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空薬莢は朱い花と共に

黒桜秀逸

♯1末路

裁判所の通路に殺人鬼の足音が響く。
「なあ看守さん、今からどうなんの?俺」
看守が軽蔑するような目で見る。
「黙って歩け、劣等種族が」
「またそれか…劣等種族生まれですみませんねぇ」
リゼの顔が歪む。
看守はその言葉を聞くと顔を強張らせた。
「口を慎め劣等種族」
「俺の名前は劣等種族じゃねえっての、馬鹿が。」
リゼはハッとしたが、もう遅かった。
瞬間、彼の目の前に警棒が現れ、鈍い衝撃が走った。
「痛ッ!?」
倒れる彼の上に、激昂した鬼畜が乗る。
「いいかよく聞け劣等種族。お前は劣等種族を代表する殺人鬼。鬼畜なんだよ。誰も味方してくれない。誰も助けてくれない。ただ寝て食ってを繰り返す家畜、いや家畜以下、それがお前だ。お前は俺たち優勢種族の道具でしかないんだよ。わかったら立て、オモチャが。」
リゼは殺気立った目で看守を見た。看守は一瞬たじろいだが、すぐに彼を殴った。
リゼが朦朧とする中感じ取ったのは、軽蔑し、蔑む視線と、笑い声であった。












「リゼ被告を死刑とする。」
法廷に声が響く。
マスコミや傍聴している人のざわめきが聞こえる。
裁判長は淡々と続ける。
「被告は尊い命を冒涜し、多数の被害者を殺害した。それどころか遺体を損壊し、弄んでいる。この行為は大変残虐であり、断固として許してはいけないことである。よって検察側の求刑通り、量刑の死刑を言い渡す。」
マスコミはこれを聞くとすぐに外へ行き、騒いでいた。
すると裁判長が冷静に言った。
「ここからは部外秘ですので傍聴人は速やかに退廷して下さい」
すると傍聴人は、すぐに退廷をした。
狭い法廷には静寂が立ち込め、重々しい雰囲気が漂っていた。
裁判長が口を開く。
「さて、ここから話すことは国家秘密であるため、外部に漏らした場合、逮捕となりますのでご注意下さい。」
この時殺人鬼には、戸惑いの色が見えた。
「リズ被告、あなたはこれで社会から抹殺されました。もう社会からあなたは見放されたわけだ。しかし、あなたには殺しのスキルがある。」
「一体あんた何が言いたいんだ。」
リゼは思わず言った。その表情は曇っていた。
裁判長が言う。
「率直に言おう。国が秘密裏に作る暗殺部隊、CNAに参加して欲しい。」
瞬間、法廷にどよめきが走った。
リゼもそれは同じだった。
裁判長は続ける。
「政府はこれからの政権運営に関し、邪魔な者や組織が存在している事を公表した。その者たちを排除し、政権を安定させるため、政府はCNAを作ったのである。そこに協力して欲しいのだ。」
リゼは状況が読めていなかった。さきほどまで死刑を言い渡され動揺していたはずが、急に暗殺部隊に協力をしろと言うのだから状況を掴めないのも仕方あるまい。
「もしそれを断ったら?」
リゼがそのままの表情で言う。
「即刻死刑だ。」
裁判長が冷酷に言い放つ。
リゼは笑って言った。
「つまり国に協力するか死ねってことかい」
「その通りだ」
裁判長がその言葉を発した瞬間、再び法廷に静寂が訪れた。
「さあ、どうする?殺人鬼君。」
裁判長が笑って問うた。
リゼの表情には決意が見られた。
「いいじゃねえか、やってやるよ、暗殺を」
裁判長が笑いながら言った。
「ようこそ、裏の世界へ。」
その瞬間銃声が鳴り響いた。
「なお、検察官と弁護人は、口止めのため、抹殺させていただきます。」
裁判長は笑っていた。
法廷に血溜まりができる。
「閉廷します。」
そう裁判長が言うと、死体が片付けられ、血溜まりが消えた。
リゼに目隠しがされ、車で移動させられた。
その暗闇の中、殺人鬼はこれからの運命を認め、覚悟を固めた。

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