少女と異世界。
19.邪神の使いとの戦い 3
まったく、この邪神の使いというのは後ろにも目が付いているんだろうか。
背後に回り、時間感覚が戻って来てすぐにまたスキルを使い、頭痛に襲われている時だった。
驚くことに、先程回避した鎌とは反対の方の鎌がこちらにまっすぐと向いているの
だ。
おそらくこのまま振り向きざまに、横薙ぎに振りかぶるつもりだろう。
「……すぅ……はぁ……よし、頭痛は消えた。さてと、マリスは……あ、後ろにいたか……。なるほど、背後から弱点に攻撃するって事か」
となると、僕はまた敵の正面へと移動して、そこで注意を引かないといけないわけで……。
「やるしか、ないよな」
自分から提案し、始めた事だ。
自分が時間を稼ぐ間にマリスだけでも逃げて貰うって事も考えたけど、多分それじゃ二人ともやられてた。
小さく覚悟を決め、再び正面へと回り距離をとった。
「時間切れ、か…… 」
音が戻り、時間感覚が元に戻る。
しっかりと敵を見ていたはずだった。動体視力だって自信ある方だったんだけど、それはどうにも僕の勘違いだったようで。
「っ!?がぁっ!?」
脇腹から聞いたこともないような音と、スキルも発動していないのに、一瞬だけスローに見えてしまったのは生命の危機を感じたからだろうか。
そのおかげで何をされたか分かった。
邪神の使いの体がぶれたと思った瞬間、予想通り、後ろに横薙ぎの攻撃。そこまでは良かった。
しかし、次に来たのは胴体による周囲へのなぎ払い、つまりはそのままの反動を利用して身体を一回転させたのだ。
まず衝撃に吹っ飛ばされた僕は、木の幹へ叩きつけられ、肺の中の空気が無理矢理吐き出された。
これだけでも意識が吹っ飛びそうになる。何とか堪えれたものの肋骨がきしむように激しく痛み、うまく呼吸もできず、起き上がることもできない。
これは……マジでやばい……。
霞む景色の中、こちらの状態には容赦もせずに追撃をしようとこちらに向かってくる邪神の使いが見えた。
「がっ…はぁ、はは、まったく…はぁ、容赦ないね……」
これが、最後になるだろうな。
焦る呼吸の中、必死に呼吸を整え、発動する。
「フルアボイド!」
世界からは音が消え、時間停止に近いような、超低速になる。
「……ふぐっ……がぁ……こ、こんな時に……」
ただでさえ手放してしまいそうな意識に激しい頭痛が追い打ちをかけてくる。
「……すぅ……はぁ……ぐっ…………よし、まだ……動ける」
やられたのは肋骨だけだ。足は動く。腕も、どうにか右だけ動く。
何とか立ち上がって見たのは、こちらに向かって振りかざされている鎌と、その背後、邪神の使いの頭頂部にナイフを突き立てているマリスの姿だった。
やったか?間に合ったのか?
………いや、まだだ。マリスの全力のナイフの振り下ろしでも例え弱点のコアであっても、倒せていない。
「うそ、だろ……これじゃあマリスが……」
こちらに振りかざしている鎌。そして、もう一つ。マリスに向かって動いていた。
反射的な攻撃……コアを攻撃するとそこに反射で鎌、か。まったく、厄介すぎる。
どうすれば……。やってみるしか、無い。
時間もそろそろやばい。
小さくごめんと謝って、思いっきりマリスを突き飛ばす。……が、動かない。
「な、何で……ん?動いて、る?」
そうか、僕以外はみんなこの超低速の速度でしか動けないのか。
そして、次だ。
頭頂部マリスの突き立てたナイフを、杭を打つようなイメージで思いっきり叩きつけた。拳に鈍い痛みが来るが、気合いでもう一発叩き込んだ。
……時間切れだ。
背後に回り、時間感覚が戻って来てすぐにまたスキルを使い、頭痛に襲われている時だった。
驚くことに、先程回避した鎌とは反対の方の鎌がこちらにまっすぐと向いているの
だ。
おそらくこのまま振り向きざまに、横薙ぎに振りかぶるつもりだろう。
「……すぅ……はぁ……よし、頭痛は消えた。さてと、マリスは……あ、後ろにいたか……。なるほど、背後から弱点に攻撃するって事か」
となると、僕はまた敵の正面へと移動して、そこで注意を引かないといけないわけで……。
「やるしか、ないよな」
自分から提案し、始めた事だ。
自分が時間を稼ぐ間にマリスだけでも逃げて貰うって事も考えたけど、多分それじゃ二人ともやられてた。
小さく覚悟を決め、再び正面へと回り距離をとった。
「時間切れ、か…… 」
音が戻り、時間感覚が元に戻る。
しっかりと敵を見ていたはずだった。動体視力だって自信ある方だったんだけど、それはどうにも僕の勘違いだったようで。
「っ!?がぁっ!?」
脇腹から聞いたこともないような音と、スキルも発動していないのに、一瞬だけスローに見えてしまったのは生命の危機を感じたからだろうか。
そのおかげで何をされたか分かった。
邪神の使いの体がぶれたと思った瞬間、予想通り、後ろに横薙ぎの攻撃。そこまでは良かった。
しかし、次に来たのは胴体による周囲へのなぎ払い、つまりはそのままの反動を利用して身体を一回転させたのだ。
まず衝撃に吹っ飛ばされた僕は、木の幹へ叩きつけられ、肺の中の空気が無理矢理吐き出された。
これだけでも意識が吹っ飛びそうになる。何とか堪えれたものの肋骨がきしむように激しく痛み、うまく呼吸もできず、起き上がることもできない。
これは……マジでやばい……。
霞む景色の中、こちらの状態には容赦もせずに追撃をしようとこちらに向かってくる邪神の使いが見えた。
「がっ…はぁ、はは、まったく…はぁ、容赦ないね……」
これが、最後になるだろうな。
焦る呼吸の中、必死に呼吸を整え、発動する。
「フルアボイド!」
世界からは音が消え、時間停止に近いような、超低速になる。
「……ふぐっ……がぁ……こ、こんな時に……」
ただでさえ手放してしまいそうな意識に激しい頭痛が追い打ちをかけてくる。
「……すぅ……はぁ……ぐっ…………よし、まだ……動ける」
やられたのは肋骨だけだ。足は動く。腕も、どうにか右だけ動く。
何とか立ち上がって見たのは、こちらに向かって振りかざされている鎌と、その背後、邪神の使いの頭頂部にナイフを突き立てているマリスの姿だった。
やったか?間に合ったのか?
………いや、まだだ。マリスの全力のナイフの振り下ろしでも例え弱点のコアであっても、倒せていない。
「うそ、だろ……これじゃあマリスが……」
こちらに振りかざしている鎌。そして、もう一つ。マリスに向かって動いていた。
反射的な攻撃……コアを攻撃するとそこに反射で鎌、か。まったく、厄介すぎる。
どうすれば……。やってみるしか、無い。
時間もそろそろやばい。
小さくごめんと謝って、思いっきりマリスを突き飛ばす。……が、動かない。
「な、何で……ん?動いて、る?」
そうか、僕以外はみんなこの超低速の速度でしか動けないのか。
そして、次だ。
頭頂部マリスの突き立てたナイフを、杭を打つようなイメージで思いっきり叩きつけた。拳に鈍い痛みが来るが、気合いでもう一発叩き込んだ。
……時間切れだ。
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