魔術学院の二重奏者

田村タム助

逆転

決闘方式デュエルシステム
それは昔から貴族間で行われてきた決闘を基にして作られた、学院の結界魔術。
双方の合意を以て、周囲の人間を一定範囲外に追い出し、内外干渉不可の空間を創り出す。
ようするに、揉め事に対する安全策だ。
 なぜこんな話をしてるかって?それは……
「よし、よく逃げなかったな。それだけは褒めてやろう」
まあこれだけで察してくれると嬉しい。
「早く来いよ。来ないなら」
そう言って三下は戦闘態勢に入る。
「こっちからいくぜぇ!
《内なる炎よ 此処に現われ 敵を蹂躙せよ》!」
彼が発動させたのは初級炎性魔術の炎球ファイアボールだ。
魔力を炎の球に変換し、それを相手にぶつけるだけの単純な魔術。しかし、単純だからといってなめてかかってはいけない。魔術は、そこに込める魔力の量によって威力が上昇する。
彼の前に現れた人の頭程の炎は、かなりの破壊力を持っているように感じる。
「焼き尽くせ!」
三下の合図で炎球が一直線にソウトにむかい、当たり、爆ぜる。
たちこめる土煙の中。
「ハッハハハハ!!見たか無月!あいつ反応すら出来てなかったぞ!傷一つつけられないってなんだったんだぁ?!」
笑いながらソウトの方へと近づいていく。
「おいFランクゥ、降参したらどうだ?今なら無月との接触禁止令だけで許してやウグッ」
途中で止まった三下の言葉にギャラリーがザワつく中、別の声が静かに響く。
「接触禁止令?こっちが出したいくらいだよ」
土煙が晴れた時、そこには気を失った三下と
傷一つないソウトの姿があった。

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