のっとぱーふぇくと!!〜異世界転生の特典は呪いでした〜

琉凛猿

一章 五話 家族

そういえば、俺は重要視していなかったのだが、重大な問題が残されていた。アストレアにリィをどう説明するか、と言うことだ。これほどのロリ美少女を夜中に連れ込んだと悟られれば、勘違いされるに違いない。
だからといって、嘘はつきたくない。なので素直に、

「知り合いの老人が孫を預けてきたんだ。この子も一緒に住まわせてくれないか。」

と翌朝頼んだ。アストレアは一瞬、疑うような目でこちらを見て、

「なぜ、夜中に預けになんてきたのですか?」

と言うので、焦りを顔に出さずに、

「多分、何か切羽詰まってたんだろう。」

と、抽象的な言い訳をした。アストレアは深くは追求してこなかったが、納得してくれたらしい。

「よろしく!私、リィ!お爺様からシオンを頼まれたの!」

おい!誤解されるような発言をするな!

「シオンさん〜?」

アストレアが頬を膨らませている。かわいい。

「誤解だよ誤解!そんな事より、早く魔法の勉強したいな。」

「まずは朝ごはんからですよ。それからビシバシいきますので、覚悟しておいてくださいよ〜。」

そして、念願の魔法教育が始まった。アストレアは教え方が上手い方で、自分で言うのもなんだが、俺も比較的物覚えが良い方なので、目に魔力を集中させる、と言うことは、簡単にできた。日にちで言うと、実に3日くらいである。ちなみに、リィは魔導書を持っていないが、魔法を使えるらしい。

「魔道書は、ページが進むごとに、書かれている魔法の難易度や魔力の消費量が、高くなっていきます。
そして、魔導書の字は、所有者しか読めません。
だから、魔導書の盗難などの件数は少ないのです。ま、嫌がらせでそういうことをする輩もいますが。」

アストレアが教えてくれた魔導書についての主な知識は3つ。

1つ。魔導書は、所有者が死ぬと、勝手に消滅する。逆を言えば所有者が死なない限り、絶対に消えたり燃えたりはしない。

2つ。魔導書は所有者しか使えない。つまり他の人が見ても、俺の魔導書は俺にしか読めない。

3つ。魔法は使用回数に制限があるものがある。書に刻まれているので、確認することを怠らないようにすること。

ちなみに魔法の制限回数を越えて使用してしまうと、魔力が体の中で暴れ狂い、とてつもない痛みの末、絶命するらしい。怖い怖い。

せっかく字が読めるようになったので、使える魔法を見てみる。その数は、ざっと数千を越えていた。その中から、使えそうなものをピックアップして、使って見た。


魔弾
攻撃魔法。
火、風、水、光、闇の属性を付与することができる。込める魔力量によって大きさや威力が変わる。
使用可能回数     無限

身体強化
強化魔法。
魔力量によって効果が変動。一時的に身体能力をブーストする。
使用可能回数     無限

テレポート
移動魔法。
一回行ったことのある場所に瞬間的に移動できる。使う魔力量は一定。
使用可能回数     無限

飛行
移動魔法
魔力を使い飛ぶことができる。
使用可能回数     無限

「こんなところでいいか。」

そう言えば、ところどころやばそうなやつがあった。

変身
???
今まで見たものであれば何にでも変身できる。効果は24時間。魔力供給を切れば解除可能。
使用可能回数     1回

異空間作成・破壊魔法
???
異空間を作成、破壊できる。異空間の中では、時間の概念がない。老衰もしない。
使用可能回数     1回

重力操作魔法     
???
重力を操ることができる。魔力量により範囲を広げられる。
使用可能回数     1回

時間操作魔法
???
時間を操ることができる。魔力量により、遠くの年代、未来にでも、過去にでも、時間を操作できる。
使用可能回数     1回

神滅魔法
???
神殺しの力を得る。
使用可能回数     ?

最後のやつなんか特にやばい。極力使わないようにして、本当にピンチの時に使おう。

魔法の発動の仕方は至って簡単。頭の中で思い浮かべればいいだけだ。想像力豊かな俺は、習得するのもすぐだった。なんと、たった一週間で魔法が使えるようになったのである。アストレアが言っていたが、これは本当に珍しいことであるらしい。褒められた。素直に嬉しい。

「なあ、アストレア。この、重力操作魔法とか、時間操作魔法とかっていう、使用可能回数が1回のものって、結構レアなのか?」

「そんなものあるんですか!!??とりあえず可能回数が一回というのは、大事に使わねばなりませんね。というより、そんな恐ろしい魔法、極力使わないでください。」

念押しされた。

「わかった。気をつける。」

「もう、ほとんど教えることは何もないですね。なんか、寂しいです。」

しゅんとしている。すごく可愛いのだが、何か、フォローしてあげなければ。

「俺はこれからもずっと、アストレアに色々な事を教えてもらうつもりだぞ?あ、でも一応魔法を一通り教えてもらったし、この家は出ないといけないのか…。」

「わ、私は別にこのまま一緒にここにいても構わないですよ!!ていうかむしろそっちのほうが…。」

「アストレア…。」

「シオン!アストレア!私のこと、忘れてるでしょ。何2人でいいムードになってるの!」

リィがぷんすかしている。
心の中で、
「なんて幸せなんだろう。このままずっと、幸せでいられたらなぁ。」
と、フラグを立てた矢先、

「緊急警報!緊急警報!隣国のクネヴィア王国が5万の兵を率いてこちらに進行中。住民は避難を。兵士達は、城に集まれ!」

とても焦った女の子の声がする。それを聞いたアストレアの顔も青ざめる。

「ユリスお姉様…。一刻も早く城へ向かわなければ…。しかし、クネヴィア王国もなぜこのタイミングで…?」

アストレアはすぐに荷物をまとめ、脇目も振らず家を出ていった。去り際に、

「シオンさん。しばしのお別れになるかもしれません。生きてまた会えたら、色々な事を教えてあげます。どうか、この国を離れて。」

と、残していった。

「シオン!追いかけないの?」

リィに言われハッとする。そうだ。そ俺はもう、死なない。今更ビビって、女の子を置いて逃げるなんて、したくない。後悔なんて、もうしない。

「行くぞ、リィ。アストレアは、もう俺の家族同然なんだ。」

リィが笑顔をみせ、頷く。
不死身の転生者の、最初の戦いが始まる。








描くのが楽しいです。
実は、もう1つ描きたい物語があるので、合間合間に出そうと思います。

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