学生騎士と恋物語《パンドラボックス》

福乃ミナ

第8話 詳細不明の刀

二人に流されるがままに、練習場に入る。
ただ握っただけで専用武器確定って酷くない?しかも交換不可って、なんか詐欺にあった気分。まあ合わなかったら交換して貰えるように説得するか。
「よし、試しに振ってみるか?」
人が余り居なさそうな所を探す。
「ここら辺でいいか」
亜紀斗の立っている場所は扉から少し離れた場所で、少なからず人が来ることは無いだろう。
よし、早速やるか。
刀を構え、適当に素振りする。すると、ただ軽く振っただけで何故か強風が起こる。
「は?」
おいおい、今の軽きだぞ ︎なのに何だよこの風は ︎
あまりの出来事に一瞬自分の目を疑う。それぐらい今起きた事はあり得ない事なのだ。
「今の、どうやって起こしたの?」
「おわぁ」
急に後ろから話しかけられ、驚く。
「って何だレイラか。驚かせるなよ」
「驚いたのはこっちだよ ︎それよりもどうやってあの風を起こしたの?」
あの風って、ああ。見てなのね、あれ。
「それはこっちが聞きたいくらいだ」
「え、もう一回言って?」
聞いてないの?もう適当に言おう。
「気合いで起こした」
何を言ってんだ俺は ︎適当にもほどがあるだろ!
亜紀斗はさっき言った発言を凄く後悔する。
「気合い…やっぱり亜紀斗は凄いね!!」
納得すんのかよ。
「ん?それはそうとレイラ。専用武器はどうした?もう決めたのか?」
「うん、もう決めたよ。これ」
そう言ってレイラは一本の短剣を亜紀斗に見せる。
中々切れ味も良さそうな短剣だな。それにレイラは見る限りスピード型と思うからこの短剣とは相性が良さそうだな。
「中々いい武器を見つけたな」
「でしょ!?それにこの剣の名前はマインゴーシュ。ルネサンス期に造られた物らしくてそれを再現したらしいよ」
「ルネサンス期?何処からそんな情報手に入れた?」
「剣のステータスを見れば分かるよ。ほらこうやって」
「なるほど。こうか」
刀の一部を触ると、ステータスみたいな物が出で来る。

『名前:妖刀黒漆剣(くろうるしのつるぎ)』

詳細:不明

攻撃力 158

防御力 198

「はぁ!?」
「どうしたの亜紀斗?」
急に大声を出すと、隣に立っていたレイラが肩を少しだけ揺らす。
「いや、何でもない」
おい、どうゆう事だよ ︎詳細不明ってますます怪しいぞこの剣。それにこの攻撃力。普通でも100も行くか行かないかだぞ ︎100越えって笑えないぞ。
そんなことを思っていると、扉の方からぞろぞろと人が流れ込んで来る。その後ろには神咲の姿がある。とゆう事は皆が武器を選び終えたのか?
「みんなすんなり選んで時間もそんな掛からなかったから、時間も結構余ったねー」
時計を見ると時刻はまだ10時前。昼に授業が終わるからまだ余裕がある。
「じゃあみんなが持っている武器の説明を軽くするね。
その武器はみんなの成長に合わせて強くなる。いわば生き物みたいな物かな?取り敢えず、手に持っている武器に
魔力を注ぎ込んで見て。そしたら持ち主として名前が刻まれるから」
そう言われ、皆が武器に魔力を注ぎ込む。
やって見るか。

『名前:黒漆剣(くろうるしのつるぎ)』

詳細:不明

持ち主:月影亜紀斗

攻撃力 184

防御力 237

…なんか増えてない?
何かの見間違えと思い再度見直す。が、ステータスは変わらない。
「あ、ちなみに言い忘れたけど、持ち主登録が終われば、自動的にステータスが上乗せされるから気おつけて」
なるほどだからステータスが変わってるのか。でも上がり過ぎでしょ!?詳細は不明のままでステータスは上乗せ。
これはもう酷いの一言しか無い。
「亜紀斗、ステータスが上がってるよ ︎凄いね!?」
「あ、ああ。そうだな」
なんでそんなにはしゃいでるの?俺もはしゃぎたいなぁ〜
『ならはしゃげばいいじゃねぇかよ』
「それが出来たら苦労しないよ」
ん?今誰の声だ?
隣にはレイラしかいない。けどレイラの声では無い。レイラはあんなおっさんぽい声では無い。じゃあ誰だ?
『カッカッカ。テメェはやっぱりおもしれぇな。お前にした甲斐があったぜ』
またあの声。何処からだ?
『ここだよ。ここ』
ここ?何処だよ?
『お前が持ってる剣だよ。分かるだろ〜?』
剣?まさか… ︎
『そのまさかだよ。カッカッカ』
…捨てようかな?この剣。
握り方を変え、遠くへ飛ばす為に助走を取る。
『待て待て!!何するつもりだ?』
「亜紀斗何するつもりなの?」
二人いっぺんに言われても対応出来んからなここはひとつ、
「この剣を捨てる」
「『捨てる!?』」
お、ハモった。

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