転生したSランク冒険者は最強を目指す

スーノ

第十二話 旧友(現婚約者)との会話

「そう言えば、さっきガルトア龍国の建国王がロドガト爺さんだって言ってたけど、もしかして俺が転生を選んで結構経っているのか?」

「そうじゃのう、確かお主が転生珠を使ってから妾があの謎の液体を飲むまでの時間が10年程、この体に変わるまで眠っていた時間が190年程じゃったから、大体200年程じゃったと思うぞ」

「そんなもんか、俺は意外に早く転生してたみたいだな、というかお前190年も眠ってたのか」

俺の転生に200年掛かった事よりもエリラスが190年眠っていたことに驚きつつもそう答える。
これは前世で調べた事だか基本的に転生珠を使用してから実際に転生するのは大体200年〜1000年程度が経った後であり、場合によっては5000年経過していたなんて事もあるみたいだ。そう考えれば200年はかなり早く転生出来たと言えるだろうな、とは言え1000年後に転生したとしても友人は生きているだろうから、そこまで長い期間でもないだろう。事実、前世の俺でも1000年くらいなら生きてただろうしな、今世の俺だと種族も変わったし、3000年くらいは余裕で生きていけるんじゃないだろうか

「うむ、まあそうじゃな。そのお陰で今では元々少数じゃった『封枷の武聖』は一人も残っておらぬ。皆、50年程前にあった戦争で死んでしまったようじゃのう」

「は!?、いやいやいや、あの技量と死に辛さが超一流を嘲笑うレベルの連中が戦争で死んだ?死んだフリして隠れてるの間違えじゃないか?」

『封枷の武聖』はステータス自体は枷の所為で低いが全員が全員、本来なら超高難易度の防御の壁を無視する技を所持している技巧派で少数精鋭の戦闘集団で枷を持ちながらも頭おかしい技量を身に付けただけあって生存の術にも非常に長けている、物凄く死に辛い集団だ。そのレベルはあの集団が全滅する事よりも大国が二、三個滅びたと言われる方が信じられるくらいだ

「まあ、そうじゃな。彼奴らは肉体的には死んだようじゃが魂魄的には死んでおらぬ、じゃが今世紀中に再び現れる確率は相当低いじゃろうのう」

「ああ、なんだ。転生したのか、しかも俺が使ったユニークスキルを代償にするタイプの転生珠で」

「うむ、そのようじゃ。どうやら丁度妾達の分の転生珠が不要になった事で全員の転生が可能な数の転生珠が揃ったようじゃ、それとわかると思うがこれだけの転生珠を持っておったのはロドガト爺じゃ」

まあ、ロドガト爺さんは気の遠くなるような年月を生きているんだから持っていても全く不思議じゃないし、寧ろあの爺さん以外が持っていた方が不思議だ、それにあの爺さんがそれだけの数を持っていたって事は全員を一斉に転生させようとしてたんだろうな。あれでも…

「なんで、エリラスがそんな事知ってるんだ?」

「なに簡単な事じゃよ、妾が飲んだ謎の液体にお主の使った転生珠と同じ力があったようでのう。それのお陰でユニークスキル時空眼を獲得したのじゃ」

「時空眼か、なるほどな」

時空眼は俺の加速と同じように強力ながらも傍目から見れば地味なユニークスキルだ。主に過去を視る『過去視』と未来の可能性を視る『未来視』などの能力が知られている。この二つの能力は現在の時間から離れた時間を見ればそれだけ魔力消費が激しくなるから何回かに分けて視たんだろうな

「しかし、過去視で戦闘スタイルなんかは丸裸か、エリラスには未知の相手が殆どいなくなったな」

「そうじゃな、じゃが時空眼の強みはそこだけではないのじゃ。無論、未来視での先読みでもないぞ」

「空術、時術の補助、空間、時間の流れの把握とか色々あったけど、確か予知夢での危機察知能力だっけか?」

時空眼はその所有者・・・・・がなんらかの危機的状況に陥る可能性がある一定以上の確率を超えた時にその可能性を予知夢に近い形で見せるという力があったはずだ

「正解なのじゃ。まあ、この能力は基本的にある程度の安全が確保された状況でのみ発動するのでの予知が発動しないから安心安全、という訳ではないのじゃがな」

「確かにそうだな、でもそれ以前に俺はその効果が発動するような事が起きそうな気がしないんだけどな」

「確かにのう、安全な場所はお主の近くに居れば良いが、そもそも妾達が二人揃っておるこの場で妾にとっての危機なぞそうそう起こることではないのう」

もし、そんな事が発生したら少なくとも学園が跡形も無くなるだろうと言うのが俺達の共通認識だ。時空眼による予知はあくまでも所有者の危険の予知、だから周りにとって如何に危機的状況であってもそれがエリラスにとって危機で無ければ予知能力は発動しないのだ

「まあ、普通の危機が発生しても武術科はすぐに鎮圧出来そうだし、他の魔術科にも学術科にもかなりの戦力がいるから滅多な事は起きないと思いたいな」

「ふむ、お主がかなりの戦力と認識するとは、余程の傑物のようじゃな」

「そうだな、あの二人は凄いぞ。単一の才に絞れば俺達の方が優れているけど、全体で見ると正にズバ抜けた鬼才だ。現時点でも間違えなくSランク程度なら勝てる。まあ、本人達は基準がズレてるから気付いてないけどな」

あの二人の基準は俺の義両親だ、そうあのSSSランクの中でも最高位の実力を持ったあの義両親なのだ。そこに一般的なSランクやSSランクとSSSランクの力量差を当て嵌めても成立する訳がないのだ。まあ、そのズレた感覚が強くなるのに役立っているようだから、俺は態々本気で指摘する気もないけどな

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