ひねくれマイロード

クガ

十二

 一行は入学式に向かう。
 コウメイは魔法科、戦闘科の2つであり、最上エスクラス。
 マオ、リアが戦闘科。
 ネート、シャロ、ツクヨミは魔法科。
 ツバキ、オキタは諜報科(索敵科)となっている。
 なお、この学園に物騒な科目が揃っているのは、国の軍人になりに来る人や、冒険者に憧れ来る人が多いからである。研究者を目指す人などは、もう一つの学園に通うことが多い。
 

 「それでは入学式を始めます。
 まず、本校の校則について、校長のルラン・マーゼ先生、お願いします。」
 会場に漂う異様な程の緊張感は、舞台正面に立つその、ダークエルフ・・・・・・に対してだという事は、コウメイとツクヨミに安易に理解させる程。
 その長い年月を経て来た筈の身体は、その、美人と全ての人々が言ってしまう程の美貌は、未だに衰えない。
 褐色の肌。艶が無いところは無い。
 何か効果音が出てきそうな身体付きに、誰もが目を奪われる。
 しかし、この緊張感を生み出しているのは、ルラン・マーゼを取り巻く圧倒的な強者の風格。数々の死線を乗り越えてきたのだろう、動作に無駄が無いのではなく、とてつもなく自然体。さながら大樹のよう。
 ルランが口を開いた。
 「新入生の諸君。入学、おめでとう。さて、長たらしい前置きは無しだ。まずはあいさつと行こう。」
 そう言って。生徒全員に対して下級魔法:ファイアを一人につき5発・・ずつ、同時に放つ魔法陣を真上に展開。0.1秒も立たないうちに展開と発動を終わらせた。
 巨大な爆発音が鳴り響いた後、約四分の一程が、無傷で座っていた。当然、コウメイ達は全員その中だ。
 「ふむ。」
 ルランが辺りを見渡して、誰が立っているか、無傷か、座っているかを確かめる。
 「無傷八十。座ったままは三十。今年は粒揃いだな。」
 そう言って、傷を負った全員を一瞬で癒す。
 「今、私が撃ったのは下級魔法だが、発動速度、威力は段違いのはずだ。これ位は防いでいけるレベルが、トップになる。胸に留めておけ、才能に努力で勝とうとするな、才能には才能で対抗しろ。努力で勝つ奴は才能を引き出せているだけだ。
 では、本題に入る。
 本校では、校則というものは嫌いでな。単純で明快なルールにしてある。
 一つ、人に殺傷の類いを行うのは試合または決闘のみ。
 一つ、決闘及び試合の監督は本校が雇う審判ジャッジメンツに行わせること。
 一つ、決闘及び試合会場に、校内以外を使うことを禁止とする。
 一つ、決闘及び試合を申し込める人に制限はない。
 一つ、決闘及び試合は相互が了承している場合のみ行う。
 一つ、決闘及び試合の条件は相互で決め、了承していること。
 以上の規則を守れない、又は守らせない者は即日退学とする。これで話は終わりだ。」
 惜しげの無い(?)拍手が送られながら、ルランは退場する。その途中、確かにコウメイは見た。ルランは一瞬、ほんの一瞬だが、誰かに目線を向けた。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
 「それでは最後に、この学園の生徒会の紹介です。
 本校において、生徒会は実力者または多大な人気のある者が入っており、その権力は学園内で、校則、理事長兼校長に次ぐものです。では、代表として、現生徒会長のジン・フープさん、お願いします。」

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