死ねば死ぬほど最強に?〜それは死ねってことですか?〜
第87話〜父親〜
安藤達はシンの指示通りに城に入り結界を張っていた。
「邪魔はいなくなったな」
「俺はここにいる奴らに全てを奪われた」
黙っていたオルは口を開く。
「それが?」
「だから、俺は悪ではない」
「だから?」
シンはゆっくりとオルに向かって歩き始める。
「理由なんてどうでもいい」
「え?」
「それを聞いて事実が変わるのか?」
シンは人間の姿から狼人へと変わる。
「だから、仕方がないこ・・・」
オルは言葉を続けることができない。地面や空気が震え始め、オルもとてつもない圧に襲われていた。
「ここまで頭にきたのは久しぶりだ」
更に圧は増していき、付近の瓦礫は自然に砕けちる。
「墓を荒らすトカゲには罰が必要だ」
安藤達は理解できた。何故、結界を張れと言われたのか。自分達に敵意が向いていないのは分かる。だが、死という言葉が頭から離れない。ただの気まぐれで、私たちは跡形もなく消える。
国の外で戦っていた四騎士は、変化に気づき国に向かって移動をする。
「待ちなさない」
そう言うミナだったが、救われたのはミナ達であった。オルの変化と同時に、四騎士にも同じ変化が起きていた。ただでさえ互角だった。強化された状態など、攻撃を避けるだけで精一杯だった。
「絶対に追わないでください」
バルクは感じていた。国の中から溢れ出てくる異様な空気。一度対峙したことのある絶対的強者。その時よりも更に強い恐怖を。
四騎士が国に到達すると、その横を何かが目に見えぬ速度で吹き飛んでいく。
「「オル様」」
すぐさまオルの元に移動する四騎士。オルは異常なほど焦った表情をする。
「逃げろ! 時間は稼いでみせる」
「「嫌です」」
「なに?」
いつものように返事をして逃げてくれると思っていたオルは驚きを隠せない。
「そうか・・・そうだな。全員の力を合わせて勝つぞ」
「「御意」」
返事と同時に、背後から巨大な青い狼が突進してくる。
「避けろ」
一気に飛翔する。だが一人が飲み込まれ、一瞬で塵へと変わる。
「逃がすかよ」
飛翔した先には既にシンの姿があった。
「消し飛べ」
黒い球体を押し付けられ、また一人が命を落とす。
「クソ」
一気に斬りかかる二人だが、その剣はシンに当たることはい。すれ違いざまに二人とも頭を握り潰される。
残ったオルは笑っていた。分かりきっていた。逃げろと指示したが、逃げられないことも。勝つぞと言ったが、絶対に勝てないことも。
それは当たり前だった。オルの目の前にいるのは破壊という言葉が具現化した者。同じ魔王でも、地力が違う。生きた年齢が違う。経験が違う。
「だが、一矢報いる。俺は魔王だ。家族を殺された無念。わずかでもくらうがいい」
オルの体は更に赤く燃え上がり熱をましていく。だが、それを素直に見ているシンではない。熱に怯まず、オルの正面に移動して心臓を握り潰す。
だが、オルの様子は変わらない。更に熱をましていく。
「俺の身を太陽としてこの地を焼き尽くす」
シンは腕を引き抜き距離をとる。すると、オルは球体に変わり国に向けて加速していく。
「舐められたものだ。最後の最後まで息子の墓を荒らすとは」
シンは進行を遮るように移動する。
「消え失せろ」
シンは手元に作った赤い球体を押し付ける。その爆発はオルが変化した球体を容易く破壊する。
皆んなを守ってくれてありがとう。
「ギン。俺も存外甘いのかもしれんな」
俺の甘さも父親譲りってことだな。
「そうかもな」
シンは咆哮を放つ。特定の場所に向けて。特定の意思をのせて。
シンは微笑み、姿を消した。
「邪魔はいなくなったな」
「俺はここにいる奴らに全てを奪われた」
黙っていたオルは口を開く。
「それが?」
「だから、俺は悪ではない」
「だから?」
シンはゆっくりとオルに向かって歩き始める。
「理由なんてどうでもいい」
「え?」
「それを聞いて事実が変わるのか?」
シンは人間の姿から狼人へと変わる。
「だから、仕方がないこ・・・」
オルは言葉を続けることができない。地面や空気が震え始め、オルもとてつもない圧に襲われていた。
「ここまで頭にきたのは久しぶりだ」
更に圧は増していき、付近の瓦礫は自然に砕けちる。
「墓を荒らすトカゲには罰が必要だ」
安藤達は理解できた。何故、結界を張れと言われたのか。自分達に敵意が向いていないのは分かる。だが、死という言葉が頭から離れない。ただの気まぐれで、私たちは跡形もなく消える。
国の外で戦っていた四騎士は、変化に気づき国に向かって移動をする。
「待ちなさない」
そう言うミナだったが、救われたのはミナ達であった。オルの変化と同時に、四騎士にも同じ変化が起きていた。ただでさえ互角だった。強化された状態など、攻撃を避けるだけで精一杯だった。
「絶対に追わないでください」
バルクは感じていた。国の中から溢れ出てくる異様な空気。一度対峙したことのある絶対的強者。その時よりも更に強い恐怖を。
四騎士が国に到達すると、その横を何かが目に見えぬ速度で吹き飛んでいく。
「「オル様」」
すぐさまオルの元に移動する四騎士。オルは異常なほど焦った表情をする。
「逃げろ! 時間は稼いでみせる」
「「嫌です」」
「なに?」
いつものように返事をして逃げてくれると思っていたオルは驚きを隠せない。
「そうか・・・そうだな。全員の力を合わせて勝つぞ」
「「御意」」
返事と同時に、背後から巨大な青い狼が突進してくる。
「避けろ」
一気に飛翔する。だが一人が飲み込まれ、一瞬で塵へと変わる。
「逃がすかよ」
飛翔した先には既にシンの姿があった。
「消し飛べ」
黒い球体を押し付けられ、また一人が命を落とす。
「クソ」
一気に斬りかかる二人だが、その剣はシンに当たることはい。すれ違いざまに二人とも頭を握り潰される。
残ったオルは笑っていた。分かりきっていた。逃げろと指示したが、逃げられないことも。勝つぞと言ったが、絶対に勝てないことも。
それは当たり前だった。オルの目の前にいるのは破壊という言葉が具現化した者。同じ魔王でも、地力が違う。生きた年齢が違う。経験が違う。
「だが、一矢報いる。俺は魔王だ。家族を殺された無念。わずかでもくらうがいい」
オルの体は更に赤く燃え上がり熱をましていく。だが、それを素直に見ているシンではない。熱に怯まず、オルの正面に移動して心臓を握り潰す。
だが、オルの様子は変わらない。更に熱をましていく。
「俺の身を太陽としてこの地を焼き尽くす」
シンは腕を引き抜き距離をとる。すると、オルは球体に変わり国に向けて加速していく。
「舐められたものだ。最後の最後まで息子の墓を荒らすとは」
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シンは手元に作った赤い球体を押し付ける。その爆発はオルが変化した球体を容易く破壊する。
皆んなを守ってくれてありがとう。
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