悠遠なるギア
* 君を捉える
──俺の国が、消えた。
最も鮮明な記憶を辿ると、そうなる。
赤雷に似た精霊魔術、力無き国民の絹を裂かんがごときの悲鳴、崩壊しゆく建物──そして、象徴である城が陥落する光景。
──そして、彼女に出会った。
腰に届く左目を覆う黒髪と、金色の月のような瞳の、美しい顔立ちの少女。細い躰が纏う服はゴシックロリータを想像させるが、メイド服にも似ているような気もする。つまりは逆時代錯誤の服。
だけれど、それより衝撃的だったのは、彼女の美しさでも無く、時代にそぐわぬ服装でもなく、その彼女が発した──「キミは世界に囚われた。もう逃げられない。キミは世界のナイトだからね」などとほざく声だった。
──巫山戯るな。
俺が仕えたのは国のみで、断じて世界などではない。
と吐き捨てた。
すると彼女は悲しそうな顔をして、「そうね」、と言った。
最も鮮明な記憶を辿ると、そうなる。
赤雷に似た精霊魔術、力無き国民の絹を裂かんがごときの悲鳴、崩壊しゆく建物──そして、象徴である城が陥落する光景。
──そして、彼女に出会った。
腰に届く左目を覆う黒髪と、金色の月のような瞳の、美しい顔立ちの少女。細い躰が纏う服はゴシックロリータを想像させるが、メイド服にも似ているような気もする。つまりは逆時代錯誤の服。
だけれど、それより衝撃的だったのは、彼女の美しさでも無く、時代にそぐわぬ服装でもなく、その彼女が発した──「キミは世界に囚われた。もう逃げられない。キミは世界のナイトだからね」などとほざく声だった。
──巫山戯るな。
俺が仕えたのは国のみで、断じて世界などではない。
と吐き捨てた。
すると彼女は悲しそうな顔をして、「そうね」、と言った。
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