こんな俺でも恋をする

白葉南瓜

彼らの運命は

あの後、俺は隣に天城さんが居るので気まずくて、そのまま五限目をサボってもう一度屋上に来て居る。
転校して来てから見ていた『天城 鈴』はあれはただの演技みたいなものなのか?
そう考えながら、ゴロゴロしていた。その時にいきなり眠気が襲って来た。多分、昼飯後でいい感じに運動をしたからだと思う。
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この夢はただ普通の人生を送りたかった少年の話。
ある朝、俺は眩しい朝日に煽られて目を覚ました。
「信!起きなさい!」
「はいはーい」
その声で俺は憂鬱な気分で下の階に降りていった。目の前ではいそいそと着替えている兄と、もう支度を済ましてタバコを吸ってくつろいでいる親父が目に入って来た。
「おはよー。目覚ましつけてよねー」
その声は、部屋の中央に設置されていた机に向かって化粧をしていた母親が言っていた。
「一応、付けてたんだけど爆睡してて」
俺はテヘペロみたいなノリでその言葉を返した。
時間が経ち、親戚たちが家に集まって来た。その中には足を悪くしていたお婆ちゃんの姿もあった。
会うのは久しぶりだったので声をかけに行った。
「お久しぶりだねー。足の調子はどう?」
「おかげさまで、この通り」
と言いながら笑いながら杖なしで歩いている姿を見て安心した。
親戚たちが集まって来て集まりも終盤に差し掛かって来た時に、俺と兄はチュパチャップスの味で自分が好きなきゅうりの酢の物味を取り合っていて、取られた時にふてくされて二階に上がって行った。
その後に事件が起きた。
俺は買い貯めていた小説に見入っていて、気づいたら下の階が物静かになっていた。
俺は、それを見に行ったことを後悔している。
下に降りると、下の床は血の池になっていた。その死体の中で1番心に残っているのが兄の手に握られていた、きゅうりの酢の物味のチュパチャップスがあった。結構な時間経っているのに食べずに残しておいてくれていたことが今でも憶えている。
その後に廊下に戻りその場で座って泣いていた。そこで、警察の人が来てくれた。
その後は、学校に行ってもまともに授業を受ける事が出来ずに早退を繰り返していた。
俺は、預かられていた警察官の家のベランダで一言つぶやいた。
「ただ、普通な生活がしたいだけなのに」
そお言い、泣き崩れていた所に親代わりの人が来てくれて、その人の胸の中で泣いていた。
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目がさめると夕日が何時もより眩しく感じた。それは、先ほどの夢で泣いていたからだ。
あと、俺は屋上で寝ていたはずなのに頭下には何か柔らかい感触があった。
「よく寝れましたか?」
俺はその声から逃げるように飛び跳ねて距離を置いた。
「何でここに来た」
「何でって、心配になったからですよ」
天城さんは、正座を座り直してこちらに向き直った。
「うなされていたので…勝手なことでしたが許してください」
俺は、その謝罪になんて言えばいいのかわからなくて夕日を眺めていた。
「昼、俺が今やってる以外なやり方があるって言ったよな」
俺は、夕日を見ながら天城さんに声をかけた。
「言いましたけど、何でですか?」
「そのやり方教えて欲しいなー何て」
俺は、久しぶりに自分のトラウマを見て少し心が揺らいだらしく、そのように口が動いていた。
俺の問いに、天城さんは何だか嬉しそうな表情をして、立って近づいて来た。
「ありますと言いましたが、まだ、自分もわかってなくて、一緒に探してくれませんか?」
「はぁー、あるって言われて少しでも期待した俺がバカだった」
俺は冗談交じりに笑いながら言ったら、天然なのかわからないが、天城さんが頬をプクーと膨らませながらそっぽを向いてしまった。
「そんなに怒らないでくれよ。色々と知れた仲なんだから怒らないでくれよー」
「プィ」
またそっぽを向いてしまった。
「俺もまだまだ分かってないから、一緒に探そ、その為に力を貸してくれ」
その言葉に反応してもう一度、此方へ向き直ってくれて明るく微笑んでくれた。
「はい!喜んで!」
彼女の微笑みに俺は見惚れていた。

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