嘘は異世界を救うのか、滅ぼすのか

ノベルバユーザー183896

第31話 嘘は蠱毒より選ばれし者に告げる④

俺達は柔術戦闘訓練部に来ている。
この学校はやたらと広かった。辿り着くのに20分は掛かった。アカシのやつどんだけ金持ってやがんだよ。


「安藤とはお前のことか?」


「....。」


凄まじい集中力と捉えればいいのか、座禅を組んでピクリとも動かん。おそらく声すらも聞こえない境地までいってやがる。おそらく攻撃でもすれば反射神経で避けるんだろうが。それじゃつまらんな


「おいユイ悪いんだがユイの下着とカメラを貸してくれ。」
「シンドウさん!..そんな要求なさらずとも、いつでもは無理ですが脱いでもいいですよ。その..そんなに私を見たいなら...。」


「...ユイの全てを見たいとは俺いつでも思ってる。だが今回は違うから。別のことで利用するから。」


ヤマタケは思う。またロクでもないことが起こるんだと。遠い目をしながら。


「分かりました。その恥ずかしいんですからね。責任は取ってくださいよ。」
「あぁ。ユイのことは俺が幸せにするから問題ない。助かるよ。」


ヤマタケは思う。セリフだけ聞くとカッコイイんだが残念でしかないと。


「よし!食らいやがれ!」


シンドウさんは至近距離から石を投げた。それに凄まじい速度で反応し石を捉える安藤さん。
そしてシンドウさんは魔術を使い石とパンツやブラジャーを入れ替えた。そして


「カシャっカシャっ。いいポーズだよ安藤く~ん。なんか透かしたイケメンがいるからさ~。こういうスキャンダルはいいネタになりそうだぜ!ひゃっふぉーい!」


シンドウさんは両手にパンツとブラを握りしめた安藤をカメラで撮る。そして安藤さんは青筋を浮かばせながら下着を投げ捨てる。


「あぁ~私の下着が~まだ昨日の着替えから洗ってないのに~!」
「おい!ユイなんてもん渡しやがんだ!こそ許さんぞ!安藤!俺のユイの生下着をよくも汚してくれながったな!ぶっ殺す!」


逆恨み!逆切れにも程がありすぎるよ!安藤さん何も悪くないからね。


「何者だ貴様。...いや関係ないな。配下に示しがつかなくなるのでな。恨むならお前の愚かな行動を...」


「すみませんっした!俺達もこんなことしたくなかったんすよ!俺達の親分であるこのヤマタケさんには逆らえなかったんすよ~。そうですよね。..そうだと言え」


この人ホント悪魔だろ人間のすることじゃねーよ!よくこんな非道思いつくな!


「..キィ...あ、あ-そうですよ僕が命令したことですよ。」


制約の力!あの村だけのはずじゃないのか!


「さすが親分!やっちゃってくださいよ!...戦え。」


嘘でしょ勝てるわけないじゃん!この前のユイさんとの任務も何度死にかけたことか!


「ほう。お前が最初の相手ということでいいんだな。俺の柔術は生易しくはないから覚悟しろ!」


早い!一瞬で間合いに入られた。捕まれる前に咄嗟に後ろに飛んだ。危ない危ない掴まれたら一貫の終わりだと僕は直感していた。


「やるな。初見で逃げられるとは思わなかったぞ。だが俺の柔術はまだこれからだ。」


さらに早く鋭く相手の姿勢を崩すべく翻弄させていく。それを紙一重でひたすらヤマタケは避け続ける。
ヤマタケのステータスは急上昇してやがんな。ククッユイめどんだけ戦わせたことやら。
以前ヤマタケに与えた任務であるゴブリン共から情報を聞き出すことと追い払うこと。これらを死なずにこなしたのなら戦闘力が上がっているのは当然である。ユイが回復させ続けているんだから、心が折れぬ限り永遠と戦える。これ以上効率的なことがあるだろうかよ!本人は相当摩耗するがな。





10分後
戦闘に決着は着いた


「おいヤマタケ、何負けてやがる。ホント使えねーなお前はよぉ~。なんで攻撃しないんだよ舐めてんのかよ。」


安藤は疲弊しながらも仁王立ちしこちらを睨んでくる。


「シンドウさん見てたんでしょ。そんな隙ありませんでしたって。勘弁してくださいよ。」


はぁ~こいつホント分かってねぇ~な。俺がヒントはやったのによ。


「安藤来いよ相手してやる。遠慮せず全力で来い一撃終わるからな。」
「舐めた口を叩いてるのはお前のようだな。全力を尽くした者にかける言葉も耐え難いな貴様は!」


安藤は疲労など嘘のようにまた凄まじい速さで突っこんで来るように見える。悪いが俺にはスローとまでは言わんが遅いな。掴みに対して横に避け、左でアッパーを顔面に当てようと試みる。咄嗟に両手でアッパーを安藤は防ぐが遠くに吹っ飛ばされる。俺が2撃目として右ストレート少ししゃがみ安藤の腹にぶつけた。


「わかったかヤマタケ、攻撃しないと倒せんだろうが。」
「いやいやシンドウさんが強すぎるようにしか見えませんでしたよ。」


だめだこいつ戦闘センスが全くないな。気づくことがないのか。


「ヤマタケ、隙がないなら作るんだよ。馬鹿かお前はよぉ!避けてるだけで隙が生まれるようなやつがあのクラスにいるわけないだろ。フェイントを使え。それくらい誰だって思いつくだろうが!」


俺は初め石を投げ、下着にすり替えて見せた。下着を投げつけても安藤は掴んだりはしなかっただろう。
そういう何かフェイントを使って攻撃のチャンスを作れと気づかせるためにやったのに無駄になったじゃねーか。


「..そうですね。戦闘経験が少ないからと言い訳はしません。確かにフェイントを入れる機会はあったと思いました。...その安藤さん死んでませんよね?あんな吹っ飛び方する人間の姿初めて見ましたよ。」


「ユイの生下着掴んだんだから処刑確定だろ。殺す気でやったに決まってんだろ!」
「やめてくださいよシンドウさん!恥ずかしいので生々しい表現へ止めてください!殺すなら私がやりますから!」


ユイさんツッコムとこはそこなの!いや物騒だからやめてあげて!と内心叫んでいる。


「ユイさんお願いします。安藤さんを治してあげてください。このままだとホントに死にかねないよ!」


「まぁそうだな。登校初日で人殺し扱いは流石にいやだな。ユイ直してやってくれ。嫌そうな顔しない。..かわいい顔が台無しだからダメだぞ。」
「...はい!分かりました。仕方ないですね~シンドウさんは。」


「...はぁ~。このバカップルを僕はずっと見続けなければならないのか。..詩歌元気にしてるかな...」


ヤマタケは遠くを見つめながら口ずさむのだった。

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