異世界に転生したのは、もはや必然と言うべき

夜神 夏輝

第1話 生け贄

       死んだと思った。
いや、実際死んだんだが………。
俺は今、何故か耳のとがった女に抱きつかれていた。

………何なんだここは。
というか誰なんだこの女は!!

「おい、誰だお前。くっつくな!」

ベタベタと抱きつきながら話しかけてくる女を引き剥がし、前に正座させる。

「で?お前誰なんだよ。てか、ここどこだよ」

目の前の女は少しの間、ポカーンとした後ニコッと人懐っこい笑みを浮かべ言った。

「はい、ここは異世界です」

「………そうか」

「「……………………」」

「え、………。それだけですか?」

「あぁ。もう1つ、お前は誰だ」

「そういう事じゃないんですけど……。」

何が不満なのか、女は何かブツブツ言っている。
「ここが異世界だ」と言われたら、あぁ、そうなのかと思うしかないだろ。
もちろん俺自身気にならないわけじゃない。
だが、何よりこの女の姿が日本では無いことを物語っている。

人間離れした整った顔に、とがった耳。やけに布の面積が少ない服。白い肌に、鮮やかな青い瞳、透き通った金髪。

現実では考えられないような女だ。逆に普通の日本人だと言われた方が驚く。

………しかしこの女、こんなに露出の多い服を着てる割には胸がないな。

「ちょっと、どこ見てるんですか!」

どうやら俺の視線に気がついたのか女は顔を赤くしながら、自分の胸の辺りを腕で隠した。

「勘違いするな。お前のその貧相な胸に興味はない。 それより早く教えろ」           

「な、失礼な方ですね…」

「………………」

「わ、分かりましたよ。」

女は咳払いをし姿勢を正す。

「私は、エルナー・リズ・シフォンと申します。
    ヴィルクス王国の生贄をしております。」

「生贄……」

「はい!」

   やけに明るくハキハキとした女。とても生け贄には見えない。ここにいる理由も分からない。

「それで、生贄が何の用だ。なぜ俺はここにいる。」

「……冷たいですね。私は貴方様にこの国を救って頂くために生け贄になりました。」

「俺がお前の国を救う?   馬鹿を言うな。   俺にそんな力があるわけないだろ?
    大体、異世界の人間なら特殊能力とかあるんじゃないの?俺よりよっぽど強いと思うけど。」

  アホらしい。なんの力も持たない俺が、国を救うなんて。

だが、女はうっすらと笑うと断言した。

「いいえ。貴方だがらできるのです。」

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