のっとぱーふぇくと!!〜異世界転生の特典は呪いでした〜
一章 七話 真実
罪悪感などは、なかった。自分が何をしたのか、わからなかったのだと思う。目の前の凄惨な光景を、自分がやったのだと悟るのには、十数秒かかったであろう。
「やりすぎだよなぁ。さすがにこれは。」
そう呟いて後ろを振り返り、3人と顔を合わせた。驚きと少しの恐怖を滲ませていた。隠そうとしていたのかもしれないが、隠しきれていなかった。
「シオンさん。今の、超上位魔法の『核融合魔法』ですか?ちょっと、やりすぎじゃないですか。」
アストレアが物騒な魔法の話をするが、そんな魔法、使っていない。
「あれはただの魔弾だ。俺の魔力を半分くらい込めて打っただけなんだが…。すまない、こんなことになるとは、思っていなかった。」
その言葉を聞いて、更に三人の顔が、驚きに染まった。実際、あれだけいた兵士達の八割がたが、跡形もなくなり、後に残ったのは大きめのクレーターのみ。使用回数無限の魔法にしては威力がヤバすぎる。
「大賢者さんの魔力は異常だ。凡人の数千、いや、数万倍はあるかもしれない。まるで人間兵器だよ。」
「シオンさんは異常ですね。私、とてつもない人に魔法を教えてしまったんじゃ…。怖くなってきました。」
「リィはシオンがすごいの知ってたけど、ここまでだとは思わなかったー!シオン、リィより強くなれるよ!」
言いたいことは山ほどあるのだが、三人ともの感想を受け止めて、反論や意見はしなかった。
最前線で戦う敵兵たちの士気は、ダダ下がりだった。そりゃそうだ。あんなの見せられたら、誰でも軽くちびるだろう。それから少し数を減らし、残り七千人近くになったところで、退いていった。国境防衛戦は、たった1人の賢者のおかげで、大勝利と言っていいほどの戦果を収めたのである。
味方軍が歓喜の声を上げる中、俺は罪悪感に苛まれていた。あれほどの人間を殺してしまったのだ、という後悔が今後一生残るだろう。そんな中、兵士がこちらへ向かってきた。
「ユリス団長!敵軍の大将を捕らえております。ここへ連れて参りますか?」
「連れてきてくれ。話を聞かせてもらおう。」
と、ユリスさんが言うと、急いでその、敵軍の大将らしき人を連れてきた。女の人で、彼女の両腕は後ろできつく、縛られていた。
「名を言うがいい。私はユリス。リズアリア公国騎士団長だ。」
「…クネヴィア王国軍大将。ミランだ。」
「率直に聞こう。この度はなぜ、これほど急に攻撃を仕掛けてきたのだ。我が国が特に何かした、というわけではなかろう。」
女はためらった。だが、少し間を開けて、口を開いた。
「貴国に一週前程度に、魔王が現れたと、我々の信仰する『女神ヘスティア』様からのお告げがあったのだ。だが、魔王の正確な足取りは掴めなかったらしく、リズアリア公国が、洗脳を食らっているか、魔王に共謀しているに違いないと貴族の奴らが踏んだので、貴国に攻め込み、皆殺しにするという結論となったらしい。」
「なんだそれは…。非道すぎる。」
ユリスさんの顔が曇る。そして、ミランが続けて言う。
「私も本意ではなかった。と言うより、我ら王国軍はリズアリア公国への攻撃は反対していたのだ。戦おうなどと言う奴など、最初は、我が軍には1人もいなかった。そのはずなのに…。王だってそうだった。あれだけ最初は必死になって貴族たちに反対していたのに…。」
堪えていた何かが爆発したのだろう。無表情を保っていたその顔が何かの拍子で歪み、大きく透き通る様な瞳から、ぼろぼろと涙が溢れた。彼女の顔は、涙や鼻水でぐちゃぐちゃになった。先程までの表情が嘘のようだった。気まずさもあり、彼女が泣いている間には、誰も、一言も喋らなかった。
「もういいか?…さっきの、ミラン殿が言った『最初は』、とはどういうことなんだ?」
「申し訳ない。見苦しいところをお見せしてしまって。言った通り、最初は王も反対していたのだが、2日ほど前に、人が変わったかの様な鬼の形相で、リズアリア公国に攻め込むことを決意なされた。それと同じタイミングで、王国の兵のほとんどが、憎悪と憤慨が溢れて出てくるかのような顔をしだした。その影響なのか、士気も異常に上がったのだ。」
「やはり精神魔法か何かか…。でも一体誰が?それほどの魔力を保有している人間など…いや大賢者さんを疑っているわけではないからな!」
ユリスさんがこちらを見て、何やら失礼なことを考えたようだ。わかりやすい人だ。やっぱ俺の魔力量って異常なのか…。
「別に怒ってませんよ。じゃあ、誰かこの戦争を裏で操っている、黒幕がいるということなんですか?」
その刹那に、何か嫌な予感がした。つい最近に一度体験したような、気付いた時にはもう遅い、あの感覚。恐怖に襲われ、足がすくむ。脳が危険信号を出している。それがわかった。
「うん、それ、僕だよ。」
はっきり聞こえた。だが、よく見えなかった。いや、多分、認めたくなかったのだろう。だから、あえて見ようとしなかった。
…アストレアが、ユリスさんとミランさんの胸を両の腕で貫いたのを。
アイデアがとても湧いてくるのですが、どれがいいか悩んじゃいます。温かい目で見てください。
批評でも、コメントくれればありがたいどす。
「やりすぎだよなぁ。さすがにこれは。」
そう呟いて後ろを振り返り、3人と顔を合わせた。驚きと少しの恐怖を滲ませていた。隠そうとしていたのかもしれないが、隠しきれていなかった。
「シオンさん。今の、超上位魔法の『核融合魔法』ですか?ちょっと、やりすぎじゃないですか。」
アストレアが物騒な魔法の話をするが、そんな魔法、使っていない。
「あれはただの魔弾だ。俺の魔力を半分くらい込めて打っただけなんだが…。すまない、こんなことになるとは、思っていなかった。」
その言葉を聞いて、更に三人の顔が、驚きに染まった。実際、あれだけいた兵士達の八割がたが、跡形もなくなり、後に残ったのは大きめのクレーターのみ。使用回数無限の魔法にしては威力がヤバすぎる。
「大賢者さんの魔力は異常だ。凡人の数千、いや、数万倍はあるかもしれない。まるで人間兵器だよ。」
「シオンさんは異常ですね。私、とてつもない人に魔法を教えてしまったんじゃ…。怖くなってきました。」
「リィはシオンがすごいの知ってたけど、ここまでだとは思わなかったー!シオン、リィより強くなれるよ!」
言いたいことは山ほどあるのだが、三人ともの感想を受け止めて、反論や意見はしなかった。
最前線で戦う敵兵たちの士気は、ダダ下がりだった。そりゃそうだ。あんなの見せられたら、誰でも軽くちびるだろう。それから少し数を減らし、残り七千人近くになったところで、退いていった。国境防衛戦は、たった1人の賢者のおかげで、大勝利と言っていいほどの戦果を収めたのである。
味方軍が歓喜の声を上げる中、俺は罪悪感に苛まれていた。あれほどの人間を殺してしまったのだ、という後悔が今後一生残るだろう。そんな中、兵士がこちらへ向かってきた。
「ユリス団長!敵軍の大将を捕らえております。ここへ連れて参りますか?」
「連れてきてくれ。話を聞かせてもらおう。」
と、ユリスさんが言うと、急いでその、敵軍の大将らしき人を連れてきた。女の人で、彼女の両腕は後ろできつく、縛られていた。
「名を言うがいい。私はユリス。リズアリア公国騎士団長だ。」
「…クネヴィア王国軍大将。ミランだ。」
「率直に聞こう。この度はなぜ、これほど急に攻撃を仕掛けてきたのだ。我が国が特に何かした、というわけではなかろう。」
女はためらった。だが、少し間を開けて、口を開いた。
「貴国に一週前程度に、魔王が現れたと、我々の信仰する『女神ヘスティア』様からのお告げがあったのだ。だが、魔王の正確な足取りは掴めなかったらしく、リズアリア公国が、洗脳を食らっているか、魔王に共謀しているに違いないと貴族の奴らが踏んだので、貴国に攻め込み、皆殺しにするという結論となったらしい。」
「なんだそれは…。非道すぎる。」
ユリスさんの顔が曇る。そして、ミランが続けて言う。
「私も本意ではなかった。と言うより、我ら王国軍はリズアリア公国への攻撃は反対していたのだ。戦おうなどと言う奴など、最初は、我が軍には1人もいなかった。そのはずなのに…。王だってそうだった。あれだけ最初は必死になって貴族たちに反対していたのに…。」
堪えていた何かが爆発したのだろう。無表情を保っていたその顔が何かの拍子で歪み、大きく透き通る様な瞳から、ぼろぼろと涙が溢れた。彼女の顔は、涙や鼻水でぐちゃぐちゃになった。先程までの表情が嘘のようだった。気まずさもあり、彼女が泣いている間には、誰も、一言も喋らなかった。
「もういいか?…さっきの、ミラン殿が言った『最初は』、とはどういうことなんだ?」
「申し訳ない。見苦しいところをお見せしてしまって。言った通り、最初は王も反対していたのだが、2日ほど前に、人が変わったかの様な鬼の形相で、リズアリア公国に攻め込むことを決意なされた。それと同じタイミングで、王国の兵のほとんどが、憎悪と憤慨が溢れて出てくるかのような顔をしだした。その影響なのか、士気も異常に上がったのだ。」
「やはり精神魔法か何かか…。でも一体誰が?それほどの魔力を保有している人間など…いや大賢者さんを疑っているわけではないからな!」
ユリスさんがこちらを見て、何やら失礼なことを考えたようだ。わかりやすい人だ。やっぱ俺の魔力量って異常なのか…。
「別に怒ってませんよ。じゃあ、誰かこの戦争を裏で操っている、黒幕がいるということなんですか?」
その刹那に、何か嫌な予感がした。つい最近に一度体験したような、気付いた時にはもう遅い、あの感覚。恐怖に襲われ、足がすくむ。脳が危険信号を出している。それがわかった。
「うん、それ、僕だよ。」
はっきり聞こえた。だが、よく見えなかった。いや、多分、認めたくなかったのだろう。だから、あえて見ようとしなかった。
…アストレアが、ユリスさんとミランさんの胸を両の腕で貫いたのを。
アイデアがとても湧いてくるのですが、どれがいいか悩んじゃいます。温かい目で見てください。
批評でも、コメントくれればありがたいどす。
コメント
海月13
話がテンポよく進んでいいです!とても面白い!一体この後どうなるんですか!?更新頑張ってください!
天宵 魁
続き楽しみにしてます