姉小路の野望~技術と知識で小国から成り上がる!?~
二話 親子の絆~
外に出て、良頼に連れられるがままに来てみると、なんとそこには弓の的当て台があるではないか。距離は五、六十メートル程と言ったところか。まさか、あそこに当てようと言うのか?
「良頼、まさかあそこに当てるなどと考えてはおるまいな?」
「おぉ、流石父上鋭いですな。その通りです!!」
まさか、当てられるわけがないと直頼は大笑いして良頼に言った。
「ならば、父上! 私と賭けましょう。もし、私が撃ち当てる事が出来ましたら、これ以上私の振る舞いに指図するのはお止めください。もし、私が撃ち当てる事が出来なかった場合は、父上の言う通り、私は父上の御傍で当主にとって何が大事なのか、一から学ばせていただきます。宜しいですか?」
賭け事の好きな良頼の言いそうな言葉だ。
「ふっ、何を言うか。最初からそのつもりだ。もし、一発で射る事が出来なければ、御主は潔く儂の下で一から全てを叩き込む!!」
直頼の宣言に満足した良頼は微笑みを浮かべて頷き、種子島なるものを構える。
「……」
辺りに沈黙が走った。直頼は笑みを浮かべながら、まだかまだかと良頼の失敗を待ち受けていた。
良頼はしっかりと鉄砲を握り締めて、的に狙いを定める。
焦点がずれないように、しっかりと抑え、震えないように撃ち抜く気持ちを強く持って狙いを定めた。
「……ッ!」
良頼が引き金を引くと、辺りに銃声が響く。音に驚いた鳥たちが、一斉にその場から飛び去っていく。正直、この銃声には直頼も驚いていた。
「……さてと、どうですかね父上」
良頼は微笑みを浮かべて、直頼の方を向いて答える。直頼は、的の先を眺めると中心よりも少し逸れてはいるが、しっかりと的を撃ち抜いていた。
「……な、なんだと。まさか、本当に撃ち抜いたとは……」
直頼は賭けに負けた事よりも、良頼の種子島の腕の素晴らしさの方が圧巻に取られていた。
あの距離で、この小さい的を射られるとは……もしや、良頼。お前には戦の才能があるのではないか……?気付くのが遅すぎたか……?
基本的に、三木家は武術よりも学問を一番として学ばせており、家中には頭の切れる者は何人か居て、戦にも優れていた。しかし、武辺者が圧倒的に少なく、戦では攻めよりも守りの方を基準として戦うようになってしまっている。
「……良頼」
一つ決心を固めた様に、直頼は良頼を呼ぶ。
「はい? 父上?」
「賭けは儂の負けだ。御主の好きにせい。それよりも、その種子島についてだが」
良頼は種子島を見つめてキョトンとした顔をする。
「その種子島、今後の戦で活用できる事があるかもしれぬ。何処で仕入れて来たのか、詳しく話を聞かせてはくれぬか?」
直頼の言葉に、ピッと来た良頼がはい、と返事をして種子島について話してくれることになった。
「実はですね、この種子島。純南蛮製では無く日ノ本で改良されて作られた物なのです」
と、言うことは日ノ本ではもう作られているのか!?と、驚いた顔で直頼は訊いた。
「はい、とは言ってもまだ大量生産には至っておりません。大量生産が出来るのも、後5年ほどは掛かるそうです。やはり、見て頂けるようにこの巣口の作り方と弾である鉛の技術が低いですから」
逆に言ってしまえば、そこ以外は日ノ本でも熟せる人間が何人か居ると言うことか。と、なればそこを重点的に仕上げてしまえば我々でも種子島の生産が出来る言うことだ。もし、この種子島が大量に配備されるような事になれば、遂に我々が他国に本気で攻めかかる事が可能になるでは無いか!!この兵器さえ揃えば……!!
「……種子島の生産を良頼、お前に任せると言ったら出来るか?」
え?と、良頼は首を傾げて訊き返した。
「種子島さえあれば、この飛騨の小国でも周りの国に対抗できる能力が持てる。そうすれば、我々も遂に他国に侵攻できる力を持てるであろう。だからこそ、種子島と言う南蛮兵器は必要不可欠。大量生産したい。良頼、お前にこの飛騨国での生産ラインの確保をお願いできないか?」
直頼は言葉を変えて改めて良頼にお願いをする。一瞬迷った顔で、父上を見つめていたが頷く。
「そんな大役、思ってもおりませんでした! 私がそのような役に就けるとは!! 分かりました、全身全霊でやらせていただきましょう!! 父上!!」
ガッツポーズで、そう言い張ると良頼は気合十分に言った。これなら、大丈夫だろうと、直頼も笑みを浮かべて思った。
収穫前なのに張り切って種子島の製造に力を入れ始めた三木家。その製造ライン確保の担当は三木家後継ぎである、三木良頼。特に難しいと言われる巣口と弾の作りを突破し、大量生産の道を作る事が出来るのだろうか。それは、これより先の話で語られる事である。
この話の後、良頼は早速製造へと取り掛かり、直頼は一人で良頼の屋敷へと向かった。
「良頼、まさかあそこに当てるなどと考えてはおるまいな?」
「おぉ、流石父上鋭いですな。その通りです!!」
まさか、当てられるわけがないと直頼は大笑いして良頼に言った。
「ならば、父上! 私と賭けましょう。もし、私が撃ち当てる事が出来ましたら、これ以上私の振る舞いに指図するのはお止めください。もし、私が撃ち当てる事が出来なかった場合は、父上の言う通り、私は父上の御傍で当主にとって何が大事なのか、一から学ばせていただきます。宜しいですか?」
賭け事の好きな良頼の言いそうな言葉だ。
「ふっ、何を言うか。最初からそのつもりだ。もし、一発で射る事が出来なければ、御主は潔く儂の下で一から全てを叩き込む!!」
直頼の宣言に満足した良頼は微笑みを浮かべて頷き、種子島なるものを構える。
「……」
辺りに沈黙が走った。直頼は笑みを浮かべながら、まだかまだかと良頼の失敗を待ち受けていた。
良頼はしっかりと鉄砲を握り締めて、的に狙いを定める。
焦点がずれないように、しっかりと抑え、震えないように撃ち抜く気持ちを強く持って狙いを定めた。
「……ッ!」
良頼が引き金を引くと、辺りに銃声が響く。音に驚いた鳥たちが、一斉にその場から飛び去っていく。正直、この銃声には直頼も驚いていた。
「……さてと、どうですかね父上」
良頼は微笑みを浮かべて、直頼の方を向いて答える。直頼は、的の先を眺めると中心よりも少し逸れてはいるが、しっかりと的を撃ち抜いていた。
「……な、なんだと。まさか、本当に撃ち抜いたとは……」
直頼は賭けに負けた事よりも、良頼の種子島の腕の素晴らしさの方が圧巻に取られていた。
あの距離で、この小さい的を射られるとは……もしや、良頼。お前には戦の才能があるのではないか……?気付くのが遅すぎたか……?
基本的に、三木家は武術よりも学問を一番として学ばせており、家中には頭の切れる者は何人か居て、戦にも優れていた。しかし、武辺者が圧倒的に少なく、戦では攻めよりも守りの方を基準として戦うようになってしまっている。
「……良頼」
一つ決心を固めた様に、直頼は良頼を呼ぶ。
「はい? 父上?」
「賭けは儂の負けだ。御主の好きにせい。それよりも、その種子島についてだが」
良頼は種子島を見つめてキョトンとした顔をする。
「その種子島、今後の戦で活用できる事があるかもしれぬ。何処で仕入れて来たのか、詳しく話を聞かせてはくれぬか?」
直頼の言葉に、ピッと来た良頼がはい、と返事をして種子島について話してくれることになった。
「実はですね、この種子島。純南蛮製では無く日ノ本で改良されて作られた物なのです」
と、言うことは日ノ本ではもう作られているのか!?と、驚いた顔で直頼は訊いた。
「はい、とは言ってもまだ大量生産には至っておりません。大量生産が出来るのも、後5年ほどは掛かるそうです。やはり、見て頂けるようにこの巣口の作り方と弾である鉛の技術が低いですから」
逆に言ってしまえば、そこ以外は日ノ本でも熟せる人間が何人か居ると言うことか。と、なればそこを重点的に仕上げてしまえば我々でも種子島の生産が出来る言うことだ。もし、この種子島が大量に配備されるような事になれば、遂に我々が他国に本気で攻めかかる事が可能になるでは無いか!!この兵器さえ揃えば……!!
「……種子島の生産を良頼、お前に任せると言ったら出来るか?」
え?と、良頼は首を傾げて訊き返した。
「種子島さえあれば、この飛騨の小国でも周りの国に対抗できる能力が持てる。そうすれば、我々も遂に他国に侵攻できる力を持てるであろう。だからこそ、種子島と言う南蛮兵器は必要不可欠。大量生産したい。良頼、お前にこの飛騨国での生産ラインの確保をお願いできないか?」
直頼は言葉を変えて改めて良頼にお願いをする。一瞬迷った顔で、父上を見つめていたが頷く。
「そんな大役、思ってもおりませんでした! 私がそのような役に就けるとは!! 分かりました、全身全霊でやらせていただきましょう!! 父上!!」
ガッツポーズで、そう言い張ると良頼は気合十分に言った。これなら、大丈夫だろうと、直頼も笑みを浮かべて思った。
収穫前なのに張り切って種子島の製造に力を入れ始めた三木家。その製造ライン確保の担当は三木家後継ぎである、三木良頼。特に難しいと言われる巣口と弾の作りを突破し、大量生産の道を作る事が出来るのだろうか。それは、これより先の話で語られる事である。
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ノベルバユーザー290099
更新終わりですか?
ノベルバユーザー167673
更新して〜おもしろい