少女と異世界。
6.これってあれだ!詰んだってやつ!
「そんな心配しなくても、死ぬわけじゃないよ」
よ、良かった……。
「え、でもその、肉体と精神体を分けることなんかできるのか?」
「普通の世界では出来ないけど、ここの狭間の世界では出来ちゃうのよ、凄いでしょ?」
そう少女は無い胸を張りながら自慢げに話す。
「んで、精神体だけになっちゃうと、普段は肉体に守られてるのがなくなっちゃうわけよ」
「その、精神体だけになってる間はどうすればいいんだ?」
「気合いよ」
……は?
そんな精神論が通じる問題なのかっ!?
「え、そんなんで大丈夫なのか? なんかもっと、これを持っておけば大丈夫、みたいなものとかないの?」
「ない」
えぇ……。
「まぁ、今まで失敗した事なんか一回しかないし、大丈夫よ」
あるのかよっ!そこはあっても無いって言ってくれよ!
「さぁさぁ、話は終わり。そこのベッドに寝てちょうだい」
うーん、本当に大丈夫なんだろうか……。
僕はイスから立ち上がり、ベッドに向かう。
ベッドはふかふかで寝心地がいい。けど、緊張してるせいか全然リラックスできないのだけれど。
「準備はできたね、次に目覚める時はもう異世界よ」
そう少女は言うと、ポケットからラムネを取り出して、一つ、口に放り込んだ。
「さ、目を閉じて」
僕は言われた通り目を閉じた。
おでこに手の感触が来る。
「じゃ、またね」
あ、そうえばまだこの子の名前とか聞いてなかったな……。
全く、異世界とか急に言われた時は本当に頭の心配をしてしまったけれど、自分が行くことになるとはねぇ…。
だんだんと遠のいていく意識の中でそんなことを思っていた。
<名前を教えて下さい>
ん?名前?僕の名前は玖珂 千夏だ。
<はい、クガ チナツさんですね>
急に声が聞こえてきたと思ったら名前を聞かれた。
てかここどこだ?真っ暗で何も見えないし、夢か?
<夢でないですよ、チナツさん>
へ?夢じゃない?じゃあここって……。というか、どちら様でしょうか?
<私はこの世界の神様です。まだあなたは転生前の状態のようでしたから、連れてきたんですよ>
転生前?あぁ、そうか、僕は異世界に来たのか……。
<では、転生を始めますね……って!?困ります!やめっ…きゃっ!>
ん?どうしたんだろ……なんかあったのかな。
「よっと、無事に異世界に来られたようね、千夏」
ん?この声はさっきの少女か?
「じゃ、転生開始!」
その瞬間、視界がひらけた。
「お、なんだ?空?……ッて!?落ちてる!?」
人生二度目の落下だけど、やっぱり怖いもんは怖い。
「どうすんだよこれ!このままじゃ異世界に到着と同時に死ぬじゃん!」
「まぁ、そう慌てなさんな千夏」
後ろから声が聞こえた。と言うか上か?
少女だった。
「慌てなさんなって、このままじゃ地面と……」
「私を信じなさいよ、大丈夫なんだから」
そ、そうなのか、大丈夫なのか。
なんか、すごい速度で落ちてるはずなのに急に冷静になって来た。
急に体を持ち上げられるような感覚が来る。
おぉ、浮いてる……。
「ね、大丈夫でしょ?」
「凄いな、これどうやったんだ?」
「どうも何も、浮けって思ったら浮いたの」
わからない、どうにもこの少女には僕の常識は通じなさそうだ。
「千夏も早いとこここの世界に慣れて置いたほうがいいわ」
慣れておけって言われてもな……。
「んー、そうね……まずは適当な町にでも降りてみましょう」
そう言うと少女は進んでいくものすごい速さで飛んでいく。……僕を置いて。
「って!これどうやって動くんだよ!」
てっきり僕を浮かせたんだから一緒に連れていってくれるのかと思ってたのに!
すぐに戻って来るのかとも思ったけど、一向に少女は戻って来ない。
「……どうすんだよ、これ」
いきなり、ふっと何かの力が抜けるような感覚がきた。
そして、続いて、落下が始まった。
「また落ちるのかよ!」
僕は後何回落ちるのだろうか。
と言うか、後とかあるんだろうか。
「えっと、浮けって思ったら浮いたんだけっけ?」
浮け!
……あれ?
落下は止まらない。
「浮けぇー!」
今度は声に出して叫んでみたけど、やっぱり止まらない。どうしたらいいんだよ!
下を見ると緑色の山々、湖、近くには小さな町まで見えた。めっちゃいい景色だけど!落ちてるから!
…だめだ、何もできない。
「え、これってあれだ!詰んだってやつ!」
地面がどんどんと近づいて来る。
そして
よ、良かった……。
「え、でもその、肉体と精神体を分けることなんかできるのか?」
「普通の世界では出来ないけど、ここの狭間の世界では出来ちゃうのよ、凄いでしょ?」
そう少女は無い胸を張りながら自慢げに話す。
「んで、精神体だけになっちゃうと、普段は肉体に守られてるのがなくなっちゃうわけよ」
「その、精神体だけになってる間はどうすればいいんだ?」
「気合いよ」
……は?
そんな精神論が通じる問題なのかっ!?
「え、そんなんで大丈夫なのか? なんかもっと、これを持っておけば大丈夫、みたいなものとかないの?」
「ない」
えぇ……。
「まぁ、今まで失敗した事なんか一回しかないし、大丈夫よ」
あるのかよっ!そこはあっても無いって言ってくれよ!
「さぁさぁ、話は終わり。そこのベッドに寝てちょうだい」
うーん、本当に大丈夫なんだろうか……。
僕はイスから立ち上がり、ベッドに向かう。
ベッドはふかふかで寝心地がいい。けど、緊張してるせいか全然リラックスできないのだけれど。
「準備はできたね、次に目覚める時はもう異世界よ」
そう少女は言うと、ポケットからラムネを取り出して、一つ、口に放り込んだ。
「さ、目を閉じて」
僕は言われた通り目を閉じた。
おでこに手の感触が来る。
「じゃ、またね」
あ、そうえばまだこの子の名前とか聞いてなかったな……。
全く、異世界とか急に言われた時は本当に頭の心配をしてしまったけれど、自分が行くことになるとはねぇ…。
だんだんと遠のいていく意識の中でそんなことを思っていた。
<名前を教えて下さい>
ん?名前?僕の名前は玖珂 千夏だ。
<はい、クガ チナツさんですね>
急に声が聞こえてきたと思ったら名前を聞かれた。
てかここどこだ?真っ暗で何も見えないし、夢か?
<夢でないですよ、チナツさん>
へ?夢じゃない?じゃあここって……。というか、どちら様でしょうか?
<私はこの世界の神様です。まだあなたは転生前の状態のようでしたから、連れてきたんですよ>
転生前?あぁ、そうか、僕は異世界に来たのか……。
<では、転生を始めますね……って!?困ります!やめっ…きゃっ!>
ん?どうしたんだろ……なんかあったのかな。
「よっと、無事に異世界に来られたようね、千夏」
ん?この声はさっきの少女か?
「じゃ、転生開始!」
その瞬間、視界がひらけた。
「お、なんだ?空?……ッて!?落ちてる!?」
人生二度目の落下だけど、やっぱり怖いもんは怖い。
「どうすんだよこれ!このままじゃ異世界に到着と同時に死ぬじゃん!」
「まぁ、そう慌てなさんな千夏」
後ろから声が聞こえた。と言うか上か?
少女だった。
「慌てなさんなって、このままじゃ地面と……」
「私を信じなさいよ、大丈夫なんだから」
そ、そうなのか、大丈夫なのか。
なんか、すごい速度で落ちてるはずなのに急に冷静になって来た。
急に体を持ち上げられるような感覚が来る。
おぉ、浮いてる……。
「ね、大丈夫でしょ?」
「凄いな、これどうやったんだ?」
「どうも何も、浮けって思ったら浮いたの」
わからない、どうにもこの少女には僕の常識は通じなさそうだ。
「千夏も早いとこここの世界に慣れて置いたほうがいいわ」
慣れておけって言われてもな……。
「んー、そうね……まずは適当な町にでも降りてみましょう」
そう言うと少女は進んでいくものすごい速さで飛んでいく。……僕を置いて。
「って!これどうやって動くんだよ!」
てっきり僕を浮かせたんだから一緒に連れていってくれるのかと思ってたのに!
すぐに戻って来るのかとも思ったけど、一向に少女は戻って来ない。
「……どうすんだよ、これ」
いきなり、ふっと何かの力が抜けるような感覚がきた。
そして、続いて、落下が始まった。
「また落ちるのかよ!」
僕は後何回落ちるのだろうか。
と言うか、後とかあるんだろうか。
「えっと、浮けって思ったら浮いたんだけっけ?」
浮け!
……あれ?
落下は止まらない。
「浮けぇー!」
今度は声に出して叫んでみたけど、やっぱり止まらない。どうしたらいいんだよ!
下を見ると緑色の山々、湖、近くには小さな町まで見えた。めっちゃいい景色だけど!落ちてるから!
…だめだ、何もできない。
「え、これってあれだ!詰んだってやつ!」
地面がどんどんと近づいて来る。
そして
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