学生騎士と恋物語《パンドラボックス》

福乃ミナ

第4話 亜紀斗対シン

「うわぁ!?」
扉の向こうから亜紀斗が出て来る。
「痛ってぇ〜ここの扉って押すやつかよ。ん?」
・・・この人
亜紀斗はシンの顔をジロジロ見ると、軽い会釈をする。すると相手も返してくれた。もしかして帰りかな?
「あ、いた」目の前に蛍を発見すると、亜紀斗は走って蛍の元まで行く。
「いや〜やっと会えたよ。あんたが月野蛍だよな!?」
「え、ええ。そうよ」
「やっぱし。あの会ってすぐで悪いんだけど・・・俺と勝負してくんない?月野流の奴と一回でも良いから勝負してみたくてさあ。良いだろう!?」
会ってすぐの模擬戦の申し込み。当然相手は混乱するだろう。
けど亜紀斗はそんなの御構い無しにグイグイ行く。
すると、急にシンが肩を叩かれる。
「え〜っと、君の名前は?」
「俺?ああ。月影亜紀斗だ」
「月影君か。僕は本山シン。ここの生徒会副会長をしてるんだけど」
「知ってるぞ。さっき聞いた」
「聞いた?誰から?」
誰だったっけ?確か背が低くて後は・・・あ、
「タバコ吸ってる奴」
「タバコって、赤月先生か」
シンはタバコとゆう単語を聞いた瞬間すぐに赤月の名を出す。
「あいつ赤月って言うのか」
「そうだよ。それで?ここに来た理由は?」
あ、そうだった。
手をポンと叩くと、
「こいつと勝負する為だ」
亜紀斗は蛍の方へ指を向ける。
「月野さんと?」
「そうだ。月野流の奴とは一度でも良いから勝負してみたいんだよ」
「だそうだ。月野さんはどうする?」
「別に・・・いや、そこにいる副会長と勝負して一度でも膝をつけさせたら勝負してやっても良いけど」
「あ、ちょっと」
「別に良いでしょ」
「・・・」
亜紀斗の方を見るとよっしゃ〜 ︎と喜んでいる。どうも断りづらい。
「仕方ない。良いよ相手してあげる」
「ルールはどうする?」
「何でもアリで良いよ」
「わかった。じゃあ木刀を一本貸してください」
「はい」
シンはいつの間にか木刀を二本持っており、その内の一本を亜紀斗に手渡す。
木刀を手に持つと亜紀斗は構える。
「合図をお願いします」
そう言うと蛍は手をあげる。
が、シンはまだ木刀を構えない。
あいつ、いったいどうゆうつもりだ?見た感じどうもヤバい匂いがするな。ここはひとまず・・・
「それじゃあ・・・始め!!」
「ほい」
合図と同時に亜紀斗はシンを木刀で殴り飛ばす。
「は?」
あまりの出来事に蛍は腑抜けた声を出す。
「手応えがあまり無いな」
殴られる直前に後ろに下がったのか?てか赤月に何か言われたような気がするな。確か副会長とは・・・あれ?その先は何だったっけ?思い出せん。
そう必死になって思い出していると、
暴風ストーム ︎」
とてつもなく強い風が亜紀斗を吹き飛ばす。
「グッ!」
数メートルぐらい飛ばされた所で、木刀を床に差し込み、勢いを殺す。
「ビックリしたじゃないか」
シンは何故か笑顔を見せながら自分が元にいた場所に戻る。
戻った瞬間、さっきまで強かった風が止む。風使いか?それにしても、
「先輩、固有スキル使うってずるくないすっか?」
固有スキルとは、個人が持つ自分専用のスキル。いわば超能力みたいなものだ。さっきシンが起こした風も固有スキルである。
「そうか?ルールは何でもアリだぞ?」
たしかに何でもアリって言ったけど、まさか固有スキル使うとは思ってもいなかったな。
「てかもう膝。絶対付いてますよね?」
「付いたがそれがどうした?」
あっさり認めたよ。
「じゃあこの勝負俺の勝ちって事で良いですか?」
「そうゆう訳にも行かないな」
そう言うと木刀で一気に殴り掛かってくる。亜紀斗も急いで床から木刀を抜き、受け止める。
「いきなりかよ」
「君もさっきいきなり来たよね?」
あ、それもそうか。
亜紀斗は力任せにシンを押し飛ばす。
「おっと」
体勢が崩れた。今だ ︎
「くたばれ!!」
「おっかない事言うね!?」
体勢が崩れてもなお、亜紀斗の一撃を避ける。
「まじかよ!?どわぁ!」
さっきの一撃を避けると同時にシンは亜紀斗の制服の襟を掴み、投げ飛ばす。
「反射神経は良い。それに反応速度も良い。けど・・・」

「これっと言った技術は無いね」

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