僕らのダンジョンアタカッーズ!

石神もんすとろ

ようこそ!ファンタジア学園へ!~個性豊かなクラスメイト達でした 1~

『以上を持ちまして、第53回ファンタジア学園入学式を終了とします。在校生の皆さんは速やかに教室に戻るように。新入生の皆さんは教員の引率に従い、それぞれの教室へ向かって下さい』


がや……がや……

入学式が終わりそれぞれの生徒がホールを後にしていく。

「んー!やっと終わったな~」
「あー駄目だ。やっぱこういう式典みたいなの苦手だわ俺。ずっと座ってらんねぇよ」
「途中から寝てたでしょ?鼾かいてたわよ」
「うっそだろマジか」
「マジよ。ねーレティアちゃん?」
「ん~……」

ミファーがレティアへ同意をとろうとすると彼女は腕を組んで何かを考えたいた。
それが気になったミファーはレティアへ何を悩んでいるのかを素直に聞く。

「どうしたの?」
「んー?ちょっと気になってなー」
「気にな「あ?気になったって、何がだよ」……」

二人の会話にバスターがぶっきらぼうに乱入してくる。ミファーは少しイラッときて文句を言おうとしたが、何時もの事だと考え直し、口に出すのを止めた。
ロデルも興味があるらしく、こちらへ聞き耳をたてている。

「いやなー?クニハルの言ってた夢が叶ってほしい人って誰なんだろうなーって」

レティアの疑問にミファーとロデルはなんとも言えない表情になる。

(これは……何というか……)
(クニハル、不憫な奴……)
「あー、それ俺も気になってた!誰だろうな!」
((お前もかっ!))

「おーしっ!新入生諸君はこっちだこっち!」

勝ち気そうな女性の声が聞こえてきて、四人を含む新入生達はそちらへ目を向ける。

「新入生はそれぞれのクラスに別れてもらうぞー!ここに掲示板があるから、自分の名前が書いてあるクラスが分かったらウチらのとこにこい!教室へ案内するぞー!ちなみに私はAクラスだ!そっちの辛気臭いのはBクラスな!」
「余計な事を言わずにちゃんと仕事しろ……」
「わかってるよ!Aクラスはこっちにこいよー!教室に案内するからなー!」

そう言われるがいなや、新入生達は掲示板へと足を運ぶ。

「俺らも見に行くか」
「「おー!」」
「皆同じクラスだといいわね」

四人もそれに伴い掲示板へと向かって行った。




……ふーっ。やっと入学式が終わった。学園長から掲示板が張り出されるからそっちへ行けって言われたけど、どこへ行っても視線を感じる……。特待生がここまで影響力が高いとは……。何かヒソヒソ話されてるっぽいし、会話内容までは分からないけど、あまり気分がいいものじゃないな。

「おーしっ!新入生諸君はこっちだこっち!」

あれは教師かな?察するにあそこに掲示板があるのだろう。ならあそこにレティア達もいるはずだ。正直ちょっとレティアに会うのが恥ずかしいけど……。
あ、早速レティア達を見つけた!

「おーい!レティアー!皆ー!」
「クニハル!」

レティアがいの一番に僕の方へと突撃してくる。それをボディで受け止める。
オグウッ……!ナイスタックル……!

「おっ!戻ってきたか」
「ナイスタイミングだな。これからどのクラスかみるところだ」
「う、うん。間に合ってよかったよ……」

トクタイセイダ……
チカクデミルトヤッパリフツウダナ……
チッ……カノジョモチカヨ……

僕らの周囲が一気にざわつく。やはりどこへ行こうと注目は嫌でも浴びるらしい。

「注目されてんな」
「正直落ち着かないよ」
「気にしない事が一番よ?こういうのは」
「そうそう!んなことよりクラスだよクラス!ほら早くこいよ!」
「へいへい」

我慢できなくなったバスターが掲示板の方へと駆け出して行く。
確かに今はそんな事よりそっちの方が大事だよね。
そう思い直し僕達もバスターの後に続き、自分のクラスの確認をする。結果どうなったかというとーー

「お!俺Aクラスだ!」
「私もAクラス!」
「俺もだ」
「私もAクラスだったぞ!クニハルもだ!」
「本当だ。皆とは何かと縁があるね」

ーーものの見事に全員一緒にAクラスだった。
僕だけ皆と離ればなれになったらどうしようかと不安に思っていたからこの結果は素直に嬉しい。……と小さな感動に浸っていると、再び先程の勝ち気そうな女性の声が聞こえてくる。

「自分のクラスは確認はもう終わったか!?終わったのなら急いで教室に向かうぞ!ホームルームの時間だ!」

どうやら結構時間が押しているらしい。ちょうどクラスの確認が済んだ所だし、ここに長く留まる理由もないため、僕達はすぐに教師であろう女性の所へ向かった。




「おっ!来たな?……え~とこれで人数はひーふーみー……」

女性は「よしよし、いいぞいいぞ」と口にだしながら僕たちの人数を確認する。

「よし!全員揃ってるな!ようこそお前たち!今日からお前たちはファンタジア学園一年A組だ!さて早速皆のクラスへ行くとしようか。皆ちょっと中心に寄ってくれ」

何で中心に?という疑問を持ちながら僕達は彼女の言葉に従う。そして、全員が一ヶ所に纏まると突然床が光だした。

(眩しい……!)

突然の光に咄嗟に目を覆う。そしてほんの数秒後光が落ち着いてきたため、僕は目を開けて何が起きたのかを確認する。するとそこには先程のホールではなく、巨大な黒板に、机や椅子がズラリと並ぶ教室の光景が広がっていた。


「うぉ!?広いなここ!?」
「とてもこれが一教室とは思えないな」
「おー!凄い凄いこれワープの魔法だよね!?ダンジョンとかでよく使われてるっていう!」
「これがファンタジア学園か……成る程」
「デュフフ……ここから始まる学園生活。みwなwぎwっwてwきwたwww」
「おう黙れデブ」

周囲の他の新入生達も各々の感想を口に出しており、教師の中心でちょっとした喧騒が起きる。
すると黒板のある方向から二拍、柏手が聞こえてくる。全員がそちらの方へ顔を向けると、先程の女性が教壇に立っており、こちらへ嬉しそうな笑顔を浮かべていた。

「ようこそ!ファンタジア学園一年A組の教室へ!驚いたか?教室とは思えない広さだろ?だが感動するのは後回しだ。先ずはホームルームを片付ける。全員席に付け!机に自分の名前が浮かび上がってる筈だ。そこがお前たちの席になる」

そう言われて僕は自分の名前が書いてある机を見付ける。周囲は誰だろうと確認すると右隣にはレティアの名前が浮かび上がっていた

「クニハルの隣だな!」
「そうみたい。何だか安心したよ。これからも宜しくね」
「ふふーん!超絶まかせろ!」

そうこうしている内にどうやら皆も自分の席を確認できたらしく、一人、また一人と席に座る生徒が増えていく。全員が自分の席に座ると教師の女性はまた嬉しそうな顔で待っていた。

「よーしよし、今年の一年は優秀だな!昨年まではもっと時間がかかっていたんだがな。よし!それじゃ早速ホームルームを始めるぞ!」

そう言って女性はチョークを取り出し、黒板に何かを書いていく。おそらく自分の名前だろう。

「先ずは自己紹介からだ。私はこのファンタジア学園の一年A組の担任を勤めることとなった、エバンス・ウルフレイドだ。よしなに頼むよ」

そう自己紹介をしたところでクラス内にどよめきが走る。

「うっそ!ウルフレイドってあの一流冒険者の!?」
「そんなお人からご指導いただけるなんて俺は感動致しました!!」
「フォォォォ!!某も滾って来たのですぞぉぉぉぉ!!二重の意味で!!」
「おう黙れデブ」

一気に騒がしくなる周囲に僕は戸惑いを隠せない。
えっなに?あの先生ってそんなに凄い人なの?

「レティア何か知ってる?」
「んーん。超絶わからん!」
「なら教えてあげよっか!特待生くん!」
「うわぁ!?」

突然後ろから声がかかる。そこにいたのは桃色の髪に右にサイドポニーが印象的なニコニコしている雰囲気から明るいと解る女の子だった。その隣には水色の髪に左側にサイドポニーをしている物静かそうな女の子だった。


「……アミティいきなり過ぎ。……自己紹介ぐらいする」
「あっはー!ごめんね!私アミティ!こっちはミスティ!」
「……適当。……まぁ、どうせ後でまた自己紹介するからいいか」
「おお!おんなじ顔!」

レティアが二人の顔立ちがそっくりだと驚く。確かにこの二人の顔はそっくりだ。違いをあげるなら髪の色と雰囲気、後は服装ぐらいだろう。おそらく双子か何かなのだろう。

「あっはっはー!驚いた?あたしたち双子なのよ!私がお姉ちゃんでミスティが妹!」
「……アミティ。話が逸れてきてる」
「おおっと!ほんとだいつの間に!んで、先生のことだっけ。知りたい?」

顔はそっくりなのに性格が反対だ。だがそれが二人の間でバランスを作っているような気もする。まぁそれよりも今は先生についてだ。

「うん。よく分からないから教えてほしいかな?」
「ふっふっふー。ならば、教えてしんぜよう!」
「……あの人はこれまで30以上のダンジョンを踏破してきた若くして冒険者達の歴史に名を刻んだ人。『嵐の戦人オラージュ・ウォリアー』エバンス・ウルフレイド。……巷で最近教師も兼業することになったって聞いていたけど、まさかファンタジア学園だとは思わなかった」
「ってあー!!ミスティちゃん酷い!」
「……アミティうるさい」


物静かな女の子、ミスティが明るい女の子の説明を掠め取っていく。その事で二人が一悶着起こしていたが、何となく止めようと思えなかったのでそのまま放置しておく。
しかし、若くして冒険者の歴史に名を刻んだ人か。この世界について今だ分からないことだらけだから今一ピンとこないけど、少なくともとんでもない人物であるということは分かった。

「私の事をそこまで知ってて貰うというのは光栄だな。まぁ、見てのとおり今は冒険者と教師を平行してやってる。因みに好きなものは冒険と地方の肉料理!嫌いなものは口うるさい教頭!何故ならこの間怒られたから!」

子供みたいな理由で教頭が嫌われている……。

「さて、私の自己紹介はここまでで良いだろう。次はお前たちの番だ。だが、ただ淡々と自己紹介してもつまらないだろう?そこで、こいつを一緒に使わせて貰う」

そう言ってエバンス先生が取り出したのは水晶玉だった。それを見た一部の生徒からまたどよめきが聞こえてくる。

「知ってる奴もどうやらいるみたいだな。そう、こいつは『魂見聞球ソウルオーブ』。冒険者のステータスを表示してくれるかなーり貴重な水晶だ」

あれが『魂見聞球ソウルオーブ』!?レティアが言ってた僕のスキルと同じ能力を持つ水晶玉。かなり貴重だって話だけど、どうしてこんなところにあるんだろう?

「これからお前たちには自分のステータスを確認してもらい、自己紹介をして貰う。その際に自分のなりたい職業ジョブも決めて貰うぞ」

職業ジョブ。つまり戦士や騎士のような役割を決められるということか。

魂見聞球ソウルオーブにはステータスを見るだけでなく職業ジョブの決まっていない冒険者に最も適正のある職業ジョブを示してくれる機能がある。その中から自分がなりたい職業ジョブ選ぶんだ。んでその後に自己紹介だ。名前と好きなものと嫌いなもの、後は夢はあるかどうか、んで最後にステータスを開示するかどうかだな。まぁ、これに関しては各々の自由に任せる」
「センセー!ステータス開示ってする必要あるんですかー!?」

生徒の一人から質問が出てくる。確かにステータスの開示ってとどのつまり自分の個人情報を公開することだ。あまり気分のいいことじゃないだろうな。

「勿論ある。冒険者っていうのは基本パーティを組んでダンジョンへ挑む。その際にパーティメンバーの能力を理解していないと連携をとりたくても取れなくなることも多い。特に冒険者はやむを得ず即席パーティを組まされるなんてことはざらにある。そうなるとステータスを開示するというのはパーティ同士の連携を高めることに繋がるんだ」

成る程。確かに自分の情報を開示するということは、相手への信頼の証を提示するということでもある。……そういった意味だと僕は相手の信頼とかガン無視で見れてしまうのか。やっぱり人にはあんまし使わない方がいいなこれ。

「さて、そろそろ時間もなくなってきている。早速一人目から前へ出て来てもらおうか」

こうしてファンタジア学園一年A組の自己紹介が始まった。どんな人達がクラスメイトなのか今からドキドキしている。親切な人達だといいなぁ。





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