嘘は異世界を救うのか、滅ぼすのか

ノベルバユーザー183896

第22話 嘘は婚約者に恋の色を報せる④

詩歌は礼拝堂に無事たどり着いた。


先ほどのお兄ちゃんにはお礼を言ったら「友達と仲直りできるといいねと」言われて別れた。
私の良いお兄ちゃんセンサーは活躍するもんだね。


「礼拝堂にはた辿り着いたけど、次は花嫁よね。」


私は礼拝堂前にある掲示板を覗いた。来月に開催!最強の男 剣山 狼郎と帝国機関 の花形 赤神 貴音さん のご結婚です。これはとんだサプライズだ!


と書いてあった。はぁ〜。もっと苦労するものだと思ってましたが肩すかしを食らった気分ですね。詳細はわからないので調べるのですけど。


「礼拝堂に何か御用かしら?あなたもこの結婚式に興味があるの?」


礼拝堂の人かな。シスターの様な格好してるから。私が掲示板の前で佇んでいると話しかけてくれた。


「はい!やっぱりあの赤神 貴音様のご結婚ですからね!1ファンとして応援は欠かしませんよ私!少し寂しさも感じのですけどね…」


「そうよね。赤神さんはとても有名で、その武勇は女性から誰でも憧れてしまうわね。」


なるほどね。ご大層に名前を飾るだけあって有名な人であり、武勇に優れているということは強さも兼ね備えていると。


「そうなんですよね!シスターさんは赤神さんに関して詳しいんですか!私片田舎から最近引越して来たばかりで噂しか知らないです。ぜひ聞きたいです。」


私は純真無垢に満面の笑みを浮かべ回答を促す。


「そうなの?ではどこから話しましょうかね。礼拝堂での祝福ごとですからね。今仕事中なんだけど、これも仕事の一環よね。」


シスターは気前よく忙しかったのかもしれないが、こちらの頼みを聞いてくれた。このお姉ちゃんもいい人だね。帝都は闇が深いぞ〜ってシンドウさん言ってたけど本当なのかな?





1時間程シスターとの会話を行った。


そしてシスターは神父に怒られ連れて行かれてしまった。事情を説明してたが、許しては貰えなかったようだ。「お嬢ちゃんすまんね。人手が今足りてないんじゃよ。また今度遊びに来てくれたら。お話は聞くからのぜひまた来ておくれ。」と言っていたので悪い人ではなさそうですね。


詩歌は今、ノートとペンを購入し近くの喫茶店で話をまとめていた。


赤神 貴音さん
・強さは一騎当千で魔術士としても一流
・卒業後、帝国機関に入隊し、わずか3年で幹部となる。
・学生時代には無敗の伝説を叩き上げる。その実績のためか入隊前からすでに帝国機関での席は約束されていたと思われている。
・性格は度がつくほど真面目な性格であり、間違いを正すためなら、どんな戦いにでも赴く果敢さ、勇気がある。


うわ〜こんな人本当に世の中にいるんだ。最近めちゃくちゃな人達を見てきたので納得してしまう自分が憎いよ。シンドウさん諦めましょうよ。正直この結婚、はたから見ればお互い分かり合えた者どうしが決闘の末、気持ちが通じ合う的なやつですよきっと。


これ以上情報を集めるには集めるが良い評判をただただ聞くだけのような気がする。こういうのをシンドウさんは求めてるのでないと自分は感だが思う。


「4日後か…赤神さんに会えるとしたら…」


あのシスターが4日後に式場確認のため来るらしい。そのため、なんとかして接触を試みたい。危険な気がするけどやるしかないか!





その後詩歌は行動し、剣山、赤神、帝国機関、礼拝堂を調べあげられる限り調べ赤神が来るのを待った。





4日後


「うわ〜人が多いな。想定はしてたけどこれは話す機会が持てるのか不安になった。」


そこには部下を伴って現れた赤神と、ファンの子達?が集まっていた。はぁ〜仕方ないよね。シンドウさんは尻拭いならしてやるって言ってたんだから。恨まないでくださいよ。


私は頑張って人垣を分け赤神さんが見える位置まで行く。なんとかここなら声が届くはず。


「皆さん!私の結婚式をすることを知って来てくれたのだな。私は幸せ者だなありがとう。」


赤神さんはファンサービスなのかというくらいにこやかに話しかけてくる。赤神さんが話しことで少し喧騒が止んだ、今しかない!


「乱咲 擾はここにいるぞぉぉ!!5番街の大きな時計台にぃぃ!」


私はシンドウさんが教えてくれた過去の名前に関して聞いていた。そしてケンジさんの乱咲さんへの執着ぶりはあの事件から想像がつく。ならばケンジさんは乱咲さんのことを赤神さんに話した可能性は高いはず。


「ごめんなさい!間違えました。失礼します!」


周りからなんなの?みたいな顔されたが仕方がない。もうこれしか思いつかなかったから。そして脱兎の如く逃げる。


「ハハぁっ。あのような小さな女の子まで来てくれているとは嬉しいね。皆もこれから私達のこと見守っていてくれ。」


赤神さんは手を挙げ。アピールをする。今のはなんだったのか関係ないかのように、盛り上がりを見せていた。


「はぁ〜これで引っかかってくれなきゃ。もう仕方ないよね。シンドウさんの武勇伝に賭けますからね!」


詩歌はとりあえず5番街の時計台を目指す。あそこの建物の展望台なら静かに話ができるはずだ。





約5時間後


「待たせてしまって悪かったね。小さな勇気あるお嬢さん。名前を聞いてもいいかな。」


予定通り赤神さんは現れてくれた。乱咲さんは結構有名なのかなと思うようになった。


「私はミッシーです。乱咲 擾の名前を知ってると言うことでいいんですよね?」


確認のため聞いておく。違ったら何か別の要因で来た可能性もあるからね。


「ミッシーか。乱咲が味方には渾名を付けることを聞いてるよ。これで回答になるかな?」


「そうですね。まだグレーっぽいんですが、来てくれただけでも感謝してるのでOKにします。」


そんな回答をするんだ、まずシンドウさんのこと知らないと出ないはず。


「その度々の質問になってしまうんですけど、どうして来てくれたんですか?」


「そうね。この場に乱咲さんがいないのが心惜しい所なんだけど、会ってみたくてね。あの狼郎さんに勝った唯一の人だと聞いてたからね。嬉しそうに話してたわよ、あいつは俺のライバルだってね。」


…えっ?ちょっとシンドウさん初耳ですよ?マジなんですか?やっぱり強いんじゃないですか!


「赤神さんには申し訳ないのですが、見ての通り乱咲さんはいません。ですがどうしても話したかったんです。聞いてくれますか?」


だめだこの人の前だともう変な勘ぐりは意味をなさないんじゃないかと思えて来る。素直に話そうとそう思った。


「忙しい身ではあるのだけど。いいわ。あなたの話も聞いてみたいからね。」


そう笑ながら赤神さんは話しかけて来る。やばいお姉ちゃんになって貰いたいよくが半端ないよ。


こうして詩歌と赤神のガールズトークは始まる。

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