少年はそれでも戦い続ける

虹ウサギ

8.青年と魔女

ジンは挨拶がわりに、先程と同じように左で狙い、右で避けると予想した方向に銃弾を放つ

スッ

09は最初の弾を避け、さらに次の弾も避けてみせた

「ーモウ学習シタ、さア殺しアオう!」

09のメイン武器は包丁程の大きさの、小さなナイフの二刀流だった
09は軽く1歩踏み出すだけで、ジンとの距離をあっという間に詰め、右手で上から、左手で下からナイフを、ワニが口を閉じるような動作で振り下ろす。
ジンはそのナイフを上からの攻撃を左手の銃身で、下からの攻撃を右手の銃で受け止める

銃とナイフがぶつかり合い、ギシギシの音を立て合う
銃とナイフでは、ナイフの方ガ耐久力は上だ、このままでは銃が使い物にならなくなると、判断したジンは09の腹を右足で蹴り上げる

「グッ!」

腹部に衝撃を受けた09は堪らずに後ろへ後退する

「ー楽しイな!ヤハり戦いハコウデハなくテハ!!!先ほドの小娘ハてゴタえが無さスギタ!!」

09は満面の笑みを浮かべ手元でナイフを回し握り方をかえ、刃を外側へと向け、腕を目の前でクロスさせる

「キスミがなんだって?手応えがないだと?」

「ーアあ、無かッた、怪我をシタフリをシテ近づくト油断モセズに近ヅイてキタ。近づいたトころデ腹を引キ割いてやった!」

「なんだと…」

「ー何てバカなオンなだ」 

「黙れ」

「ー今は戦闘中だゾ、どんだけ頭の中オハな畑なんダヨ」

「黙れ」

「ー本当に人間トハ愚かだな」

「もういい!だまれぇぇ!」

パンパンパンパン

ジンは怒りという感情に任せて銃を乱射する。09は軽々と避けて距離詰めて来る

システムが攻撃をやめて距離をとる戦略を伝えてくるが、それを無視して距離をわざと詰める

「ー愚かナ!かっコウの的だ!」

09が先程と同じ攻撃をしてくる

ジンは避けずに銃を09に向ける、ナイフを防御しなかった為上からのナイフは右肩を切り裂き、下からのナイフは左腹を斬りつけた

「ーッな!」

右手には伝達形が切断された為、力がはいらないが、左は動く
ジンは迷わず引き金を引く

パンパンパン

乾いた銃声が3度なり09は、力無くその場に崩れ落ちる

「お前も知っている筈だ、人造人間は命を惜しまない」

ジンは09が活動停止したのを確認すると、キスミを寝かせている場所まで戻り、その場に座り込む
肩と腹からは人工血液が流れ落ちる

「出会った時と同じだな」

ジンは1人そう呟く。
ジンは安堵していた、09を破壊した事に対してではなく、キスミの死の原因についてだ

キスミは傷ついた者がいれば、敵でも関係なく助ける、その事を確信できたからだ
だからこそ時空魔法などという、最強の力を持つ筈のキスミが殺されたのだ

「やっぱりキスミはキスミだな」

ジンはキスミの横に寝転がりキスミを横目で見ながら目を閉じる





虹兎 第二章1部完結まで後1話明日も、生きてたら書きます
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