僕らのダンジョンアタカッーズ!

石神もんすとろ

ようこそ!ファンタジア学園へ!~商魂逞しい港町でした~

「着いたー!!」
「ここがアルネイ……。やっと着いた……」

翌日、僕達は森を抜けて遂に最初の目的地である港町アルネイにやって来た。ここまで短いようで長かった……。出来れば今日はここでゆっくりしたい気分だがそうも言ってられない。学園に行くための船を探す必要があるし、この町で見聞を広めておく必要がある。

「クニハル!町を見てまわるぞ!」
「レティアって本当に元気だよね……」
「そういうクニハルはなんか疲れてるなー?」

そりゃ貴女ねぇ、疲れもしますよ……。
だって朝起きたらレティアが添い寝してんだもん。膝枕の後に添い寝ってレティアさん本気で危機感無さすぎじゃないですかね。そんな事があってから変に意識してしまいレティアとの接し方が判らずしどろもどろした結果朝っぱらから疲労が蓄積してしまった。当の本人がケロッとしてるもんだからより質が悪い。

「どしたー?クニハル、早く行こう!」
「えっ!?あぁうんそうだね!!行こう行こう!!」
「おー!!」

気恥ずかしさから、レティアの顔をまともに見れず、僕は先を早足で駆けていく。あ~顔が熱い……。





ガヤガヤ……ガヤガヤ……

「す、凄い人だかりだね」
「ここは港町だからなー。色んな所から物を仕入れてたりするから人は多いぞ」
「な、成る程。確かによく見ると店も多いね」

まるで活気のある商店街だ。まぁ、商店街なんてあまり行かないからイメージ何だけど。

「よぉ!兄ちゃん!観光かい!?」
「うぇっ!?」

い、いきなり店のおじさんに話しかけられた!

「え~、えとその観光とかじゃなくて……」
「なら、冒険者かい!?だったらウチで食料や装備を整えていきな!」
「え~いやそうじゃなくてーー」

お、押しが強い!これがコミュ力というものか!い、いかん。何を話せばいいのか分かんなくなってきた。

「ワタシ達はファンタジア学園へいくつもりだぞ!」

レティアさ~ん!助かりました~!度々ごめんね~!

「なんだ、学生かい!なら尚更ここで準備をしていかねぇとな!」
「おー!何があるんだー?」
「ピグラットの干し肉にゴリンゴの実!オススメはバッドバッドの羽だな!出汁にすると上手いぞぉ」


そういいながら店主のおじさんはコウモリっぽい羽をこっちに薦めてくる。結局押し売りかい!いやまぁ商売人として正しい行動なんだろうけど、レティアもその気だし。……でも待てよ?

「レティア、お金あるの?」

ピシッという音が聞こえてきそうな勢いでレティアの体が硬直する。あ、これ図星だ。

「お、お金……」
「うん、大体分かった」

レティアの反応を見る限り、お金がないのは一目瞭然だ。しかし困ったな。これじゃ買い物も出来ないし、最悪学園行きの船にも乗れない可能性が出てきたぞ?

「なんだい、二人とも一文無しかい!?だったらしょうがねぇな!何か売れそうな物はあるかい?」

売れそうな物?確かここに来る途中レベルアップのために魔物を何体か狩ってその素材を剥いでるけど。

「あのー、魔物の素材って売れますか?」
「売りたいなら質屋に行くしかねぇな!なんなら知り合いの高く買い取ってくれる場所教えてやろうか?」
「ほ、本当ですか!?」
「おー!やったーー「ただしっ!!」ーーおぉっ!?」

喜ぶ僕達二人を店主のおじさんが遮る。いっ、一体何を言う気なんだ……。

「その金でウチで買い物していってくれよ?」
「はっ、はい!」
「ありがとなー!おっちゃん!」
「いいってことよ!待ってろ今地図書くから」

商売上手だけど、とても良い人だ。後で必ず買い物に来よう。そうこうしてる内におじさんが戻ってきた。

「ほいこれ。八百屋のラウルの紹介だって言えばよくしてくれるはずだぜ!」
「はい、ありがとうございます!早速行って見ます!レティア行こう」
「おー!またなー、おっちゃん!」




店主のおじさんから貰った地図を頼りに例の質屋にやって来た。『質屋レーゾンデートル』。す、凄い考えさせられそうな店名だ。

「おー、おっきいな!クニハル早く入ろう!」
「う、うん」

こういう店に入るのは初めてだ。な、なんか緊張するな。取り敢えずおどおどしながらも僕はドアノブに手をかけようとする。……が突然扉が開かれ、中から女の人が出てくる。

「あら?」
「わっ、すいません」
「ええ、此方こそ」


軽く会釈をして直ぐ様別れる。そのすれ違い様にキラキラと輝く金髪が目の前を横切り、ついそちらに目を奪われてしまう。……キレイな人だな。

「クニハル?どうした?」
「えっ!?ああいや何でもないよ!」
「んー?それならいいぞ。それより早く入ろう!」
「う、うん」




「ここが質屋か」
「おー!色々置いてあるぞ!」

レティアの言うとおり店内には色々な物が置いてある。武器に飾り、置物まである。これは何の絵画かな?色々な物がありすぎて目移りしてしまう。

「いらっしゃい。何か入り用かい?」

店の物に目をとられていると、奥から大人の女性の艶っぽい声が聞こえてくる。声の方を見てみると、イメージ通りの妖艶な女性がキセルを口に加えながら此方を見ていた。

「えと、その、八百屋のラウルさんからの紹介で来ました。こっ、此方で物を買い取って貰えると聞いて御伺いしたのですが……」

相手の雰囲気に呑まれ、妙に気後れしてしまう。

「ラウルの?ふーん?」

女性はそんな僕達をざっと眺めて、不敵な笑みを浮かべる。

「冒険者の卵、ファンタジアに行くつもりだね?」
「えっ!?」
「おー!?どうして分かったんだ!?」
「簡単な話さ。この時期に見かけない服装を着た若者は大体がファンタジア学園に入学する学生だからね。さっきあんた達と入り口ですれ違った子もそうさ?もしかしたら向こうでまた会えるかもねぇ」

少し僕達を眺めただけでそんな事が判るとは侮れない女性だ。というかさっきの子もファンタジアに入学するのか。

「自己紹介がまだだったね。アタシはこの『レーゾンデートル』の主人をやってるルシィク・フォルマだよ。ラウルとは古い付き合いでね。気軽にルシィクだのフォルマだの呼んどくれ」
「は、はい。えと、ルシィクさん僕は新堂 邦治です」
「レティア・チェ・ネッレヴッルだ!よろしくな!ルシィク!」
「ああ、宜しく。ーーで?物を買い取って欲しいって?」

そう言ってルシィクさんはキセルをふかしながら、訪ねてくる。その行動にも何やら緊張感が走り、僕の背筋は自然とピンっとなってしまう。

「はっ、はい!えと、レティア。素材を出して?」
「おー!この中に入ってるぞ!」

レティアは例の四次元鞄の中から、剥ぎ取ってきた魔物の素材を取り出していく。

「中々大量だね。魂のレベルでも上げてたのかい?」
「あ~……あはは。お恥ずかしながら僕のレベル上げです」
「だろうね。あんたは何というか、荒事とは無縁の生活を送ってきたように見えるからねぇ」
「…………!」

それすらも解るのか。本当にこの人は何者なんだ?

「ふむ、ピグラットの爪にハーピィラビットの耳。おや、エスケープゴートの角まであるよ。捕まえるのに其なりに苦労する相手なのによくやったねぇ」
「おー!クニハルが罠を仕掛けて私がそこに誘導したんだぞ!」
「へぇー、良い連携がとれてるじゃないか。そうだねぇ。これだけの量があれば、ざっと72058リコルって所だね」

リコル、この世界のお金の単位だ。異世界言語アーテリア・バイリンガルによって1リコル=1円というという事が自動で翻訳される。つまりこの素材を売ることで72058円もの収入を得られたという事だ。思っていたよりも大分高く売れた気がする

「おー!大金だ!」
「その……随分高値ですね」
「元々数が揃ってたからね。それにエスケープゴートの角はちょうど切らしていた所だし。後はーー」

ルシィクさんは言葉に区切りをつけるとキセルを吹かす。そして一拍おいた後、此方に目線だけを向けて再び口を動かす。

「アタシから新入生へのちょっとしたプレゼントって所だね。その金でここを紹介した奴の所に行って装備を整えな」
「ルシィクさん……。ありがとうございます!」
「おー!ありがとうな!」
「でも本当にいいんですか?」
「ラウルの紹介だからねぇ。アイツの店とは提携を結んでいてね?先ずアイツの紹介でウチにやって来る。そんで買い取れる物を出来る限り高値で買い取る。で、そのあと懐の紐が緩くなった連中は、紹介を受けたラウルの店で買い物三昧ってのが手口さね」

見事なまでに仕組まれていることだった……。本当に商魂逞しいなあのおじさん。……あ、そうだ。

「あの、ルシィクさん?」
「なんだい?」
「学園行きの船は何処から乗ればいいでしょうか?」
「それなら、港の船に学園行き専用の船があるから直ぐに判るはずだよ」
「分かりました。ありがとうございます、その何から何まで」
「ありがとなー!」
「いいさ。アンタ達が冒険者になってダンジョンのお宝をウチで買い取らせてくれれば、ウチも安泰だからねぇ。アンタ達は見処がある。先行投資というやつさね」
「あ、あははは……。レティアはともかく、僕はそこまで大層な事は出来ないと思いますけど……」
「だったらその時はアタシの目が節穴だったってだけさね。そらいつまでもここで油売ってていいのかい?船が出るのは明日だけどモタモタしてる時間もないだろう?」
「おー、そうだった!町を見て廻らなきゃな!クニハル行こう!」
「う、うん。でも宿の確認とかーー「レッツゴー!!」ちょおおおお!!?」

言うが早いか、レティアは直ぐ様僕の腕を掴んで『レーゾンデートル』を出て町へと繰り出す。そんな中僕の耳にはルシィクさんの「毎度あり」の言葉が耳に残るのだった。




「きたぞー!おっちゃん!」
「よう!また来たな!」

レティアに連れられて先ず最初に訪れたのはルシィクさんの店の場所を教えてくれたおじさん、ラウルさんの店だった。その内に行こうと思っていたが、ここまで早く戻ってくるとは。レティアは本当に義理堅いというか、何というか。まぁ、でも最初に買い物をするのであれば見知った顔の人物の方がいいのは確かだ。

「先程はありがとうございましたラウルさん。お陰さまでルシィクさんに素材を買い取って貰いました」
「いいってことよ!こっちも打算あっての事だからな!ルシィクから聞いただろ?」
「え、ええまぁ……」
「なら話ははやい!早速色々と見ていって貰うぜ!今ならサービスもしとくからよ!」

本当に商魂逞しい……。この港町の商人が皆こうなら、折角のお金もあっさり底をつくかも知れない。取り敢えずあらかじめ買うものは決めておいた方がよさそうだ。

「おっちゃん!ピグラットの干し肉全部くれ!」
「はいストーップ」

何かとんでもない発言してる隣の同行者に軽くチョップを繰り出す。

「うにゅ!?何するんだクニハル!」

んー、それはこっちの台詞ですね。

「レティア?お腹が空いてるからってそんなに食べられないでしょ?」
「食べられるもん!」
「そうだとしても、このお金はこれからの準備に必要なお金なんだから無駄づかいは駄目だよ」
「む、無駄づかいじゃないぞ!腹が減ってたら何もできないぞ!動けなくなっちゃうぞ!?」
「そうだね。でも店の干し肉全部はいくらなんでも食べ過ぎ。それじゃお腹いっぱいになりすぎてどのみち動けなくなるよ?」
「う、それは……」
「それに僕は服とか装備とか整えないと着替えはもうないし、明日は学園にいくんだからレティアも僕も綺麗な服で行かないと。そのためにもこのお金はきちんと計画的に使います」
「うーうー!」

(なんかお菓子を母親にねだってる子供見てえな図になってやがる……)


「大丈夫だよ。必要な分を揃えたら余ったお金で美味しいものたべよ?」
「ほ、本当か!?」
「勿論。約束」
「やったー!クニハルだいすきだー!」
「うぇ!?ああ、うんどういたしまして……」
(青春しやがって……若い頃を思い出すぜ……)

……っといけない。なにやら話が脱線していた気がする。取り敢えずレティアは何とか説得出来たし、ここから準備を初めて行かないとな。

「あの、ラウルさん?少しいいですか?」
「みなまで言うなや。分かってるよ。装備を整えられる店を紹介して欲しいんだろう?」
「はい。お願い出来ますか?」
「御安いご用だ!だがウチでもちゃんと買い物してってくれよ?」
「ええ、それは勿論!」
「なら、取って置きの場所を紹介してやる先ずはーー」
「えへへ、美味しいもの~♪何がいいかな~♪」

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