめ合う二人…

雄也が下敷きに花蓮が馬乗りに…


そして…



唇は唇に


              次に続く

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