学生騎士と恋物語《パンドラボックス》

福乃ミナ

第22話 蛍のスキル

赤月から急にそんな事を言われ、腑抜けた声を出す。
「月野の情報ってどうゆう事ですか?」
亜紀斗がそう言うと、赤月は胸ポケットからライターと一本のタバコを取り出し、口に咥え火を付ける。
「どうもこうもない。月野の情報をお前に言う。それ以外に変な事を言ったか?」
言っていないな。
そう思い、亜紀斗は首を横に振る。
「てか赤月〜堂々とタバコ吸ってるけど、ここって禁煙なんだよね。ほら、未成年もいるんだしさ。少しは抑えてよ」
「ん?ああ、そうだったな。悪い」
五月雨に注意され、ポケット灰皿を取り出しタバコの火を消そうとする。
「待ってまだ消すのはもったいない」
五月雨は赤月のタバコを取り上げ、自分で吸う。
「吸うなって言ったのに自分で吸ってるじゃないか」
「だってもったいなかったんだもん」
「全く…」
そう言うとまたタバコを一本取り出し、火を付け吸う。
「月影君も吸う?」
「先生が生徒にタバコを進めちゃダメでしょ」
「そう?けどね大人になったらみんなタバコを吸うのよ。大人は色々ストレスを溜め込むから…だからストレス発散に吸うのよ」
「特に教師をしてれば尚更だ」
「そうね〜」
二人はそんな事を言いながらタバコを吸う。
大人って大変なんだな。てかこの人達っていつからタバコを吸ってるんだ?
「先生達っていつからタバコを吸ってるんですか?」
「そうね…私は15歳の時かしら?」
「私もそれくらいだ」
「先生達って意外に不良だったんですね」
「時代が時代だからね〜」
 不良の時代って本当にこの人達は何歳なんだよ。絶対に三十代は行ってるだろ。
「てか早く月野に関する情報を言ってくださいよ」
「忘れてた」
忘れてたのかよ!!
「ついつい世間話しをしちゃうから本題に入るの忘れちゃうね〜」
「世間話しって言ってもタバコの話しかしてないだろ?」
「それもそうね」
そう言って五月雨は笑う。
「話しを戻そう」
「やっとか」
「これは他人には他言無用で頼む」 
「分かりました」
「よし、ではまず月野のスキルの事だが…」
終わらない道エンドレスロード…あれは一体なんなんですか?見たことも無いスキルでしたし」
月野はあのスキルを使ってからは一切のダメージはおろか、手応えすら感じないほどのものだった。
「あれの効果は一定時間のダメージ無効だ」
「ダメージの無効!?」
それを聞いた途端、亜紀斗は思わず立ち上がってしまう。
「落ち着け。多少の物理攻撃は防げるが、精神的攻撃までは無効できない。だから最後、月野は子供みたいに剣を振り回した」
「月野流奥義を見破ることは出来ても避ける事は出来ない。けど月影君は避けた。月影君はただ避けた事しか思ってるけど、月野ちゃんにとっては今後に関わる重大なことなの」
「奥義を避けられたぐらいで…」
「だからこそ月野ちゃんは焦っているの」
「焦る?」
どうゆう事だ?何に焦るのだ?
「これを言うのは月野ちゃんに悪いけど月野ちゃんは…」
「大丈夫だ五月雨。後は私の口から言う」
赤月はそう言うと手に持っていたタバコを火を消し、ポケット灰皿に燃え殻を入れる。
「ここから先は聞くも聞かないもお前の自由だ。それを聞いてどう思うも自由だ。ただし、聞いた事を月野の前では言うな。いいな?」
「はい。聞かせて下さい、あいつの事を」
「そうか。なら話すぞ、月野蛍の過去を…」









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