こんな俺でも恋をする

白葉南瓜

本当の決別へ

一人の少年が鮮やかな色に染まる空を眺めながら覚悟を決めていた。
同じ時に少年が眺めている同じ空を眺めて少女も覚悟を決めていた。
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鈴と戦うその夜が来た。
「少し気がのってないな主よ」
「そりゃな…色々と思い残すことはあるさ…」
その会話の後からクロユリは俺の心境や覚悟などを察したのか、喋りかけてこなくなった。
「安心しろ、何かあったら我がやってやる」
「心強いやw」

その後色々と準備をしてから家を出て行った。 
前、鈴と戦った時に横にいた男の人に鈴に伝言を頼んだから伝わっていれば此処に来るはず。
俺が今いる場所は、学校の校庭。
何故、校庭を選んだ理由は鈴と出会ってここで色々と学んだから。全てを終わらせるなら此処が良いと思ったから。
鈴が来るまでクロユリは何も喋らずに黙り込んでいた。

30分が経って、50メートル先ぐらいに一人だけで女の子の足音が聞こえた。
「来たか、鈴…」
「信…今日は煽らないんだね」
「元々は【鬼眼】使ってないといつも通りだからねー」
そんな事を何気なく話していたらやはりと言っていいほど、鈴の表情は暗くなっていた。
「信も、もう覚悟は出来てるだよね。此処に来たってことは[死ぬ覚悟が]」
「ああー、言われなくても出来てるよ…何人殺して来てると思ってるんだ?」
その一言は微笑みながら言った。殺意を込めて一言一言。
「さぁー、始めようか…殺し合いを」

その後は言わなくても分かる通り、戦いが始まった。
鈴はスサノウを使わずに身体強化だけでやっている。
俺も先に【鬼眼】を使って後々スサノウで押し負けたら嫌なので周波ブレードとハンドガン、神経強化で戦っている。
「あんなに殺気を込めて話していたのに、何で押し負けてるの?それでも男?」
そうだ、今は俺の方が武器などがあって有利なはずなのに押し負けている。

その戦況は30分続いた。
「ハァーハァー、マジかー」
俺は【鬼眼】無しの戦いは慣れていないので息切れが早くバテているが、鈴は少し息切れしているが俺程ではない。
「仕方ない、クロユリやるよ」
「合点承知!」
「我、黒の鬼の宿主になりてその力を貰い受ける。我の欲に答えよ…クロユリ」
その詠唱をした後に【鬼眼】を発動した。
この詠唱は【鬼眼】の発動のためのものだ。鬼眼は元々零の力だが、体が同じ俺も使えるが零みたいに楽には出来ず詠唱が必要だ。
「私もやるかな」
「主に従います」
「我、鬼の巫女になりて、スサノウの力を受け入れよう。我の名はスサノウの巫である」

その後は先程の戦いと違って両者拳で殴っていた。それでも押されていた。
その理由は簡単だ。鬼眼を使っているとは言え女の子を殴るには抵抗がある。前の戦いみたいにガタが外れれば遠慮なしに行けるのだがまだ刀を出していないので遠慮なしで殴って胸などに当たったらガタとかの話じゃなくて理性が飛んでまう。
「主どうした、心が揺らいで欲望が弱まってるぞ」
「あー、もう!」
俺は自分に活を入れるために平手で太ももを叩いた。鋭く痺れるような痛みがして来たが良い活になった。
それと同時にガタが外れた。
「な、何でいきなり」
俺はガタが外れた時にすぐ鈴の左腕の二の腕を掴んで俺の近くに寄せてから直ぐ地面に叩きつけるように背負い投げをした。
だが、鈴も巫女になっているので、直ぐに受け身をとって避けていた。
そんな事が繰り返しやっていた。
そんな時に起こった。
俺が回し蹴りをステップで避けた時に腰に周波ブレードがある事を思い出した。
その周波ブレードを抜くと同時に鈴が詠唱を始めた。
「その蕾を咲かせてみせよう、鈴蘭花。来て《スサノオ》」
これで、一応不利なのは俺になった。
だが…鈴がスサノオを振り上げたのを見て鈴の懐に入っていった。
その事を良いと思って鈴は俺を真っ二つに切るように勢いよく振り下ろして来た。
だが、これも作戦のうち。その振り下ろされたスサノオの持ち手の方に当ててその動きを止めた。
その時に鈴と目があったが殺意とほかになにかを考えている眼をしていた。
動きを止めた後にゆっくりとスサノオから周波ブレードを退けた。俺は二歩ほど引いたが追撃して来る気配はなかった。それもそうだ勢いよく振ったのに当てたのだから衝撃が両手に来て今は嘆くほど痛いはず。その隙に俺はたわわに実った、鈴のお胸を切らないように服とその下のブラだけを切った。
やはり、巫女になっていたとしても年頃の女の子には変わりはない。
スサノオを持っていた状態からすぐに胸を隠した。
これも作戦のうち。その落としたスサノオを拾ってバックステップで距離を開けた。
「主よ、何をする気だ?それを使うとなると主の体が持つかどうか…」
「良いんだよ。だって…鈴だって殺される覚悟をしてからここに来んだから」
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信にスサノオを拾われてからは一方的な戦いだった。
「その蕾を咲かせたまえ、百合の花。来い《ホムラ》」
その詠唱が終わると、鞘のまま私に攻撃をして来た。
私は武器もなく、胸元の服も破れていて色々とダメな状況だった。
「主、どうします?」
「一か八かやってみる…」
「何をごちゃごちゃ言ってるんだよ!」
信が《ホムラ》を振り上げて叩きつけようとした瞬間、タイミングよく詠唱をする。
「私の望みに答え力を貰う代わりに全てを捧げよう。【鬼紋】」
それは、鬼の巫女の力を強くするための詠唱。【鬼眼】と似ていが力の類は全く違う。
「主、鈴殿たちから直ぐさま離れろ」
クロユリが信に話しかけているのが聞こえたがその信の姿が白い粒子によって見えなくなっていた。
その白い粒子が消えて視界が戻って来た時に自分の服装を確認すると、椿さんたちが言っていたように振袖と甲冑を合わせた様な服装になっていた。
「スサノウ、これって…」
「はい、思ってる通り成功です。ですが、少し間違えれば前みたいになるのでお気をつけを」
信を見ると少し驚いた様な表情をしていた。
その油断を見逃さなかった。
直ぐさま飛躍して信の顔面目指して拳を放った。その拳は命中して信は3メートル程後ろへ飛んで行った。
「信、大人しくここでやられて」
私はまた格闘の構えをとったが、信は顔を抑えて笑っていた。その姿は一度見覚えがある。嫌な気がする。
「大人しく殺されるのはお前だ!」
スサノオを鞘から抜いて自分の腹部へ刺した。スサノウから聞いた話じゃ、《スサノオ》や《ホムラ》の鞘の意味は刀身にある力を抑えるものだと言っていた。
信はその力がある刀身を刺した事によって白い粒子が信の身体の中に入っていた。
「うっ。くぁ」
その苦しんでいる声などを聞いて。助けに行こうと思ったがこれで不意打ちを食らった元もこもない。
だが、苦しんで声はその後、直ぐ止んだ。
信の周りにあった白い粒子の中から見した姿は、右腕だけ白い振袖で後は黒い甲冑だった。顔には鬼の口の様な鋭い歯が見えるマスクの様なものをしていた。
信は首を鳴らしたり肩を回したりしていた。その時に力が抜けて片足だけ膝をついた。
「な、何これ。なんで…」
「あははは。人間ってやっぱり面白いですね。スサノウの力の3割を貰い受けて、主は耐えられなくなった」
「その喋り方はクロユリ!?」
「そう騒ぐでない、頭に響くだろうが。久々の新鮮な空気を鈴殿を殺してから味わうとするか」
その言葉を言い終わった時に空を見上げいた顔が此方へ向いた。

また一歩的な戦いが始まった。
私は立つのが必死なほどに力が無くなっていた。いや、違う。スサノウは力をくれるけど私が耐えられなくなって来てる。
一度倒れたら終わりだと思いながら何をされても意地で立ち続けていたが腹部に食らった拳が溝に入って、そのまま膝をついた。
「あれれー、主が警戒するからもう少し強いと思ってたがこれ程とは…ねぇー、まだ楽しませてよ」
髪を引っ張って無理やり立たせようとした時、驚く光景が視界に広がった。
「クロユリ、僕は君を認めた覚えはないのだが」
その言葉が聞こえた瞬間、クロユリが何かに吹き飛ばされた。
一瞬、スサノウかと思ったが周りにはいなかった。
じゃー、誰だ?
「久々に会いましたね。鈴さん」
その声は懐かしく、安心させる声だ。信より柔らかくだがたしかに安心させる声。
「れ、い…」
「礼なら信に言ってください」
「信が…何で」
「あいつも、あいつで思ってる事があるんですよ」
私ににこりと微笑んで零はクロユリに向き直った。
「今は粒子で体を構成してるので、手加減できないので、先に謝っときます」
「我をなめるなよ…」
「そうですか。じゃー、本気でいかせてもらいます」
そう言い零は左手に粒子を集めた。その粒子が集まり終わると一本の刀ができていた。
「まさか、その刀は」
「スサノウは知ってるの?」
「クロユリも知ってるよね?」
クロユリを見ると強張った表情で立っていた。
「何故、それを持っている!それはあの人の刀!」
「信じられないと思うけど、僕はその人に認めてもらった人間だから」
「信じられない!何でお前みたい人間が幽鬼に認められる!」
「気軽くその名前を呼ぶな!」
零が刀を横に振るとクロユリは力が抜けた様に倒れていった。
「じゃ、僕はこれで」
零は消えて行った。
「……」
「スサノウ、クロユリは」
「もうあの体は信に戻ってますね」
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気を失ってから何分いや何時間経っただろうか…
周りは蒸し暑い感じなのだが後頭部だけ柔らかくてほんのり湿っている感触がある。
目を開けると目の前には鈴の胸があった。
「ハッ」
気が付いて、すぐに距離を離した。
だが、先程まで戦っていた鈴はそのまま正座で座ったままだった。
「さっきは、ありがとうございます」
「まぁー、色々とあっからな」
さっきと言うのは多分俺が零に助けてやってくれと言ったからだと思う。
「で、どうする?信は続きしたい?」
「いや、俺が大人しく死ぬよ」
「え…何で?」
「俺は、仕事とは言え何人も殺してきた。死ぬ理由がそれだけじゃダメか」
俺、鈴のことを見ないで空を見上げいた。
鈴が立つ音がしたが、気にせずに空を見上げた。
だがその時だった。肩を掴まれて鈴の方へ顔を無理やり向けさせられた瞬間、頬に激痛が走った。
「いっ」
「バカ!そんな理由で死ぬ気なの!?人殺しは罪だけど殺したから死んで償うってバカなの!?あと周りのことも少しは考えなよ」
「は、はー」
「分かってないようだら、言うけど。殺した倍人を救って償えって言っての!」
鈴は怒りに任せたように怒鳴りつけていた。だが、その怒鳴りつけた後に泣き声に変わっていった。
「どうした?」
「私、考えたんだ。信と零どっちが好きかって」
「…うん」
鈴は話しかけてきているが顔は俺の胸の中にうずくまっている。
「私は、零に惚れてたけど。今はその倍以上に信に惚れてるんだよ?」
「何故に!?だって殺しあってたんだよ?」
「それも、そうだけど。自分の体がピンチなのに私を心配してくれたじゃん?前だって男子から助けてくれたじゃん」
「結構前のことじゃね?」
「いいでしょ!その位!」
まぁー、なんか納得いかないが鈴は俺の事が好きなんだなって思った。
「なんか、こう今言われるとなんかなー」
俺は頭を掻きながら言っていると突然、唇に柔らかいものが当たった。
「って、お前。何して!?」
「優柔不断な男子は嫌われるだぞー」
「はぁー、分かったよ」

“天城 鈴さん。俺と付き合ってください”

その一言はこんな後では言いたくなかった。だが、今しかこんな事は言えないだろ。
違う、覚悟が出来たんだから。
「ハワァァ。なんか面と向かって言われると恥ずかしいな…」
「貴女が迫ってきたんでしょう?」
「そだけどー」
「で、答えは?俺だけに言わせといて、自分は言わないってのはないぞ」
「そんなの分かってるよ!」

“こんな私でよければよろしくお願いします”

俺は答えを言っていた時の恥じらいがある微笑みに胸が高鳴った。
「俺はお前を幸せにする。だけど、一回此処でお別れだ」
「…え?何で?」
鈴は豆鉄砲を食らった鳩のように放心状態になってた。
「だって、お前が倍の人数救えって言ったんじゃん」
「そうだけどさー」
「言ったことに責任持てよなー。ってなんか前にもこんなやり取りしたな」
「ふふ、そうだね。前も膝枕からだったけ?」
「そうだな」
そんなくだらないことを話しているとラストを飾る花火が空を染めた。
「おー、綺麗だね!凄いや」
俺は意を決めて鈴に顔を近づけた。
鈴がこっちを見た瞬間、唇を奪った。
「女子にやられっぱなしは嫌だからな…後、俺がこっち側に居ない時に他の男子に移らないように予防」
鈴はその言葉を聞いてるか聞いていないかわからない表情だが、ぼーっとして唇をなぞっていた。
「そんなのズルイよ」
「まだ足りないのか?意外に大胆だな…」
「私も不意打ちだったけど…ちゃんとしてほしいなー、なんて」
「えー、ヤダなー」
その事を言うと鈴はそっぽ向いていた。
「はぁー、今度会ったらな」
「それまで、待ってるね?」
その微笑みを見てモキュモキュしたい衝動を抑えられずにいきなり抱きしめた。
まぁー色々とぐっちゃになってるが…

「鈴、一度此処でお別れだ」

その後は椿さんと言う人に会って、事の説明をした。人を殺した俺の始末はゼロの権限で全てとはいかないがかなり軽くなった。
研究所の事情を知ったゼロなどはその研究所を潰しに行った。


彼と彼女の物語は進んでいく。

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