ジブリール
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連載中:3話

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ジブリール

  • あらすじ

      秋永葉月(あきながはづき)は、音を心底楽しんでピアノを弾く。
      目を閉じ、耳を澄まし、自分の鳴らす音と対話をするように。
      僅かに緩んだ口元は、流れる音の連なりをなぞり、身体は音に身を任せて動き、長く艶やかな髪を揺らす。
      
      その姿に憧れて近付き、行動を共にするようになった三宅素直(みやけもとなお)は、自身もそれなりに弾ける筈のピアノを、葉月と話した初日以降、しかし全く触っていなかった。
      葉月にはそれが、拒絶している風には見えなかったが、善意から敢えて追及はしていなかった。
     
      そんな折、葉月がふと発した一言。
     
     『久しぶりに、君にも弾いてもらおうかな』
     
      ただ純粋に、素直の奏でる音色が好きだから口を突いた言葉。
      しかしその日も、素直はピアノの前には座らなかった。
     

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