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いずれ地に咲く

作者 ピヨピヨ

花の話 四話

私はご飯を食べた後、玄関のほうに行ってみた。
ご飯はおいしかった、なにせ最近食べ物にありつけていなかったから、目玉焼きは半熟で、トーストも少し焦げている位がおいしかったな。
結構あの人料理にこだわる人なんだろうなっていうのがわかった。
玄関には、私が持ってきたカゴがあって、中にはちゃんとお花があった、だけど水を与えてられてない花は、少ししおれているように見えた。
私が積んできた花は、道端に生えているような花しかないから、元からあまり売れなかったけど、それでもきれいな花ばかりを選んできたつもりだったから、少し悲しかった。
そういえば、この家は片付いててきれいだけど、光があまり差し込んでこないから、あまり花はないなぁ。
もう少し、明るくて、居心地の良いところに住めばいいのに。
 なんでカロンはこんなところで暮らしてるんだろう…。
私はふと玄関の棚の上を見やると、そこには回転式拳銃が無動作に置いてあった。
なんで拳銃があるんだろう。
そう思っていると、ガチャ、と扉が開いた。
カロンだ。

「なんだお前、まだいたのか。」

ひどい!と思ったけど、さっきお風呂に入らせてくれた事を思い出し、言葉を引っ込めた。

「な、何しに行ってたの…?」
「お前が帰れるように、目印を置いてきた。」
「そ、そうなの?」

意外だった、てっきり強引に追い出されるのかと思ったけど、そんな薄情な人ではないのか。
まぁ、追い出されても、道がわからないから、その時は泣きついて、なんとかするだけだけど。

「早く帰る準備をしろ、途中まで送ってやるから。」
「え…帰れないよ。」

私がそう言うと、カロンは怪訝そうな顔になった。

「なんでだ?」
「私、親に捨てられて、家がないの…だから。」
「だから?」

なんだろう、なんか威圧を感じる。

「な、なんでもします、ここに住んでも…」
「だめだ。」

ですよねー、いや、わかってました、はい。
それにしても早い返答で、もー、素晴らしい!
にしても早すぎるでしょ、もう少し考えてもよくないですか?

「で、でも、私これ以上一人で暮らしていくなんて、無理無理、絶対無理。」
「よくまぁ、そんな図々しい事言えるな?いいから早く帰っ…」

そう言い合いしていると、トントンと扉から音がした。
音に反応したカロンは、途端に静かになり扉の方に向き直った。思わず私まで黙ってしまう。
カロンはしばらく固まったように、動かなかったが、二回目のノックの音でやっと扉を開けた。 
開いた扉の先には、ひとりの長髪の金髪の女の人が遠慮がちに立っていた。

「あの、弔い人のカロンさんですか?」

私は我が目を疑った。
その人の背中には不思議な光沢を放つ、トンボのような羽が生えていたからだ。
カロンはそんな私を置いて、その女の人と喋り始める。

「ああ、俺がカロンだ。」
「私の名前はフリージア、エルフです、カロンさんにお会いしにここまで来ました。」

え、今この人、自分の事エルフって言わなかった?
ええ?この人あのエルフなの!?
呆気にとられている私は、まじまじと女の人、フリージアさんを見る、ちらっと目があって、しばし見つめあった後、ふんわりと微笑みかけられた。
あっ、この人いい人だわ。

「玄関でもなんだ、中で話せ。」

フリージアさんは、はいと優しい笑顔で答えた。


フリージアさんは、遠い北欧の方からはるばるやって来たらしい。
北欧といわれると、寒いところなのかなと思ったけど、そんなに雪も降ってないらしい。
ちなみにエルフというのは、もちろん妖精の仲間だけど、エルフは北ヨーロッパ、北欧地帯にいる妖精らしい。
らしいでまとめてしまったけど、私だって行ったことないし、行ける機会もないと思う。
行ってみたいなぁ…。

「私の恋人は、三年前から不治の病に侵されていました。」

フリージアさんは明るい色の瞳を伏せながら、ポツポツ話し始めた。

「今まで各地のお医者様にかかりましたが、治す方法はもうない、このままだんだんと弱り、最後には苦しみ続けるだろうと言われました…。」

フリージアさんは、うなだれて話していました。

「ねぇ、カロン…妖精って死んだらどうなるの?」

私はカロンにこっそり聞くと、カロンは

「妖精は死なない。」

と言い、そして黙ってろと言われて、仕方なく黙っていた。

「そして彼の病気も日に日に悪くなり、とうとう食べること、寝ることも出来ない体になってしまいました…だから…。」

フリージアさんはゆっくり顔を上げ、まっすぐにカロンを見据えた。
カロンは
なぜか、少し目線を下を向けた。

「弔ってもらいたいんだな」

フリージアさんは黙って頷いた。

「わかった、今すぐ行こう。」

カロンはそう言うと、立ち上がり、コートを取りに行った。
あまりに突然居なくなってしまったので、私はフリージアさんと二人きりになってしまった。
黙ってろと言われたので、黙っていたら、フリージアさんが、口を開いた。

「あなた、人間よね…あの人と暮らしているの?」
「えっと…できれば、そうしたいんですよね…あはは…。」
「じゃあ、付き合ってるの?」
「それは死んでもありえません。」

むしろ年的に、それは無理があると思う。
キリッと答えると、フリージアさんはあはは、とおかしそうに笑った。

「フリージアさんが住んでいる北欧は、どんなところですか?」
「綺麗なところよ、静かで、おっとりして、お祭りや伝統を守るいいところ、あと、優しい人がたくさんいるわ。」

綺麗なところかぁ、
どんなところだろう?

「いいなぁ、私も行きたいなぁ…。」
「そう?じゃあ一緒に行く?」

フリージアさんは私がなんとなく言った言葉に、言葉を返した。
え?
いいの…?
私は驚いた顔で、フリージアさんを見た。
相変わらず優しい笑顔だ。

「え、いいんですか?」
「よくないだろう。」

突然背後から声が聞こえ、振り返るとフードを被ったカロンが、こちらを睨みつけていた。

「仕事の邪魔になる、あと早く帰れ、はっきり言って迷惑だ。」

さすがにカチンときて、

「さっきから言ってる仕事って一体なんなの?いいじゃん、いいって言ってるんだし、仕事の邪魔しないし、むしろ手伝うよ。」

と強気に言い返した。
フリージアさんも

「彼はとても子供が好きなんです、仕事のことなら、こちらから説明しておきます、連れて行ってもいいでしょう?」

と補助してくれてた、しかしカロンはまだ納得がいかないようだ。
たしかにカロンからしたら、やっと帰ってくれると思っていた奴が、無関係な自分の仕事とかに入ってきたら、誰だって嫌だろうけど。
しかし私だって、このまま帰らさせられても、暮らしに困る訳で。
帰りが先延ばしになるなら、もしかしたら都合よく忘れてくれるかもしれない。
いや、それはないか…。

「なんで無関係な人間を連れて行かなきゃならない?それにこいつは俺の仕事を知らない、余計な事になる。」
「大丈夫です、人間は物事をよく理解する生き物です、私がよく説明しておきます。」

なんの話かわからないけど、フリージアさんがんばって!

「しかし…。」
「この感じを見るに、あなたは特に人間嫌いなわけじゃなさそうです、少しくらいいいでしょう?」
「…。」

カロンは必死に言い訳を考えているが、フリージアさんが華麗に論破していく、
すごい、フリージアさんの聖なるオーラが見えてきた。
長い論戦の末、最後にカロンが

「わかった、連れて行こう…。」

と渋々折れてくれた。
しかし、約束として、仕事の邪魔はしないこと、騒いだりしないこと、などが追加された。

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